襲名犯 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931687

感想・レビュー・書評

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  • 何を推理すべき話なのか。hk

  •  書き手の熱さ(圧)が物凄く伝わった小説であった。もっとさらっと書いてグッと物語りに引き付けてほしい。問題はストーリーが平凡であること、殺人の動機が「殺人鬼に憧れる」だけでは説明不足である。書き手の熱さは読み手を暑苦しくさせる場合もある。

  • 「ブージャム」こと新田秀哉が何故カリスマ的存在にまでなったのか。
    実際、派手な事件を起こした者がインターネット上などで祭り上げられることはある。
    だがそれは一過性のものでしかない。
    匿名性に守られた無責任な人間たちが、勝手に「神」などと呼び盛り上がるだけの現象でしかない。
    物語の中では「ブージャム」はリアル社会でも信奉者がいた設定になっている。
    果たしてそんなことがあるのだろうか?
    ブームが去れば忘れ去られる…それが世間というものだと思うのだけれど。
    犯人にとって新田が特別な存在だったのは理解できた。
    精神的にまだ大人になりきれていない時期に出会った本物の「殺人者」。
    彼にしかわからないルールに乗っ取り、彼は淡々と人を殺していたにすぎない。
    けれど、犯人にはそれがとても魅力的に映ったのだろう。
    だが、自分が第二の「ブージャム」となって再び惨劇を繰り返す動機としてはどうだろうか。
    新田には新田なりのきちんとした動機があった。
    欲しいものを手に入れるために殺人を繰り返すしか方法がなかったからだ。
    犯人にも犯人にしかわからない動機がある。
    けれど、それは所詮模倣でしかない。
    何故なら、新田の動機には苦しいまでの「渇望」があった。
    犯人が望んでいたものは何か?
    新田に心酔しながら、実は心の憶測にある「憎しみ」に決着をつけようとしていたのでは?と思う。
    出版にあたりある程度の改稿もしたとは思うのだけれど、粗が目立つ箇所がかなりあった。
    乱歩賞受賞作というのは当たり外れが大きい。
    デビュー作ということを考えれば仕方がないのかもしれないが。
    帯に書かれている「時折ぎらきと光る」や「何かを伝えたいという思いが一番強かった作品」といった選考委員の声に表れている気がした。
    時折…とか、思いが強かった…とか。
    物語そのものを認めての賞ではないのだな、と感じた。
    将来性を買っての受賞なのだろう。
    今後の作品を楽しみに待つことにしよう。

  • ここ最近の乱歩賞としては面白いように思います。ただ、ここ数年の乱歩賞はひどいものが多かったからなぁ。
    かなり力が入ったというか、入り過ぎた作品で、伏線のはりかた、ミスリードのやり方があからさま過ぎて、逆に伏線が伏線として機能せず、ミスリードもされない結果となっている。
    でも、新人作家さんだからこれぐらいでいいと思う。構成は悪くないと思うし。
    これから先の作品に期待です。

  • レビューは追って。

    2016年1冊目。

  • 3.3

  • 時間を掛け過ぎて読んだ自分が悪いのだが、叙述が叙述になってなくて、犯人が判明しても、「ま、そりゃそうだよね、その人しか該当しないよね。」となってしまった…。

  • 襲名犯/武吉優輔:第59回大賞受賞。2013年。
    連続猟奇殺人犯の回想と死刑から始まる。弁護士に勧められ。獄中で3回結婚したとか、今までの殺人とか。彼を崇拝する者もいる。ブージャムと呼ばれる。
    図書館で働く男。双子だったが兄は養子に出され、前述の殺人犯の手にかかって殺される。またそれがきっかけで殺人犯は逮捕されている。養子先に養子に出された弟。兄の代わりを求められ、当然できず。
    殺人犯も図書館員も闇をかかえ、思考が難しい。選評はあまり良くないのだけれど、第二のブージャムは誰なのか、わくわくしながら読み進めたよ。

  • 一気に読みほした/ 「形」とはなんなのか、奇妙の謎が気になってぐいぐいと読み進めた/ しかし犯人の想像は容易だ/ わりと前半で疑いの情報を出したり、普通のミステリなら伏せられそうな情報を出したり工夫は見られる/ が、やはり容易に想像はついた/ 最後のあがきで目線を逸らすが、それでも他にいないだろうと/ この手の根暗葛藤系主人公の系譜はもういいんじゃないだろうか/ 乱歩賞系ミステリはこればっか/ 主人公みんな鬱病/

  • 第59回江戸川乱歩賞受賞作。これまでの受賞作品の中ではいちばんそれっぽい雰囲気があったかも知れない。少し物語が陰鬱すぎて感じるあたり。犯人が容易に想像できるあたり。物語としては面白く読んだが、ミステリとしてはどうだっただろう。

著者プロフィール

1980年茨城県生まれ。二松学舎大学文学部卒業後、東洋大学大学院で文学を専攻。図書館で司書として働くかたわら、小説執筆をつづける。
2013年、『襲名犯』で第59回江戸川乱歩賞を受賞。
2014年『レミングスの夏』、2016年『ペットショップボーイズ』を発表する。

「2017年 『レミングスの夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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