安倍官邸の正体 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882941

作品紹介・あらすじ

国や党の方針は、誰がいつ、どこで決めているのか――。

安倍政権を批判する人も肯定する人も、
まずはその「実態」を知ることが大切だ。

これからの「日本のあり方」を考えるべく、
国家権力の中枢を解明するとともに、
安倍内閣の「本質」、そして
2015年以降の政局の行方までを読み解いた、
全国民必読の書。

はたして、新聞の首相動静にも記されない、
日本の行方を決定づける非公式会議に、
「隠し廊下」を通って集結していたメンバーとは――。

安倍官邸のキーパーソン、「ポスト安倍」は誰なのか?

憲法改正に取り組むタイミングはいつ?

安倍首相が明かした「宿願」とは?

そして、戦後日本が誇った「平和国家」は、
どこへ向かおうとしているのか――。

政治記者歴35年の著者が迫った、「国家権力の頂点」の真実。


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【おもな内容】

序 章 「政局を読む力」を養うために
衆院解散の内幕/参考にしたのは「死んだふり解散」/総選挙の本質とは/財務省の凄まじい「ご説明」攻勢/公明党の都合

第1章 安倍官邸の「構造」と「正体」
1 最高意思決定機関としての「正副官房長官会議」
2 一次政権の蹉跌から編み出した「官僚支配の手法」
3 問題閣僚への処遇の変化と読売・産経重視の姿勢

第2章 一次政権とは何が「違う」のか
1 ゴルフの回数が「激増」した理由
2 ひた隠しにしていた「再登板への渇望」
3 「美しい国」路線を引っ込めた背景
4 安倍はなぜ靖国参拝を強行したのか

第3章 安倍官邸の実力と問われる真価
1 安倍を支える政権の参謀・菅義偉
2 実現させた政策とその舞台裏
3 今後の不安要素と「ポスト安倍」

感想・レビュー・書評

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  • ちょうど緊急事態宣言が出てた期間お茶の間でこの本の著者を目にする機会が度々あったので何者やと思いこの本を買って読んでみた。

    真実をもとめて、つなぎ合わせて、発信するのはいろんなしがらみがあるなかほんとに難しいんだろーなと思った。
    「ペンは剣よりも強し」は政治ジャーナリストの信念に深く刻まれた言葉であって欲しい。

    まぁこの本の感想をどう書こうかと迷った結果、とりあえず安倍首相お疲れ様でした。

  • 安倍官邸の強さの秘密と、安倍・菅2名の人となりが描かれている。小泉政権で大きく変わった政権の在り方、民主党政権で失敗した「政治主導」、安倍政権での「正副官房長官会議」、政治学的にも面白いと思う。

  • 2017/07/23
    確かに権力への批判は少ないなと思ったし、割と安倍さんや菅さんの政治手腕や人格を褒めちぎってるな、と思った。
    でも、それを補って余りあるくらい、興味深い話が読めたかなと。世の中は、人で動いているんだなあ。

  • 講義の課題図書として読んだ本だが、なんというか安倍元首相のイメージが変わったかもしれない。かなり戦略的な人だったのだなという印象。一方で、感情的になってしまう(敵だと感じると攻撃せずにはいられない。)ところなど人間臭い。
    菅さんや官房副長官との朝ミーティングの話が印象的。顔を合わせていないとあうんの呼吸での仕事というのは難しいというのはその通りだと思う。

  • 2014年段階の本。著者もここまでの長期政権になるとは思わなかっただろうと思う。政権の要はどんなに批判されようが、菅官房長官と今井秘書官。第一次政権を放り出して以降も安倍氏を支え、第一次政権の失敗を踏まえた政権運営が出来ている。よく取材が出来ている本で、出版された当初に読んでいれば、もう少し高い評価になったと思う。(逆にいうと、安倍政権ができる過程を振り返りたい、という目的でなければ、読む必要はない。)

  • 2014年刊。著者は(政権の太鼓持ち)時事通信社政治部(なんちゃって)記者。

     正直、著者の政治解説は政権べったり(=代弁者)で、著者の頭脳・経験でスクリーニングしたものとはいえないことから、もう政治部記者を返上し、自民党広報担当になればいいのにと思っていた(今も思っている)。
     故に通常ならば、絶対に食指を伸ばさない先であった。
     しかし、ある方のレビューで、政権に近い故に、その政権の意思決定の裏面=実態と構造は客観的に垣間見れそうだと思い直し、一気に読破。

     政権の政治的意思決定の構造という点で見ると、なかなか面白いネタが転がっている。
     
     まず①組織の要諦たる人事は官邸が決めるという点。これが最初に露わになったのが、官僚人事ではなく、三権分立を建前とした最高裁裁判官の人事介入という点である。これに懲りたら最高裁も、政権を慮ることなく、行政・立法に関し、統治行為論などという下手な便法は使わずに、三権分立に従って違憲判断をドンドン出せばどうか、司法積極主義に転換されては、とご助言差し上げたくなるほどだ。そして、今、正に問題となっている「忖度」の淵源が見えてくる。
     しかも、その司令塔が菅義偉官房長官ということだ。

     ②次に読売・産経への偏頗的な情報開示である。この司令塔は安倍本人と今井尚哉氏。なお、毎日実施していた記者ぶら下がりもしていない。

     さらに面白いのが、③「政治家」としての政策実行以外の能力の部分。
     偶然、先に読破した佐藤優著「君たちが知っておくべきこと」で出た森喜朗元首相と同様に、政治的にはさほどと思われるのに、官僚や記者らを人間的に引き込んでしまう引力を政治家は有している場合が多いが、安倍晋三氏もそれを持ち合わせている挿話である。
     ちなみに、佐藤は灘高生に対し、これを政治家の(仕掛ける)「罠」とし、この引力圏に引き込まれると周囲が見えなくなる弊害を説いている。
     具体的には、菅氏が安倍氏に引っかかったと取れる記述だが、著者自身もそうかもしれない。

     そして最も政権の政策決定における肝として重要な、④内閣官房正副長官会議と朝会(世論調査分析)の存在と構成、周囲への影響の件である。
     前者は、首相の他、官房長官菅、同副長官加藤勝信、同世耕弘成、同杉田和博と、首相秘書官今井尚哉が出席。政策遂行の内容のみならず、その時期などもここで決められ、他の官邸スタッフは固唾を呑んでこの帰趨を見守っているらしい。
     著者はこれを最高意思決定機関という位置付けと看做している。メンバーといい、色々想到しそうな、曰くありそうな組織体である。

     次に後者は、各報道機関による世論調査の分析と対応を担当するとのこと。ここには菅、加藤・世耕が参加していると。

     ⑤最後に強硬保守を「母体」と呼ぶ晋三くん。菅・今井らの反対をおしてなされた「母体」を慮る行動。ここに彼の本質が炙り出されてきているようだ。

     ⑥最後に補足として財務省。
     政権に面従腹背(刊行当時。今はすっかり骨抜き?)の状態らしいが、その最大の功労者が経済産業省を出自とする今井首相秘書官らしい。これまたなかなか興味深いところである。


     かような本書については、この程度、すなわち著者の種々の評価はすっ飛ばし、事実・人名・組織のあり方さえ頭に入れれば十分な書であることは確か。

  • 首相官邸でほぼ毎日安倍晋三を中心に開かれているにもかかわらず、全く報道されていない非公式の会議がある。首相動静にも載っていない。しかしこの密談で政権の基本的方向が決まる。それは最高決定機関としての「正副官房長官会議」である。集団自衛権の憲法解釈を変更する閣議決定の時期等もこの密談で決まった。菅官房長官、加藤副長官、世耕副長官、杉田副長官、そして今井首席秘書官が加わり、計6人での密談となる。

  • 総理の政治手腕や安倍政権を支える正副官房長官会議の存在や菅官房長官の存在、菅の経歴から迫る人物像や手腕などを詳しく知ることができました。内容は、一読して安倍政権寄りに書かれているように見えますが、あとがきにもあるように、「批判するのであれば、まず真相をしっかり理解した上でするべき」との著者の判断によるものです。

  • 安倍礼賛

  • タイトルだけ見たときは、安倍政権批判本かと思ったのだがそうではなかった。むしろその強みと不安要素を、かなり客観的に描き出している。

    なるほどなあ。
    この後どうなるのか不安は残るけど。

    こういう世界では、生きていけないなあ。

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著者プロフィール

(たざき・しろう)
1950年、福井県坂井郡三国町(現坂井市三国町)生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。73年4月、時事通信社入社。経済部、浦和支局を経て79年から政治部。82年4月から自民党田中派を担当。政治取材は35年に及び、現在も自民党はじめ民主党、公明党、維新の党、みんなの党などを幅広く取材。同社編集局次長、解説委員長などを経て現在、解説委員。著書に『経世会 死闘の七十日』(講談社、ペンネーム大家清二)があり、同書は『竹下派 死闘の七十日』と改題、加筆の上、文春文庫から実名で出版。ほかに『梶山静六 死に顔に笑みをたたえて』(講談社)、『政治家失格 なぜ日本の政治はダメなのか』(文春新書)。民放の報道・情報番組に多数出演。

「2014年 『安倍官邸の正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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