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- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062902496
作品紹介・あらすじ
川崎長太郎には、小田原の花街・宮小路を舞台にした
〈小津もの〉と呼ばれる一連の作品がある。スター的映画監督・
小津安二郎と三文文士・長太郎が、ひとりの芸者を巡り対峙する。
長太郎に勝ち目はない。ひたすら〈純情〉を武器に、小津の
独身貴族的不誠実を衝く。小津自身に読まれることを
見越した如く書かれた挑戦的な戦前・戦中作九篇に、ヒロインの
その後を辿る戦後作を加え全十篇を収録。半数は単行本未収録。
感想・レビュー・書評
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小津ものと呼ばれる作品を集めた本。
ずーっとそれ。たぶん同じ時間軸のところがたくさんあるんだけど、それを手を変え品を変えて、散々深堀して書いている。途中、割とつらかった(笑)
ここまでの執念、いったいどこから出てくるのだろう。「何のために生まれて来たのやら」返答に困ると書いている人なのに。
最後の作品からあとがきにかけて、一人の女性の生涯が見え、自分がいかに生きる力の弱いことかを思い知らされた。
生きていく、彼女はそこまで強い意志をもって生きてはいなかった、というより、意識をして生きていないような気がする。変な例えかもしれないけれど、生きているから生きていく、犬や猫…そう、長太郎の晩年の作品にある、自殺を知らない牛や馬のように、とでもいうのかな。
小津や長太郎より一番生きていた、そんな感じのする女性だった。理屈抜きのしたたかさ。
そこには孤独な生い立ちがあるんだけれどね。
ちょっと目が覚めた気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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