新装版 猟人日記 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931809

作品紹介・あらすじ

妻以外の女性を求め夜の街を彷徨う男。ところが仕留めた「獲物」が次々に殺され、現場には彼の遺留品が発見される。イヤミスの原点!

感想・レビュー・書評

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  • 2023/5/6購入
    2023/10/16読了

  • 60年近く前の作品なので所々古さを感じるところはあるが今のミステリーファンにも耐えられる傑作だと思う。当時直木賞候補になっており、松本清張がその選評で人間が描かれてないという主旨の評を残している。この作品に限らずミステリー作品で度々こういった批評を目にすることがある。それほど謎解き、トリックと人物を同じバランスで描くのは難しいのだろうが、どちらも必要不可欠な要素なのだろう。実際、伏線を複雑に張り巡らせ、トリックのアイデアも斬新で豊富なのだが、技巧に走りすぎるあまり肝心の人間描写に深みが足りず惜しいなと思う作品がしばしばある。その点、この作品に関して言えば松本清張の言うこともわからないではないが、私はそれよりも終盤犯人の予想がついてしまい、真実が明らかになった時の驚きが今ひとつ弱かったことにやや不満が残った。それでも本田一郎が徐々に見えない犯人に追い詰められていく過程には引き込まれたし、60年近く経った今でも色褪せないミステリーの傑作の一つとして楽しんで読むことができた。

  • 昼間は技師として働き、夜は身元を偽って女性を漁る男性。関係を持った女性の一人が自殺したことから一連の事件に巻き込まれていくミステリです。
    犯人捜しという点では分かりやすく、驚愕の真実というほどのものではありません。面白いのは女性たちへの感情の変化。第一部では女性たちがか弱い被害者に見えていたのが、第二部では図書館司書の行動に女性的でありながらも自立した姿を見、エピローグの部分では矛盾せずに愛情と憎しみを共存させる犯人の底知れない奥の深さに感動さえ抱きます。時代が変わり、携帯やDNA鑑定がある現代では成立しない犯罪。だけれど、諦観に近い孤独が似合うこの時代でないと出来なかった作品だと思います。

  • 作者の名前に覚えがあるな・・と思ったら、歌手だった、てかラジオで昔聞いたんだった。えらい渋い声だったんだ、という覚えだけが。。
    それはさておき、めっさ古い話らしくて、なんか江戸川乱歩とか、そんな雰囲気で、しかもどっかで聞いたことあるような話のような気もして、予定調和な世界がなきにしもあらずなとこもあるけども、さらさらーっと読めるという意味では良い時間つぶし。

  • 「絶えず我が腕の中でわななけり」美しい妻をもちながら、街で女を漁る男は“征服”の記録を残していた。ところが新しい獲物を射止めると、昔の相手が殺される事件が続発。死体のある部屋に閉じ込められた挙げ句、逃げ帰ったアパートからは秘密の日記が消えていた。鮮やかな結末が衝撃的な本格ミステリーの傑作!

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著者プロフィール

1931年、東京市生まれ。伊藤忠商事で英文タイピストをする傍らシャンソン喫茶「銀巴里」に出演しシャンソン歌手となる。62年『大いなる幻影』で第8回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー、翌年には『猟人日記』が直木賞候補となる。以降、数多くの著作を発表するとともにタレントとしてテレビ出演をするなど多彩な活動を行う。2016年歿。

「2018年 『緋の堕胎 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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