「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880060

感想・レビュー・書評

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  • 「世間」と「社会」との付き合い方を教えてくれる本。
    そして、「空気」とは何か?

    ----------
    「空気は世間が流動化したもの」という説から始まる。

    ≪要約≫
    「世間」は、「贈与・互酬の関係」「長幼の序」「共通の時間意識」「差別的で排他的」「神秘性」の5つの要素を必要とし、「空気」とは、このうちのいくつかが欠けたもの。

    でも、世間が壊れてきていると言っても、アメリカ人のように「社会」の中の個人として振舞うことが出来てない。それは「個人‐社会」の関係で他人と付き合うことに慣れていないから。
    そのため、電車の中でお年寄りになかなか席を譲れないし、コンビニ店員の「いらっしゃいませ」が空々しく響く。
    思いっきりタメ口か、「すみません」を連発するよそよそしい距離しかない若者がいるのは、理想的な「世間」を相手に求めるか、相手が全く関係のない「社会」に住んでいると決め付けてしまうから。

    また、アメリカで「個人−社会」の関係が成り立っているのは、その背後にキリスト教の影響があるからで、神以外のものは相対できるから、他者との関係を相対化できる。

    そして最後に、不安や孤独に対処するために支えてくれる人を「二人」持つのが大切なのと同じように、複数の「共同体」とゆるやかに付き合うことを勧めている。



    日本人が「世間」に支えられているに対し、アメリカ人は「神」に支えられているという記述が面白かった。

  • 09年9月26日開始
    09年11月1日読了

     今年読んだ新書の中では一番興味深く読めた本。所々論拠に疑問を感じるところはあるけれど。

  • 日本の社会構造を知るための基本的で、最も重要な文献である山本七平の『空気の研究』と、阿部謹也の「世間」を研究したいくつかの文献を参考にし、鴻上流に「空気」と「世間」に着目して、日本の社会構造を説明している一冊。最近の新書の中でもなかなか出来のいい作品だと思う。特に、最近よく言われる言葉のKYの「空気」を「世間が流動化したもの」といい、世間を5つの要素から構成しているものだと定義した点は非常におもしろい。個人的に星4.5。残りの0.5は最後の意見が納得しなかったから足さなかった。狭苦しい世間を生き抜くに方法を書く、と言っている割には最後の部分の意見が弱い。それができないからみんな悩んでいるのに……。

  • 面白い!

    これを呼んで空気が読めるようにはならないと思うけど、
    「空気を読め」の「空気」とは何かに関して、
    鴻上さんが欧米と比較した斬新な切り口で述べてくれる。

    欧米人は「神と自分」でのやりとりで生き、
    日本人は本来「世間と自分」の中で生きていた。
    「世間」がローカルに流動しているあらわれが「空気」だとしている。

    現代は「世間」が崩壊してきているが、
    欧米が持ち込んだ「近代社会」は建前で、
    隠し持つ「世間」をベースに日本人の行動が決まってきたとする。

    「世間」は個人に対して「与えられるもの」であり、
    中に入れば手厚く絆を結ぶと同時に、他者には強く排他的である。
    排他的であることが、「世間」「自分が世間に居ること」を成り立たせている。
    即ち日本人は「世間」の中に居たい。
    「空気を読め」「KY」が流行ってきたのはそのためだとする。

    空気は流動的であるし、空気を作る中心がいないと混乱するだけで、
    「空気を読め」という言葉も足場を失う。
    そんな空気を無理して読もうとして混乱するよりはゲームから降りたほうがましである。


  • Now reading...

  • 世間にとらわれている人・空気に過敏な人が読んだらいいなあと思う内容でした。

  • 2009・07・24

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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