- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921329
作品紹介・あらすじ
神々や英雄への憧憬、聖人や名君への賞賛から生まれた名前。歴史と文化に根ざす人々の思いと固有のイメージがこめられている名前の由来と変遷をさぐり、多様な文化の交流と積み重ねの上に成立しているヨーロッパの発想、価値観、社会観を明らかにする。ギリシャ・ローマ神話からハリウッドスターまで、人名で読み解くヨーロッパの文化、歴史、民俗。
感想・レビュー・書評
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【展示用コメント】
ヘンリーはアンリ、マリアはメアリー
【北大蔵書目録へのリンク】
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序章 名前がもつ豊かな世界
1 名前に込める人々の思い
赤毛のアンと王女アン
ショーン・コネリーのスコットランド人魂
イシュマエルとエイハブ船長
2 ヨーロッパ人の名前の構成
ファースト・ネーム
サーネーム
職業・出身地・地位などを表す姓
ミドル・ネーム
3 名前のなかのヨーロッパ史
キリスト教以前のゲルマン人の名前
ゲルマン精神とキリスト教文化が融合した十字軍時代
宗教改革によるヨーロッパの分裂
名前にひそむ民族主義
第一章 ヤハウエが臨在するヨーロッパ人の心
1 男の代名詞ジョン
オネスト・ジョン
終末を恐れる人々が求めた人間像ヨハネ
ロシアが愛するばかなイワン
「シェーン」の背景に見えるアイルランドの悲しい歴史
フランス民族主義の華ジャンヌ・ダルク
ヨハネとイエスとヤハウエ
2 マリアを祝福するヨハネの母エリザベト
もっとも祝福された女性
豊饒の神エルと律法・契約の神ヤハウエ
ハンガリーの慈母、聖女エルジェーベト
3 サタンと戦う大天使ミカエル
神の玉座を支える大天使たち
ミッキー・マウスとアイルランド人差別
4 イスラエル十二支族の祖ヤコブ
神の祝福と恩恵
西方最大の巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラ
スコットランドの誇りジェームズ
5 キリスト受胎の栄光、聖母マリア
神を讃える受胎したマリア
マリアに込めた豊饒、勝利、愛への願い
永遠の女性
カトリックの慈母マリア
悲しみのから流れる愛と犠牲の神秘
愛しい少女ロリータ
第二章 殉教聖人にひそむギリシャの神々や英雄
1 運命の美女ヘレネ
ギリシャ・ローマ古典の象徴
コンスタンティヌス大帝の母、聖女ヘレナ
ヘレネの生まれ変わりエレオノール
2 パリスの添え名アレクサンドロス
「民の守護者」
理想王アレクサンドロス大王
ロシア愛国主義の原点アレクサンドル・ネフスキー
世界に名をなすスコットランドのアレクサンダーたち
3 馬の神ポセイドンにあやかる名前フィリッポス
力と権威の象徴
古代のマキャベリスト、フィリッポス二世
フランスの名君フィリップたち
4 勝利の女神アテナ・ニケと聖ニコラウス
英雄たちの知的な指導者
ミュラの聖ニコラウスを迎え入れた南イタリアのノルマン人
サンタ・クロースと聖ニコラウス
5 豊饒と正義を守る聖ゲオルギウス
人気のジョージ
メソポタミアの神話に由来する聖ゲオルギウス
第一次十字軍にかけつけた白馬の聖ゲオルギウス
春の神と融合したロシアのユーリイ
6 アフロディテの生まれ変わり、殉教処女マルガリタ
真珠の美しさから
アルフレッド大王とハンガリーの聖王との血をひく聖マーガレット
バラ戦争の渦中に生きた烈女マーガレット
庶民の代表グレートヘンとグレーテル
第三章 東からの光に照らされる覇者ローマ
1 ユピテルの末裔ユリウス・カエサル
神々の父、ユピテル
ホスピスをはじめたユリアヌス
貴族の令嬢ジュリエット
2 ロムルスの母アエミリア
勝利者にして自由人
ボッカチオとチョーサーが育てたエミリー
ルソーの愛し子エミール
騎士の華マクシミリアン
3 ローマの軍神マルス
かまどから生えてきた男根
聖マルタンとチャペル
福音者マルコとライオン
4 ユーノーと聖ルチア
5 女神ディアナと処女王エリザベス
6 ありし日のローマの光、ローレンスとローラ
第四章 キリスト教を受け入れて再生したゲルマン精神
1 ゲルマン人の信仰と名前
起源は神々
2 ゲルマン人の覇者、フランクのクロヴィス
「高名な戦士」
敬虔王ルイ一世と聖王ルイ九世
ドイツの祖ルートヴィヒ
3 誇り高き自由農民の祖カール
老賢人リーグの子
ヨーロッパの父、カール大帝
私のボニーは海の彼方に
ドイツ市民のあこがれの女性像シャルロッテ
4 ザクセンとアングロサクソンの聖王たち
ネルトゥス女神信仰
ザクセン再興の王ハインリヒ一世
強国イングランドを確立したヘンリー二世
イングランド統合の象徴、エドワード証聖王
5 ノルマンの英雄たち
イギリス建国の祖、征服王ウィリアム
フランスではギヨーム
ヨーロッパを股にかけるロベールたち
オーディンの知恵に明るいロベルト
6 西方十字軍のカトリック王たち
レコンキスタの英雄たち
サンティアゴ・デ・コンポステーラの建設者アルフォンソ二世
レコンキスタの完成者フェルナンド五世
第五章 現代に生きるケルトのロマン
1 よそ者として奴隷にされたケルト人
ケルト人は「外人」
独立運動の英雄
2 ドルイド信仰が生んだアイルランドの神々
心に深くケルト人魂
ゲールのマリア、ブリギッド
愛と若さの神エインガスに由来するギネスとヘネシー
3 タラの王族とアイルランド・サガの英雄たち
聖鳥と百獣の王
ヨーロッパ最古の王家オ・ニール
アイルランドのライオン、ブリアン・ボルー
豪勇の白い騎士フィン・マクール
4 ケルト再興の夢アーサー王
語源は「熊」か
イギリスにおけるアーサー王の系譜
永遠の恋人、王妃グウィネヴィア
5 スコットランド王家の祖たち
ダルリアダの王たち
精力絶倫の巨人ファーガス
スコットランド初代国王ケネス
スコットランド人の愛称ハイランド・ドナルド
第六章 北欧とビザンティンを繋ぐロシア
宗教の大きな役割
名前から見えるスカンディナヴィア的なロシアの起こり
ギリシャ正教に統制させるロシア人の名前
スラヴのシャルルマーニュ、ヤロスラフ賢公
ロシア初の殉教者、聖ボリスとグレブ
ロシアにギリシャ正教を受け入れた聖ウラジーミル -
講談社現代新書(1999年)の文庫化。この本を読んでいくと、歴史で習う人名と本書の内容が次々とリンクしていくので、とても刺激的でした。
ちなみに、辻原康夫『人名の世界史 由来を知れば文化がわかる』(平凡社新書 2005)もという本もあるようです。未読ですが。
版元の紹介文……「神々や英雄への憧憬、聖人や名君への賞賛から生まれた名前。歴史と文化に根ざす人々の思いと固有のイメージがこめられている名前の由来と変遷をさぐり、多様な文化の交流と積み重ねの上に成立しているヨーロッパの発想、価値観、社会観を明らかにする。ギリシャ・ローマ神話からハリウッドスターまで、人名で読み解くヨーロッパの文化、歴史、民俗。」
【目次】
はじめに
序章 名前がもつ豊かな世界
1 名前に込める人々の思い
赤毛のアンと王女アン/ショーン・コネリーのスコットランド人魂・イシュマエルとエイハブ船長
2 ヨーロッパ人の名前の構成
ファースト・ネーム/サーネーム/職業・出身地・地位などを表す姓/ミドル・ネーム
3 名前のなかのヨーロッパ史
キリスト教以前のゲルマン人の名前/ゲルマン精神とキリスト教文化が融合した十字軍時代/宗教改革によるヨーロッパの分裂/名前にひそむ民族主義
第一章 ヤハウエが臨在するヨーロッパ人の心
1 男の代名詞ジョン
オネスト・ジョン/終末を恐れる人々が求めた人間像ヨハネ/ロシアが愛するばかなイワン/「シェーン」の背景に見えるアイルランドの悲しい歴史/フランス民族主義の華ジャンヌ・ダルク/ヨハネとイエスとヤハウエ
2 マリアを祝福するヨハネの母エリザベト
もっとも祝福された女性/豊饒の神エルと律法・契約の神ヤハウエ/ハンガリーの慈母、聖女エルジェーベト
3 サタンと戦う大天使ミカエル
神の玉座を支える大天使たち/ミッキー・マウスとアイルランド人差別
4 イスラエル十二支族の祖ヤコブ
神の祝福と恩恵/西方最大の巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラ/スコットランドの誇りジェームズ
5 キリスト受胎の栄光、聖母マリア
神を讃える受胎したマリア/マリアに込めた豊饒、勝利、愛への願い/永遠の女性/カトリックの慈母マリア/悲しみのマリアから流れる愛と犠牲の神秘/愛しい少女ロリータ
第二章 殉教聖人にひそむギリシャの神々や英雄
1 運命の美女ヘレネ
ギリシャ・ローマ古典の象徴/コンスタンティヌス大帝の母、聖女ヘレナ/ヘレネの生まれ変わりエレオノール
2 パリスの添え名アレクサンドロス
「民の守護者」/理想王アレクサンドロス大王/ロシア愛国主義の原点アレクサンドル・ネフスキー/世界に名をなすスコットランドのアレクサンダーたち
3 馬の神ポセイドンにあやかる名前フィリッポス
力と権威の象徴/古代のマキャベリスト、フィリッポス二世/フランスの名君フィリップたち
4 勝利の女神アテナ・ニケと聖ニコラウス
英雄たちの知的な指導者たち/ミュラの聖ニコラウスを迎え入れた南イタリアのノルマン人/サンタ・クロースと聖ニコラウス
5 豊饒と正義を守る聖ゲオルギウス
人気のジョージ/メソポタミアの神話に由来する聖ゲオルギウス/第一次十字軍にかけつけた白馬の聖ゲオルギウス/春の神と融合したロシアのユーリイ
6 アフロディテの生まれ変わり、殉教処女マルガリタ
真珠の美しさから/アルフレッド大王とハンガリーの聖王との血をひく聖マーガレット/バラ戦争の渦中に生きた烈女マーガレット/庶民の代表グレートヘンとグレーテル
第三章 東からの光に照らされる覇者ローマ
1 ユピテルの末裔ユリウス・カエサル
神々の父、ユピテル/ホスピスをはじめたユリアヌス/貴族の令嬢ジュリエット
2 ロムルスの母アエミリア
勝利者にして自由人/ボッカチオとチョーサーが育てたエミリー/ルソーの愛し子エミール/騎士の華マクシミリアン
3 ローマの軍神マルス
かまどから生えてきた男根/聖マルタンとチャペル/福音者マルコとライオン
4 ユーノーと聖ルチア
5 女神ディアナと処女王エリザベス
6 ありし日のローマの光、ローレンスとローラ
第四章 キリスト教を受け入れて再生したゲルマン精神
1 ゲルマン人の信仰と名前
起源は神々
2 ゲルマン人の覇者、フランクのクロヴィス
「高名な戦士」/敬虔王ルイ一世と聖王ルイ九世/ドイツの祖ルートヴィヒ
3 誇り高き自由農民の祖カール
老賢人リーグの子/ヨーロッパの父、カール大帝/私のボニーは海の彼方に/ドイツ市民のあこがれの女性像シャルロッテ
4 ザクセンとアングロサクソンの聖王たち
ネルトゥス女神信仰/ザクセン再興の王ハインリヒ一世/強国イングランドを確立したヘンリー二世/イングランド統合の象徴、エドワード証聖王
5 ノルマンの英雄たち
イギリス建国の祖、征服王ウィリアム/フランスではギョーム/ヨーロッパを股にかけるロベールたち/オーディンの知恵に明るいロベルト
6 西方十字軍のカトリック王たち
レコンキスタの英雄たち/サンティアゴ・デ・コンポステーラの建設者アルフォンソ二世/レコンキスタの完成者フェルナンド五世
第五章 現代に生きるケルトのロマン
1 よそ者として奴隷にされたケルト人
ケルト人は「外人」/独立運動の変遷
2 ドルイド信仰が生んだアイルランドの神々
心に深くケルト人魂/ゲールのマリア、ブリギット/愛と若さの神エインガスに由来するギネスとヘネシー
3 タラの王族とアイルランド・サガの英雄たち
聖鳥と百獣の王/ヨーロッパ最古の王家オ・ニール/アイルランドのライオン、ブリアン・ボルー/アイルランドのヘラクレス、ク・ホリン/豪勇の白い騎士フィン・マクール
4 ケルト再興の夢アーサー王
語源は「熊」か/イギリスにおけるアーサー王の系譜/永遠の恋人、王妃グウィネヴィア
5 スコットランド王家の祖たち
ダルリアダの王たち/精力絶倫の巨人ファーガス/スコットランド初代国王ケネス/スコットランド人の愛称ハイランド・ドナルド
第六章 北欧とビザンティンを繋ぐロシア
宗教の大きな役割/名前から見えるスカンディナヴィア的なロシアの起こり/ギリシャ正教に統制されるロシア人の名前/スラヴのシャルルマーニュ、ヤロスラフ賢公/ロシア初の殉教者、聖ボリスとグレプ/ロシアにギリシャ正教を受け入れた聖ウラジーミル
おわりに
学術文庫版あとがき
主な参考文献