- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062919043
作品紹介・あらすじ
日本の八世紀は、中国を範とした律令制を、日本の実態に適うように試行錯誤した、日本型律令国家の建設期である。この間の歴史は平坦ではなく、遷都が繰り返され、変や乱も相次いだ。木簡や文献史料、発掘の成果等により、天武天皇が飛鳥に都を造営してから、桓武天皇が平安京へと都を遷すまで、平城京の時代を中心に、古代国家百年の歩みをたどる。
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
本書では発掘で大量に発見された木簡をもとに飛鳥時代、奈良時代に関する歴史を解説している。
天武天皇が亡くなってから桓武天皇が即位するまでの期間にあたり、日本という国家が唐から取り入れた律令国家として成立していき、さらには仏教が国家鎮護の宗教となっていく過程も書かれている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
律令国家の成立とその発展を描く。三世一身の法・墾田永年私財法は律令国家の崩壊の証ではなく、むしろその完成への重要な一歩であった。数々の政変、天然痘の流行、不穏な情勢――しかし、律令国家のシステムは根付いており、それを基に事態は乗り越えられていった。
自分のための信仰でなく国家のための信仰を貫く光明皇后、その影響も受け仏教に深く傾倒し、また自らを天武天皇に重ねあわせる聖武天皇――譲位、立太子と天皇位継承のあり方が固まっていく中、やがて天武天皇直系の断絶が不可避となり、事態は再び大きく動く。藤原京から平城京へそしてその終焉――
『続日本紀』を軸に木簡・伝世資料、近年の研究の成果から日本型律令国家が完成していく時代の実像に迫った一冊。 -
0巻から3巻までの新たな古代世界像の提示に対する圧倒的な熱量と比較すると、無難に通史を描いたという印象でした。著者の専門とする木簡の読解についてはかなり踏み込んでいますが、それが当時の役人の生活や彼らの抱いていた世界像、そして朝廷の目指す政治理念の理解に結びついて叙述されているかというと、少し物足りなく感じました。
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日本の8世紀は、中国を範とした律令制を、日本の実態に適うように試行錯誤した、日本型律令国家の建設期である。この間の歴史は平坦ではなく、遷都が繰り返され、変や乱も相次いだ。木簡や文献史料、発掘の成果等により、天武天皇が飛鳥に都を造営してから、桓武天皇が平安京へと都を遷すまで、平城京の時代を中心に、古代国家百年の歩みをたどる。
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前巻までとは違い、資料の充実もあって一気に中身の濃密さが増してくる
唐に習い、あるいは否定しながら小さな国を運営しようとしているが、この時期の発展の大変さが現れている -
「借」(大学の図書館)。
日本史学び直しシリーズの一貫で読んだ。
かなり政変やら改革がおおい時代だなという印象。
かなり表面的な日本史を習ってきたのだなと痛感。 -
久々に読む講談社学術文庫版「日本の歴史」。この巻は8世紀、奈良時代の途中までを記述する。
壬申の乱から権力を獲得した天武天皇から聖武天皇のあたりの代は、比較的世は穏やかであったように見えるが、その後の政権争いはかなりひどく、たくさんの人名が出てきては消えてゆく。
聖武天皇の人物像が印象深かった。奥さんの光明子(不比等の娘)の影響から深く仏教に傾倒し、経本を書写したり、あちこちの寺に参詣したり、大仏建立に熱中したり。著者は冤罪から滅ぼされた長屋王に関して、自らの責を深く悔いたのではないかと推測しているが、なんとも哀れな感じがする。
しまいには政治をおろそかにしてまで信仰に没頭した挙げ句、出家して退位してしまうその姿は、なにか胸を打つものもある。
ずっとあとに頭角をあらわした道鏡は逆に、実にあやしげな、出世欲に翻弄された坊主。この人のイメージは、相当なクセモノ。
この本の著者は木簡の蒐集と解読が専門であるらしく、木簡に関わる記述がときおり入ってくるが、正直言って興味を持てなかった。
それに対し、この巻の扱う時代に成立している古事記や万葉集などについては、歴史的事実をあかす面でしか言及されず、これらの内容に示されている当時の人びとの精神世界については、なにも解説がない。
膨大な歴史的事実を記述するだけで精一杯なのかもしれないが、通史を書いているのだから、万葉集の中身までもちゃんと解説してくれないのは片手落ちというものではないだろうか。
主観的すぎても問題だろうけれども、世の歴史書があまりにも教科書的になってしまうから、歴史に興味を持てない子どもたちばかりになるのではないかと思う。 -
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