星界の報告 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062924108

作品紹介・あらすじ

物体の落下法則を発見したことで有名なガリレオ・ガリレイ(1564-1642年)は、コペルニクス、ケプラー、ニュートンと並ぶ「近代科学革命」の中心人物として知られている。
そのガリレオが初めてみずからの手で望遠鏡を製作したのは1609年7月のことだった。最初に完成したものは倍率が3倍ほどしかなかったが、そこから改良を進めて8月中旬には9倍、そして11月末には20倍の倍率を実現する。これは当時の技術レベルでは驚異的な水準で、これほどの性能をもつ望遠鏡を製作できたのはガリレオただ一人だった。
この圧倒的な優位を得て、ガリレオは天体観測を開始する。まず月から始められた観測は、月表面に起伏があることを明らかにした。翌1610年1月には望遠鏡を恒星に向けたガリレオは、天の川が無数の星々から成ることを見出し、さらに木星の周囲をめぐる四つの衛星を発見するに至る。早くも同年3月に出版された本書は、望遠鏡の話から始まり、月、恒星、そして木星の衛星の詳細な観測記録を含む、生々しいドキュメントにほかならない。
本書が与えた衝撃は、やがて伝統的な宇宙観を打ち壊す動きをもたらすことになる。地上世界と天上世界は異なる世界ではなく、同じ法則に従っている、という前提の下で「近代科学革命」が人類を大きく変えていく。
このような計り知れない意義をもっている本書を、世界の第一線で活躍する研究者が新たに訳出し、詳細な解説を書き下ろす。人類が初めて宇宙の姿の詳細を目の前にした時の貴重な記録、決定版が登場。

感想・レビュー・書評

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  • ガリレオの知的探究にかける真摯さが伝わってくる本。彼ら偉人のおかげで現代の科学が成り立っていると思うと、短くてもとても意味のある本だと感じた。

  • 月が昔から苦手だけれど星は好き、な天文学に興味を持ち始めた少女時代にガリレオ・ガリレイを知り、本書が出ているのを数年前に知って読んでみました。
    なんと魅力的な一冊!
    ガリレオ衛星から木星と近辺にある星たちを、自らの手で改良し製作した覗き眼鏡なる望遠鏡で、天体観測的に記録し、地球の動き、太陽や月の現象をガムシャラに、地道に記録し、報告した一冊です。
    ガリレオ先生はやはり偉大な方だと再認識しました。

  • 400年も昔のことなのに、一緒にメディチ星を見つけたり、月について考えたりすることができる本だった。
    昔の人やどんな人とも話ができるのが、本の魅力と誰かが言っていたけれど、本当にそのように感じた。

  • 著名な科学者の一人であるガリレオ・ガリレイ。当時、ガリレオにしか作れなかった高倍率の望遠鏡を使った天体観測。人類が初めて観測した天体の数々。木星の衛星について行った詳細な観測。観測・研究・考察の基本が詰まった本です。
    (K.K.先生) 

  • ガリレオが望遠鏡を作成して月や木星を観測した時の記録。

    今から400年前に月に起伏があることや木星に衛星があることを
    自ら作成した望遠鏡で観測した事実から述べている。

    当時発明されたばかりの望遠鏡(せいぜい2~3倍程度)の原理を
    自分なりに解釈し、さらに月面や木星の衛星が観測できる倍率まで
    精度を上げていること自体凄いのだが、
    月面への月の光の当たり方から、月面に地球と同じような起伏があることに気づいたり、
    木星の周りの小さな星の動きを観察して、それが衛星であることを見抜いたりしている。
    今では当たり前のことだが、400年前の常識からすれば、
    そんなことを思いつく方が凄い。

    ガリレオが当時望遠鏡で月や木星をどのように見ていたのかが判って面白い。

    ちょうど、この本を読んでいるときに中秋の名月の話がニュースで流れていたので
    写真を撮って、よく月面を見てみた。
    拡大して月の外周部分をよくみると、
    ガリレオの言う通り、きれいな円ではなく凹凸があることが判る。

  • ロマンしかない。

    望遠鏡の仕組みを知ったガリレオが、当時としては驚異的な20倍の望遠鏡を作り、それをもって天体を観測したガリレオによる報告書。

    望遠鏡は当然今の方が数段優れているため、観測したもの自体は小学生の自由研究でもできるレベル。しかし、ガリレオはその観測から月の表面に凹凸があることや、木星の近くにある4つの星が衛星であることを発見していく。当時の時代背景を考えると、ガリレオの想像力と理論の積み上げ方は驚異的と思える。

    今の情報からすると目新しいものはないけど、天文学の黎明と、科学がどのような僅かな積み重ねで発展してきたのかを体感できる本だと思う。

    また、自分は本来訳者のあとがきとか全く興味がないんだけど、p85からの訳者解説は本文の内容はもちろん、時代背景なども詳しく示してくれてとても面白かった。

  • 月の表面と木星の衛星を観察することで、地動説を証明しようとした本。

    おそらく人類で初めてそれらを観察したガリレオの興奮する姿が伝わってくる。

  • "Sidereus Nuncius"は,イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが1610年3月13日に出版した、最初の書籍。

    内容は,望遠鏡による月の表面や木星の衛星などの観察結果が中心。中でも木星の衛星については,時間経過による経過からその回転運動を予測しており,後の太陽中心説においても重要になる。

    簡潔な記述は科学的姿勢の模範である一方で,献辞であったり“Cosmica Sidera”(後に“Medicea Sidera”と改名)であったりリップサービスともとれる面もあり,当時の科学者の事情が伺える。

  • 『チ。ー地球の運動についてー』
    を読んでテンションが上がり一気読み。

    色々周りに気を使いながら観察して記録してさらに気を使いながら出版して
    それが現在の我々が味わえる
    まさに「まるで、奇跡ですよ。」

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著者プロフィール

数々の実験を考案して力学や地動説を確立した「科学の父」。

「2013年 『望遠鏡で見た星空の大発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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