ヒトイチ 警視庁人事一課監察係 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931205

作品紹介・あらすじ

人事一課(=ヒトイチ)監察係・榎本の任務は、警察官の不正を嗅ぎ付け証拠を挙げること。警察が警察を追う、内部捜査シリーズ第一弾

感想・レビュー・書評

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  • 朱に交われば赤くなる
    1話目を読んだ後の感想。
    あと、警察に恨みを持っている人は多いだろうなと思ったのが2話目の印象。
    セクハラ、パワハラは実際の警察組織でまだどのくらいあるんだろう?
    一般市民にまで恫喝するように話してくる警察の人もいるよね。被害者にも非があった、だから被害届は取り消せみたいな言い方を暗にされたこと実体験としてあったし。
    今回のヒトイチはそんな警察を取り締まる側の警察の話。けど同組織内の話だし、五十歩百歩な気もしなくもないかな。
    警察関係の話は好きだし、よく読むけどこの組織内でのグダグダな話とか対立とか、実際を知らないけどフィクションの世界ではよく描かれる構図だなという印象。

  • 警視庁人事一課は通称ヒトイチと呼ばれる。
    警察内部を取り締まる部署である。
    若手エースの榎本は、次々と内部の悪事を裁いていく。
    捜査対象となれば、持っている銀行口座から、家族関係から何から何まで調べられる。
    恐るべし…

    2022.1.15

  • 3.5

  • 【作品紹介】
    警視庁人事一課、通称ヒトイチの若手監察係長・榎本博史は、警視庁内部の不正に昼夜目を光らせていた。大組織の片隅で囁かれる噂や、匿名の内部告発を洗っていくと、思わぬ人物に疑惑がおよぶ。監察に追われたら最後、仲間の警官といえども丸裸にされる―。緊迫の身内捜査シリーズ第1弾!

    【感想】
    面白さに疑いの余地はない。
    ただ、濱作品は、「情報官」「青山望」「ヒトイチ」にいずれも、パターンが同じすぎる。
    また、いすれの主人公もスーパーサイヤ人並みに「超」が付くほど優秀で、感情移入しにくいのが「難」である。

  • 警察組織の膿を出す、「警察の警察」、人事第一課監察係、通称「ヒトイチ」の物語で、3編の連作短編。

    内部告発や、捜査情報の漏洩が疑われる事件などから警察官の不正が浮かび上がり、非行警官を追い詰め、丸裸にしていく。

    主役の監察係長、榎本は上司も認める優秀な捜査官。監察は、忌み嫌われる部署というイメージがあるが、榎本は誰からも好かれ、一目置かれるという人物像で、アクの強さはあまり感じ取れない。

    公安や組対といった部署との連携プレーなんかなさそうだが、時には協力を得て捜査が行われるのは、他の監察を扱った作品とは、また一味違う。

    警察上層部の非行案件となると、企業や政治家との結びつきが複雑すぎて、ピンとこない部分もある。

    調査の徹底ぶりはすさまじいものがあるが、「事件は必ず人と人が繋がって引き起こすものだ。膨大な資料の中からその接点を見つけ出す作業は気の遠くなるものだが、接点は必ずあると信念を持たなければ捜査はできない」という言葉にすべてが表れているのだと思わされる。

    警察内部を調べるということは、百戦錬磨の警察官を相手にするということで、事件捜査とはまた違った緊迫感が、ここにはある。

    作家さんの経歴を見ると、警視庁に入庁してから、警備部警備、公安部総務、そして内閣官房内閣情報調査室勤務といった錚々たる経歴の持ち主だった。

    情報戦の真っただ中で活躍してきた人だからこその作品だとあらためて納得できた。

  • 警視庁人事一課、通称ヒトイチの若手監察係長・榎本博史は、警視庁内部の不正に昼夜目を光らせていた。大組織の片隅で囁かれる噂や、匿名の内部告発を洗っていくと、思わぬ人物に疑惑がおよぶ。監察に追われたら最後、仲間の警官といえども丸裸にされるー。

  • 以前読んだシリーズの第一弾。らしい。ヒトイチが人事一家のことってのは覚えてた。にしても料理好きだったってことは記憶に無かったw

  • 警察の中でも、警察官自体の不正を調べる監察が主人公の警察物小説で短編3話。
    この作者の公安ものは結構面白いと思うが、その他のジャンルになるとどうも迫力が落ちる感じで、本作品も今一歩。
    暇つぶし程度としては損はなかった。

  • 監察係 警察官の不正をただすところ。
    自浄作用が活かされるといいのだが、
    やはり、圧力に屈するところがありそうだ。
    監察係の持つ、人的な資質に関与するんだね。
    警察の機構を鮮やかに切り抜いただけでも、意味がある。

    新宿署犯罪対策課課長代理 三田村陽一にまつわる話。
    腕利きで、ヤクザにアニキと慕われている。
    三田村には 新宿のルールがあった。
    花牧組に、顔を出し、新宿の縄張りを守っている。
    天真星という宗教団体をヤクザと一緒に脅していた。
    三田村の義父の土地を 天真星の下部組織の農業団体に売ったが
    転売されて、墓地になっていたことに言いがかりをつける。
    それで、定期的に 天真星より、お金が振り込まれることに。
    監察はそれを見逃さなかった。

    人事一課監察係係長 榎本博史は、天に二物を与えられた
    組対総務係長で、美人の高木和美の挙動に不信を持つ。
    この間 花牧組の関わる事件に 踏み込めば、
    もぬけの殻と言うことが、5件続いた。
    情報漏れはどこにあるのか?
    携帯電話などの情報をつかむことで
    高木和美のあられもない姿が 写っていたのだ。
    それで、脅かされて 情報を提供していた。

    監察は 銀行の金のやりとり、携帯電話の通信履歴
    はては 個人のパソコンまで 
    侵入して 情報を集めることができる。

    警察の内部情報にサイバーテロは 及んでいない。
    ホームページにはハッカーされたことがある。
    情報管理課があり、内部情報にアクセスすれば、
    ログが残る。しかし、情報管理課の人がアクセスする限りは、
    ログが残らない。ことを知って、情報を先取りする
    警察の上層部がいたことが、あぶり出される。
    これは、健全な仕組みでもあるが、
    監察係の資質によるだろうね。
    警察を守る警察 ということだが、
    妻になる菜々子が、仲人が課長と聞くと釣り合わないといい
    榎本が13年に8回も転勤したというと
    「何か悪いことしたの?」と聞くのが素晴らしい。

    それにしても、この榎本、追求する手腕が素晴らしいが、
    なぜか、ニンゲン的な悩みがあんまりないのがおもしろい。
    警官の鏡であり、純粋培養されているね。

  • 警察官同士の内部的な会話が面白い。

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著者プロフィール

1957年、福岡県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、警視庁入庁。警備部警備第一課、公安部公安総務課、警察庁警備局警備企画課、内閣官房内閣情報調査室、再び公安部公安総務課を経て、生活安全部少年事件課に勤務。警視総監賞、警察庁警備局長賞など受賞多数。2004年、警視庁警視で辞職。衆議院議員政策担当秘書を経て、2007年『警視庁情報官』で作家デビュー。主な著書に「警視庁情報官」「ヒトイチ 警視庁人事一課監察係」「院内刑事」シリーズ(以上、講談社文庫)、「警視庁公安部・青山望」「警視庁公安部・片野坂彰」シリーズ(文春文庫)など。現在は危機管理コンサルティングに従事するかたわら、TVや紙誌などでコメンテーターとしても活躍中。

「2022年 『プライド 警官の宿命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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