デリダ 脱構築と正義 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922968

作品紹介・あらすじ

ポスト構造主義を代表する哲学者、ジャック・デリダ。ロゴス中心主義が「まったき他者」を排除・隠蔽してきた歴史を暴き出した尖鋭で長大な問いかけは、我々に影響を与え続けている。脱構築、散種、差延をはじめとする独創的な概念を生み出した思想の核となる「哲学的」モチーフをとらえ、彼が呈示した「他者との関係としての正義」を潜在的・顕在的に追究する。

感想・レビュー・書評

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  • すごい。知っている世界が、くずれていく、、

    すべての他者との、初めから暴力的な関係性の中に、すでにある絶対的正義

  • 難しかった。評価はできない。

  • 【1】
    30 修論
    36 五月革命
    43 脱構築は哲学を文学に
    →ハーバーマスは批判、ローティは歓迎
    →デリダ・サール論争
    48 デリダの抵抗、ブルデュー
    52 ド・マン論争

    【2】
    55 解体の仏訳語としてデコンストラクション
    64 エクリチュールはパルマコン(知恵の、記憶の秘訣)である
    81 プラトン主義哲学、形而上学=二元論的分割
    82 形而上学の要素
    ①ロゴセントリズム
    ②フォノセントリズム
    ③現前(←ハイデガー)
    ④存在・神・目的論の構造
    ⑤ファロセントリズム(ファルス)
    84 現前(古代・イデア→中世・絶対神→近代・自己現前(コギト・意識・主観性))
    92 外部は内部の内部
    102 コーラ(場)
    106 パルマコン
    115 パルマコス Holocaust
    121 ソクラテスの幽霊、灰

    【3】
    129 破壊不可能な責任
    130 決定不可能性における決定=非暴力ではない
    原エクリチュールの原暴力があるから
    「暴力のエコノミー」非暴力を追求する行為自体が暴力となる
    133 固有名の暴力
    142 レヴィナスの暴力
    143 暴力性に無知なのは無責任→暴力にあらがう
    147 脱構築は他者への肯定的な応答、まったき他者の侵入
    149 言語の反復可能性(エクリチュールだけでない)
    ①パロールは語る主体が現前するが、エクリチュールは主体はない
    ②パロールは外的・現実的コンテクスト(周囲)も内的・意味的コンテクスト(文脈)もオリジナルで現前するが、エクリチュールはそうではない
    154 マーク(記号)
    159 引用 意味のイデア的同一性(←反復可能性)
    「最小のイデア化」
    162 形而上学的反復は同一の反復だが、デリダの反復は差異を伴う
    164 散種 無限の意味の繁殖可能性
    167 反復と散種でマークからマークの他者へ向かっていく運動を知る
    175 テクストを読むことは他者の署名に連署すること
    178 oui
    183 自由で自律した決定のまえに、他者への呼びかけへの責任、応答可能性がある

    【4】
    193 批判法学
    197 法は脱構築可能、正義は脱構築不可能
    203 独立
    208 現前は再現前の再現前
    214 不可能性の経験そのものが正義
    222 幽霊
    228 古典的な解放の理想を肯定

    【5】
    232 贈与
    254 主体は決定できない
    257 幽霊
    274 死者を葬る
    277 忘却

  • 難解なデリダということで読む前は萎縮していたが、噂通りの読みやすさに驚いた。文庫化されるだけある。「幽霊」の概念に興味を持った。デリダのプラトンの読みに関心があるので、『散種』を読みたい。

  • [出典]
    「現代思想入門」 千葉雅也
    P.34 デリダの入門書

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741204

  • 20世紀フランスの思想家、ジャック・デリダについての入門書です。

    デリダの哲学は、全体の見取り図を掴むことがとても難しいです。本書は、「脱構築」「エクリチュール」「代補」などデリダの概念を分かりやすく整理しています。

    なかなか授業で名前を聞くこともない哲学者かもしれませんが、デリダを読み始めるきっかけとして本書はとても充実した手引きになっています。

    所蔵情報(中央館2F:文庫・新書コーナー 135.5 D63)

  • デリダ入門書として非常によみやすい。
    エクリチュール、反復可能性、差延、散種などのデリダ語の使い方が見えてくるだけでなく、デリダ思想を一つの正義の思想として読み解くことで、脱構築が単に哲学の破壊ではなく肯定的な思想であることが分かってくる。
    本書を読む以前はポストモダン思想には破壊的・ニヒリズム的なイメージを持っており、脱構築もテクスト斜め読みのようなイメージを持っていたが、本書を読むことでそれとは全く異なる肯定的な他者の思想が見えてくる。
    現象学において他者とはなんなのか?という問いをぼんやり持っていたが、デリダはそこに一つの新しい他者像を提示しているのだろう。
    デリダの著作の入口として非常にモチベーションが湧く良い入門書でした。

  • "脱構築とは正義である"『法の力』
    デリダ後期において、政治性を帯び、それまでと異なった受け入れられ方をされた時期の概念を中心に解説された著書。まったき他者、幽霊、署名など重要概念がデリダの引用とともに分析される。序盤の生い立ちや、巻末付録の略年譜、主要著作ダイジェスト、キーワード解説も便利。
    <以下メモ>
    古代ギリシャからヨーロッパを覆う形而上学的な法=権利に対して、適用されきらない個別具体的なものからの反発、訂正。終わらない正義の決定不可能性(アポリア)が、脱構築の運動である。言説の解釈、決定の責任も同じ構造で、内外や上下、左右の二項対立を当てはめる階級闘争ではなく、既存のもの永遠に取り憑く複数の亡霊的な訂正可能性が脱構築であり、正義である。エクリチュールの毒と薬(パルマコン)の性質、ソクラテス=プラトンに遡って検証される。しかし、決断はされなければならない。
    絵葉書の偽造署名の問題系。特異性の絶対的自我はなく、署名は原署名への連署であり、偽造可能性が本質である。
    同様の構造に二重の肯定、語ることのウィ、聞くことのウィが言語以前の約束として、言語行為の前提となっている。応答可能性の責任とも繋がる。
    すべての他者に応じるような普遍的倫理を犠牲にして、ある他者に応じる絶対的責任を負うこと。キルケゴールの単独者的責任。

  • 分からないなりに楽しい。

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著者プロフィール

高橋 哲哉(たかはし・てつや):1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。東京大学名誉教授。著書:『逆光のロゴス』(未來社)、『記憶のエチカ』(岩波書店)、『デリダ』『戦後責任論』(以上、講談社)ほか。訳書:デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房)、マラブー編『デリダと肯定の思考』(共監訳、未來社)ほか。


「2024年 『沖縄について私たちが知っておきたいこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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