アイヌ学入門 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883047

感想・レビュー・書評

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  • アイヌのことを知りたくて、その時の気持ちが「入門」という書名に惹かれて購入。独自の言語体系と祭祀、習俗を持つ民族でありながら、北海道に定住していたために江戸時代以降、本土からの移民に謂れなき差別を受けた。しかし、樺太や千島列島への民族的な広がりと、青森を含め本土とも交易や文化交流の史料が残り、アイヌ研究の面白さを感じた。今度はアイヌ語に特化した入門書が読みたくなった。

  • “アイヌ”というのは、壮大な交易を行っていた人達で、アイヌが伝えてきた様々な文物には、古来からアイヌが自身で産み出しただけではない、日本等の隣接する他文化の顕著な影響を認めざるを得ない部分も在る。また日本で古来から珍重された様々なモノの中には、アイヌがもたらしたと考えられるモノも実は色々と在るという。そんな物語を考古学や近年の歴史研究の成果を踏まえて綴ったのが本作である。アイヌは文字を持っておらず、文書記録が「間接的なモノ」になってしまって限定的なので、「北海道辺りの歴史」にはマダマダ“不詳”、“不明”が多いことが否めないのだが、そういう部分を埋める様々な物語が本作の中には在る。
    アイヌが壮大な交易の中に生きた民であったという物語が、本書には判り易い型で収められている。「必読!!」という感…面白かった!!

  • アイヌに対する見方、印象が変わりました。著者の見解であって学説として広く受け入れられているかはわかりませんが、どうしてそう考えるのかなど丁寧に記載してあり、アイヌについてもっと知りたいと思わせてくれます。

  • アイヌは、我々が忘れ去った縄文文化の記憶を深くとどめている。しかし、それは、アイヌ文化が進化しなかった、ということでは決してない。
    アイヌは、和人や他の民族と密接に交流し、自らの文化や世界観を変化させた。和人や他の民族からたくさんの文化を吸収し、また、和人や他の民族の文化にも多くの影響を与えてきた。そのダイナミックさは、我々の想像を超える。
    アイヌは文字を持たなかったゆえに、その歴史は未解明なところが多い。だが、我々が縄文から脈々と続く真の歴史に迫るためには、さらに深くアイヌを知らなければならないのである。

  • アイヌ民族について、世間に広く流布しているイメージ・ラベリングされた既存の概念を丁寧に剥がして、解説、訂正しておられると思います。タイトル通りの入門的な読みやすさですが、内容はとても濃いです。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    自分はアイヌとうのは明治時代に日本が北海道を開拓する以前から北海道に住んでいた人たちという認識だったが、古代に東北地方から北上した人々に加え、サハリンから南下してきた人々が合流し、生まれたということには大変に驚いた。
    また、かなり昔から日本との交易やサハリン経由で大陸とも交易していたことは行動範囲の広いことがよく分かる内容となっている。また、その独自の文化や民俗がわかりやすく書かれており、大変に興味深い内容となっていた。

  • アイヌとは北海道に孤立した民族だと思っていた自分には衝撃的な本。
    古代から和人・渡来人・大陸とグローバルに交流し、交じり合い、影響しあう人々の生き生きとした姿が描かれます。
    アイヌの風俗に和人が及ぼした影響、義経伝説の影響、日本語起原のアイヌ語、驚くべきアイヌの躍動する姿。いやあ、知らなかったことばかり!
    それにしても、現代でもアイヌがおかれた厳しい状況、貧困、学歴といった問題にも驚き。こういったことはある意味隠されているんだなぁ。
    ただ、内容は筆者の仮説にとどまるものも多く注意が必要です。

    アイヌとはどのような人びとか
    縄文―一万年の伝統を継ぐ
    交易―沈黙交易とエスニシティ
    伝説―古代ローマからアイヌへ
    呪術―行進する人びとと陰陽道
    疫病―アイヌの疱瘡神と蘇民将来
    祭祀―狩猟民と山の神の農耕儀礼
    黄金―アイヌは黄金の民だったか
    現代―アイヌとして生きる

    第3回古代歴史文化賞
    著者:瀬川拓郎(1958-、札幌市、考古学者)

  • 完全にゴールデンカムイの影響。

  • アイヌ民族について、世間に広く流布しているイメージ・ラベリングされた既存の概念を丁寧に剥がして、解説、訂正しておられると思います。タイトル通りの入門的な読みやすさですが、内容はしっかりと濃いです。

  • これまた、新しい視界を提供する良書と思います。この年齢になってもまだまだ発見です。アイヌ民族は、ダイナミックに外の世界とつながり、発展してきた「海のノマド」だというのです。外界への働きかけと受容の相互作用が新しい地平を切り開いていくということを実感します。

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