不確実性の時代 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919456

作品紹介・あらすじ

大恐慌、世界大戦、巨大企業の支配、貧困問題、核の脅威…「不確実性」はどこまで増大するのか?アダム・スミスから約二百年、経済思想は現実の政治・社会とどう関わり合いながら変遷してきたか。鋭い時代感覚とジャーナリスティックな視点で現代資本主義の本質を抉り出した「経済学の巨人」がわかりやすく解説する、「未来のための経済思想史」。

感想・レビュー・書評

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  • 社会現象は、測定できるとは限らない。測定したら現象そのものが変化する。確率と分布において原理的に不確実であることを、現象的にも不確実であることを記録している。 模型を数学的に操作し、ありえない空論を展開する人たちへの警鐘だったのかもしれない。

  • 文庫本じゃなくて単行本で読んだな。まだ持ってる。読み返すほどの本じゃないけど。

  • ガルブレイス 「不確実性の時代」

    アダムスミス、マルクス、ケインズの経済思想の大きな流れを押さえながら、現代の資本主義の経済や社会の不確実性に 警鐘を鳴らした本。この本の命題は 「私たちは何に支配されているか知るべき」というもの。最後は「核への脅威」への警鐘で終わった。

    ケインズ革命、貧困均衡の章は とてもわかりやすい。ケインズが解決したことと解決できなかったことを理解できた。

    著者は 資本主義社会の持つ不確実性への対策として、スイスの民主主義に有効性を見出している? 


    マルクスによる資本主義の矛盾
    *協同化していく生産の性格と 生産手段の私有 との矛盾
    *共産主義の形成→階級なき社会へ

    ケインズ革命
    *ケインズの体系の本質=失業をなくすこと
    *失業と不況には有効だが、インフレの対策にはならない
    *政府が借金をして投資すべき→貯蓄は減らず、企業や個人に投資される

    貧困の原因の一つ=土地と住民の関係→貧困の均衡=増えた食糧を増えた人口が消費してしまう。

    貧困の均衡を破るには
    *より多くの土地を供給する
    *土地の保有条件を変えて生産物を増やす
    *人々があまり子供を作らないようにする
    *人々がいなくなる

    スイスの民主主義の力と有効性
    *問題を解決するのは、市民であるという当事者意識の強さ(指導者には期待していない)

    スイス人の力の源泉
    *民主主義への個人的な関心、国土が狭い、地方の自治
    *スイス人の共同体意識〜個人的な金銭的利害に敏感
    *スイス人は原則より結果に関心を持っている

    最後の言葉「きわめて多くのことが不確実な時代にあって、一つだけ確実なことは〜核の脅威に取り組まなければならないこと」

  • 訳:斎藤精一郎、解説:根井雅弘、原書名:The Age of Uncertainty(Galbraith,John Kenneth)
    予言者たちと古典的資本主義の約束◆資本主義最盛期の行動と紀律◆カール・マルクスの異議申し立て◆植民地の思想◆レーニンと大いなる解体◆貨幣の浮き沈み◆ケインズ革命◆致命的な競争◆大企業◆土地と住民

  • wired・近代と社会・4位

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wired)
    1970年代後半、資本主義への不信感が募るなか爆発的にヒット。恐慌、貧困、巨大企業の独占など、経済学の巨人が描いた未来は、さてどの程度的中したか。

    ◆ユーザーからのコメント
    いまの時代って、気分的にはこの辺の”不確実”な部分に覆われてる気がしてならないのよね/思わず懐かしさに一票。本棚から久々に出してみよう

  • アメリカの異端派経済学者ガルブレイスの代表作。経済学がどのように発展し、現代がいかに不確実性に満ちたものになっていったかを豊富な実例で明かしてくれる。

  • 巨人・ガルブレイスによる、経済学史。

    原書は1977年発刊で、当時一世を風靡していたマネタリズムについては、殆ど触れられていない(まだ評価出来る時代ではなかった)こと、又、和訳文庫版はP.498に及び聊か文章が冗長な一冊であったことは残念だが、スミスから冷戦中期までの経済史について丁寧に追ってある良書。

    個人的には、全12章のうち、
     3. カール・マルクスの異議申し立て
     4. 植民地の思想
     5. レーニンと大いなる解体
    が大変面白かった。 

    星4っつッッッゥ!

  • 2011.1.17

  • 経済の不透明性を浮き彫りにした本。

    経済思想と社会の歴史は、切り離して考えることはできない。
    神話を信じるよりも、実態を見つめる。
    重要な真理からは目をそらさない。
    困難な問題でも正面から取り組んでいく。

  •  経済学者ガルブレイスによる経済思想史の本。かと思いきや、そこから派生する現代(不確実性の時代)に焦点を当て、企業・都市・民主主義などを議論する。

     アダム・スミスから始まり、マルクス・レーニン・ケインズと、今に続く経済の考え方を記述していく。そこから、冷戦期の経済体制にフォーカスする。

     今や、古典であるこの本は何を教えてくれるのだろうか?いや、これは何かを教えてくれるのではなく、そこまでの経緯を示すにすぎない。道の先の目的地ではなく、その道自体と今まで通ってきた道を記すだけである。
    そこから、目的地・中継点を考えるのが我々の今後の課題だろう。。

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著者プロフィール

1908年、カナダ・オンタリオ州に生まれる。1934年に米カリフォルニア大学で博士号取得。その後、ハーヴァード大学、プリンストン大学で教鞭を執るとともに、第二次世界大戦から戦後直後にかけては物価統制官や『フォーチュン』誌編集委員を務める。1948年ハーヴァード大学に戻り翌年以降経済学教授。1961年から63年にかけて、ケネディ政権下でインド大使、1972年にはアメリカ経済学会会長も務める。2006年没。著書に『アメリカの資本主義』(1952年)、『大恐慌1929』(1955年)、『ゆたかな社会』(1958年)、『新しい産業国家』(1967年)、『経済学と公共目的』(1973年)、『不確実性の時代』(1977年)、『満足の文化』(1992年)他。

「2016年 『アメリカの資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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