縄文の生活誌 日本の歴史01 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919012

作品紹介・あらすじ

日本列島に人類が住み始めたのは何万年前か。そこでどのような暮らしを営み、大陸や東アジア地域とどんな交流をしたのか。近年の発掘と研究の成果は人々が自然の恵みとともに生きてきたことを明らかにし、さらには生と死の実態に迫っている。旧石器時代人の遊動生活から日本文化の基層となった縄文人の定住生活まで、古代観を一変させる考古の探究。

感想・レビュー・書評

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  • 日本史の歴史の教科書で一番最初に出てきて、一番面白かったところ、縄文・弥生時代。そこからだいぶ経って改めて縄文時代のロマンを味わいたくなり、この本を買いました。『暇と退屈の倫理学』で紹介されていた本です(遊動生活は充実していたという文脈で紹介)。

    この本の特徴は、著者が想像した縄文人の生活がストーリーとして取り入れられていることですが、残念ながら後半部分ではほとんどストーリーが紹介されていなかった点が少し残念でした。

    とはいえ学生の時に学んだ縄文史の常識とされていたことがアップデートされているたり、どんな暮らしで何を食べていたのか、貝塚に捨てられていたモノなど、ロマンを感じながら読みました。

    2000年に発覚した遺跡捏造事件。本書も修正が入ったそう。捏造の仕方は大胆で、「なぜ疑問の声が上がらなかったのか?」と思ってしまいます。資料の少なさや学者たちの焦りなど色々な要素が引き起こしたと分析せれています。
    とはいえこんな大規模な捏造が藤村氏だけでやり遂げられるのか?そんな意見もあるようで、著者も藤村氏をそそのかした疑いがかかっているもようです。

  • 確か、土器発掘捏造事件でかなりの部分を書き直すことになり、当時話題になった本。

    ただ、それとは関係なく、豊かな縄文人を描いていて、大きく縄文人のイメージが変わった。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    本書では旧石器時代、縄文時代の日本に関する歴史が書かれているのだが有名な捏造事件が日本の旧石器時代の歴史に関し、多大な影響を与えたことを強く感じた。
    一方で一言に日本の歴史といっても西日本と東日本では異なる歴史・文化があるし、東北地方は当時は日本とは異なる文化が存在していたことは発掘内容からもしっかりと分かることが面白いなと感じる。

  • 【列島最古の文化を求めて】
    原人の渡来のチャンス
    120万〜100万年前、43万年前、3?万年前、2?万年前
    アフリカ起源の新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)の世界に拡散説
    古代型ホモ・サピエンスの現代型への進化説

    世界最古の石器?明大の芦沢

    【「新人」たちの登場】
    先土器vs旧石器→岩宿文化
    環状ブロック

    @中国、四国、近畿
    サヌカイトを用いた瀬戸内技法による剥片の石器

    神奈川の相模原・群馬の赤城 
    協業による定住の先駆け

    宮城東 富沢物語

    東海、中部、北陸
    石刃技法 エンドスクレイパー

    【縄文文化の成立】
    ・温暖化による現在の環境成立
    ・定住生活
    ・土器の製作
    ・石鏃ぞくの出現、石皿スリ石凹み石の普及

    隆線文土器→爪形文、押圧文

    南から
    鹿児島県 掃除山物語

    P.79 定住の定義

    【三内丸遺跡の生活誌】
    P.90 特徴

    青森県 三内丸山物語

    【関東・中部地方の縄文集落】
    事実から解釈へ

    【縄文人の一年】
    P.173 主な食料

    栗栽培 酒造り

    共産社会でなく階級や階層があった?
    大盤振る舞い

    丸木舟

    【縄文人の一生】
    P.218 考古学にとっての死

    墓地 他者を拒否する精神的な装置

    【大規模集落の解体と祭祀的社会】
    P.238 縄文の全容の仮説

    「縄文文化の華」→東日本社会全体の没落
    関東・甲信への移住

    青森県 小牧野環状列石物語

    【「縄文時代の終わり」は何を意味するか】
    西日本の活性化
    中期は東日本に及ばず、晩期は弥生と重なっているなど実態はなかなか掴めていない

    縄文的基層文化

    水田稲作の始まり 甕棺人かめかん

    【遺跡捏造事件について】

  • OM5a

  • 授業づくりの参考にした。
    新たなアプローチでの授業の参考になった。

  • 博物館などでよく建造物や人形を用いた生活の復元展示などがあるが、この本の所々に登場する発掘と研究成果を反映した「物語」は、文章で復元展示をしてくれているかのよう。また「専門的」と断りながらもわかりやすく、研究手法について解説し、なぜ「物語」仕立ての部分のようなことが言えるのか明かしてくれる。それは手品の種明かしのようで読んでいて楽しい。自給自足でなく閉鎖的でもない、列島内にとどまらない広い交流を持った縄文の人々、その生活や精神世界のあり方を近年の研究成果から解明する一冊。捏造事件についてもその経緯や再調査、反省点などが述べられている。

  • 日本列島に人類が住み始めたのは何万年前か。そこでどのような暮らしを営み、大陸や東アジア地域とどんな交流をしたのか。近年の発掘と研究の成果は人々が自然の恵みとともに生きてきたことを明らかにし、さらには生と死の実態に迫っている。旧石器時代人の遊動生活から日本文化の基層となった縄文人の定住生活まで、古代観を一変させる考古の探求。

  • 本書で特徴的な議論は、縄文から弥生の流れである。
    従来、大陸から水稲栽培の文化を携えた民族が列島に渡来し、先住民であった縄文人が南北端に追いやられた、というものだったが、本書では水稲栽培が始まった当初の人骨が縄文的な特徴を備えていたことを根拠に、民族の交替はなかったという立場に立つ。
    考えてみれば、同じ日本人であっても住む場所によって立った一世代の間で外見的特長が変わったり、食事や生活習慣による影響で、戦後2~3世代の間に身長や体型が大きく変わっていたりしていることからもこれは中々説得力のある話だと思う。

  • 藤村新一による捏造事件で日本の考古学は死んでしまったが、それを全面的に引き受けて縄文の時代像を著者なりに提示しているのはお見事
    藤村によらず日本の考古学会のレベルの残念さは承知しているが、それらに比べるとこの本はかなり誠実に事実の積み重ねをしているようにはみえます

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