- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921695
作品紹介・あらすじ
なぜ、近代社会に貨幣・交換が肥大化したのか? 哲学、神話学、宗教学、心理学など超領野的展望を以て、経済の深層動因を剔出する。
感想・レビュー・書評
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KS2e
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のちに迷走した先生の初単行本を文庫化したもの。文章は明瞭でとても読みやすい。〈○○人類学〉など、学問の区分については「第五章 文化人類学における経済人類学」が参考になる。
【目次】
学術文庫版まえがき (二〇一三年三月 栗本慎一郎) [003-009]
まえがき (一九七九年九月 栗本慎一郎) [010-014]
目次 [015-019]
第 I 部 深層への回帰
第一章 経済人類学とは何か 024
なぜ「経済人類学」なのか/社会における「経済」の位置/無意識の問題への到達/小括――隣接諸科学とのかかわり
第二章 経済人類学の諸潮流 039
経済民族誌および機能主義経済人類学/新マルクス派経済人類学/純粋フォーマリスト/サブスタンティビスト(実存主義者)=ポランニー派経済人類学
第三章 ポランニーの経済史学 062
交易・貨幣・市場の持つ別個の起源/交易者と交易/貨幣的物在とその用法――言語・文字・度量衡とのアナロジー/市場の諸要素と起源/ポランニーの実在概念について
第四章 歴史認識におけるシンボリズムとコスモロジー 081
問題の所在/経済史から経済人類学へ/歴史解釈に対する三つの問題提起/共同体の本質規定と社会の統合の型――経済の内部(ウチ)と外部(ソト)/体外交易の経済人類学――商業史への視覚/「搾取」の歴史的概念とは何か/結論――歴史認識におけるシンボリズムとコスモロジー
第五章 文化人類学における経済人類学 109
文化人類学の構成分野/経済人類学と心理人類学、認知人類学、構造人類学/再び経済人類学の意義と位置について/再び「文化とパーソナリティー」および心理人類学について
第II部 交換・貨幣の両義性
第六章 沈黙交易 124
沈黙交易とは何か/沈黙交易をめぐる議論/日本における沈黙交易/交易地の神聖性/椀貸(わんかし)伝説と中宿(なかやど)交易/小括
第七章 貿易港と対外貨幣 146
「貿易港」と「虚構」の貨幣/奴隷貿易史におけるウィダ/ダホメ王国におけるウィダ/ウィダ経営の意味するもの/沈黙交易、「貿易港」交易/「虚構」の貨幣=「商品オンス」とは何か
第八章 貨幣の起源と本質――文明と貨幣 175
社会をとらえるもの「貨幣」――類型学を超えて/奇妙な市場経済志向/超地上的なもの――金の本質/社会と経済と貨幣/ソ連のルーブルとダホメの子安貝――非市場経済の貨幣の比較/社会的富と貨幣/日本古代国家と貨幣――「支払い」の意味論/共同体の生存を象徴するもの――貨幣の真の起源
第九章 貨幣のシンボリズム 202
貨幣性の聖域/貨幣の現象学へ/フロイトの貨幣論/貨幣の聖性と賤性――フロイト批判/ミルチャ・エリアーデの貨幣論――シンボルとヒエロファニー/示現する聖体/日本人の貨幣観/錬金術と貨幣の象徴/結論――周縁性と聖性・賤性
第III部 領野を超えて
第十章 魔力・経済倫理・法 244
恐怖と道徳律/ピーターブラウとマルセル・モース/交換と物の霊魂/ブラーフマナの財と貨幣の原在/魔力は物の霊魂(マナ)だけか/支配・社会的制裁・成文法/C・G・ユング――無意識からのエネルギー/メアリ・ダグラスの認識――外的(神話的)宇宙/魔性の出現形態/小括
第十一章 聖性と魔性の異人たち――民俗学(フォークロア)への視座 270
柳田國男の経済人類学/山人異民族説の挫折/漂泊の人々と交易の発生/聖性と魔性の異人たち
第十二章 実在的認識論の世界 287
我々には何が見えているのか/可視の構造と不可視の構造
初出一覧 [298]
主要文献 [299-306]