改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932653

作品紹介・あらすじ

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!? 日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場! 解説=綾辻行人

感想・レビュー・書評

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  • 屋敷の間取り図に付箋必須!
    御手洗潔シリーズ第2弾^ ^

    「異形建築もの」の代表作で、綾辻さんがこの作品のインパクトが自身の「館シリーズ」の着想なのではないかと解説している。

    北海道の最北端に建つ「流氷館」
    この館は、わざと傾いて建築されている。
    クリスマスパーティが催され、招待客と住人合わせて13人が集まる。
    翌日、1人の死体が密室で発見される。
    警察が数々の謎にお手上げ状態。
    そこで、御手洗潔が協力する事に…。

    面白いのは言うまでもありませんっ(≧∇≦)

    「読者への挑戦」あります。
    ミステリーの館系、それなりに読ませて頂いておりますが、中でも上位に君臨するくらいこのトリックは奇抜すぎます!

    よく思いつくなぁ〜。

    特に御手洗潔のキャラがいい。
    探偵あるあるの、空気読めない発言の数々とか。
    自分がトリックを解くと、皆も理解していると思って、聞かないと説明しない所とかw

    シリーズ全部読みたい(*´˘`*)♥

    • shukawabestさん
      shukawabestです。
      あるかもしれないですね。綾辻さんが「自身の館シリーズの着想なのては・・・(解説)」とKaniさんも書かれている...
      shukawabestです。
      あるかもしれないですね。綾辻さんが「自身の館シリーズの着想なのては・・・(解説)」とKaniさんも書かれているように、大きな影響を与えることはあるかも。若い頃に出会えれば、違った人生というのも大いにあり得ると思います。

      僕の場合は、朱川湊人さんの「花まんま」に出会っていなければ、読書やブクログはやっていなかったかも。若い頃に出会っていたら作家に・・・。いやいやそれは能力的に
      2022/04/21
    • Kaniさん
      shukawabestさん、こんばんは^ ^

      ですよねぇ〜。あり得ますね。
      人生を左右しちゃう本てやっぱすごい(゚ロ゚)

      作家も夢ではな...
      shukawabestさん、こんばんは^ ^

      ですよねぇ〜。あり得ますね。
      人生を左右しちゃう本てやっぱすごい(゚ロ゚)

      作家も夢ではないかもですよ。
      今の時代、何でもできますから、今からでも手段はいくらでもありますしね^ ^
      入口が広くなったかわりに密度が高く、レベル云々が問われますが…( ˊᵕˋ ;)
      ただ、どんな作家かによりますが、可能性は上がりましたよね!

      私は沢山の小説読んで、豊かな心で死にたいなぁ^ ^
      2022/04/21
    • shukawabestさん
      ごめんなさい。
      僕のコメント、途中で切れてますね。一時的なシステム不具合かと思っていましたが。
      確かに豊かな心で人生終えたいです。不満言い出...
      ごめんなさい。
      僕のコメント、途中で切れてますね。一時的なシステム不具合かと思っていましたが。
      確かに豊かな心で人生終えたいです。不満言い出したらキリないですし。朱川さんの他に、灰谷健二郎、遠藤周作、筒井康隆、眉村卓が僕に読む楽しさを教え、人格形成をしてくれた作家さんたちです。←消えたコメント、失礼しました。
      2022/04/21
  • 御手洗潔シリーズ2作目。
    あまりにも奇想天外過ぎる大バカトリックにめちゃくちゃ笑わしてもらった!
    こういうの大好き!

    • じゃおさん
      気持ちわかります!!
      私もこのすっごいトリック、大好きです〜!
      気持ちわかります!!
      私もこのすっごいトリック、大好きです〜!
      2024/03/07
    • MO-FUさん
      コメントありがとうございます!
      最高ですよね〜!あまりにも突き抜けてて清々しいですw
      コメントありがとうございます!
      最高ですよね〜!あまりにも突き抜けてて清々しいですw
      2024/03/08
  • 読んでみて、ハウダニット85%、ホワイダニット10%、フーダニット5%の印象です。
    まさに、"館"の殺人。
    表紙の絵を見て、「あぁ、そうだったん・・・。」でした。
    さすが、館シリーズのきっかけになったとも云われる作品ですね。
    ただ、個人的にはもっと人の想いが積み重なった果ての、殺人に至る「何故」を読むのが好きなので★はひとつマイナスです。
    箸休めしたら金田一シリーズを読もうかな。

  • 最北端に建つ斜め屋敷での殺人。
    ミステリー好きにはとても興味を惹く舞台。

    登場人物は癖が強過ぎ問題(笑)
    そして探偵役がなかなか出て来ない。
    2/3読み進めたところでやっと出てきた(笑)

    筆者から読者への挑戦を受けたが
    過去一想像もできないトリックなので、
    是非読んで解いてみてほしい。

    今回初めて島田荘司さんの作品を読んだが、
    自分の読解力がなさ過ぎるせいで
    少し読みづらさを感じた。

    例えばこれは誰視点なのか、
    このセリフは誰が発したものなのか
    混乱することがしばし・・・。

    まあ、事件には関係なさそうな会話は
    一旦深く考えずにすることで解決(笑)

    御手洗潔シリーズ1作目の「占星術殺人事件」も
    面白いと聞くのでそちらも読んでみたい。

  • 面白かった!
    傾いて建てられた館で起こった密室殺人。
    建物が複雑なため、読んでて混乱しちゃったりして見取り図を何度も見返した。
    読んでいて全くトリックは分からず、またアリバイや動機も合わせて不思議な事件。
    どうやったんだろうと頭をひねりながら読み進めた。

    御手洗潔は後半にようやく登場するのだけれど、登場早々笑わせてもらった!
    ナイト・ロウブの件といい、所々でクスッと笑えるネタを交ぜてあるのが好き。

    占星術殺人事件同様、犯人はとても情があって憎めないなぁ。
    むしろ好感が持てるくらい。
    読了感も良く、また他の御手洗シリーズを読みたいと思った。

  • 『御手洗潔シリーズ』の2作目。
    前作の『占星術殺人事件』に比べて導入部分などは、
    非常に読みやすかったのでスルスルと読み進めながら、
    展開図と睨めっこし、いよいよ読者への挑戦状。
    トリックはそれこそ想像の斜め上をいく、エキセントリックな内容で、
    現実的であるかの前に、この発想自体が素晴らしくて思わず声が漏れた。
    御手洗潔が後半から出てくるのだが、やはり登場するだけでワクワクしてしまう。
    強烈な個性と圧倒的な推理力、そして明かされる驚愕の謎。
    面白かった。
    館ものの中でも全て余すところなく、ここまでしっかりと設定や状況を使っているのは初めてかも。

  • 北海道の最北端 宗谷邸に傾いて建つ館,斜め屋敷。雪降る聖夜に、風変わりな密室殺人事件が次々と起こる。被害者は殺害されてから三十分後に悲鳴を上げ、踊っている。同時刻、空中を飛んで、女の子の部屋を覗く男が目撃されていた。次々と起こる密室殺人事件に、警察もお手上げ状態。探偵 御手洗潔は恐るべき密室殺人の謎を解き明かせるのか。

    御手洗潔シリーズ第二弾。異形建築物の先駆者的な存在であり、綾辻行人さんの「館」シリーズにも大きな影響を与えた作品。

    前作の「占星術殺人事件」も衝撃でしたが、こちらもなかなか。雪の上の足跡、密室殺人、死体は踊り、聞こえないはずの悲鳴が聞こえたと思えば、窓から覗く男が目撃され、挙げ句の果てに空まで飛ぶ。

    犯行のトリックも衝撃的。(個人的には前作"占星術殺人事件"より本作のが好きかも)

    トリックに少しくらい無理があってもいいんです。いかにドキドキワクワクさせてくれるか、が大事なんです。今までいろんな殺人に遭遇してきました(?)が、本作の密室殺人のトリックは結構お気に入りかもしれません。

    本作ではなかなか登場しない探偵の御手洗潔。登場してからのインパクト。世界観が一変する。本作でも相変わらず気分を浮き沈みが激しい。その狂人っぷりが愛おしい。御手洗潔シリーズおすすめです。みなさん興味があれば、ぜひ手に取ってみてくださいね。

  • 文字通り奇妙な屋敷を舞台での殺人事件を描いた長編。御手洗潔シリーズの3作目にあたるらしい。古き良きというか閉鎖された建物、限られた容疑者、ポンコツな警察という設定。トリックが肝な作品なので詳述は避けるが大胆とだけ記す。
    何かで読んだけどコレを読んで綾辻先生が館シリーズを書いたとしたら記念碑的作品といえよう。

  • こんなトリックもあるんだ!
    とても斬新で、忘れられない作品になりました。
    このトリック、一度はやってみたい…

  • とんでもないトリックに脱帽。登場人物も実に個性的で、書き分けが見事だった。途中何度も建物の構造の記述で混乱するが、同じくらい警察が混乱してくれたので安心しながら読んだ。不可解な出来事がいくつもおこり、モヤモヤしながら読むも最後の伏線回収は見事だった。作品全体を包み込む荒涼な印象が、とても好き。

  • 名探偵出るのが遅すぎてまだかまだかと待ち構えていてやっと御手洗登場!とおもったらあっという間に謎解きが終わった。
    密室が毎回より強固になっていて全然わからなかった。館自体が動くとか大掛かりな仕掛けと思ったら本当にただ斜めな館だった。それ故にフェアだったと思う。

  • 『占星術殺人事件』に続く御手洗潔シリーズの第2作目。

    著者曰く、この作品を読んだ綾辻行人氏が「こんな作品を書いていいんだ」と勇気づけられ、それで『十角館の殺人』を書いてデビューしたそうな。
    (島田荘司. "本格ミステリの原点に立ち返った新連載『ローズマリーのあまき香り』島田荘司さんロング・インタビュー". ダ・ヴィンチWEB . 2022/1/7)

    "不可能"を"可能"にする、ある意味力業とも言えるこの大トリック。
    度肝を抜かれると言っても過言では無いだろう。

    是非ご一読あれ。

  • さすが島田荘司!!
    面白いー!!御手洗登場してからは一気読み!!!

    犯人自体は怪しさ満載だったので、なんとなく予想はつくんだけど、家の図解を見ててもトリックには思い至らなかったなぁ。
    まぁ、細かいこと言うと、横向きで寝てたらどうするのかとか、その時誰か階段通ってたらすぐバレるやんとか、屋上で寒い中雪下ろししてたら身体冷え切って鼻真っ赤になってるやろとか、色々ツッコミたかったけど、そんなことどうでも良くなる。

    屋敷自体が殺人のために作られたってもうそれだけでやられたーって感じ。
    斜めに理由があったんだと。
    こういうしっかり考えられたミステリーはほんと、読んでよかったと思える。
    楽しい読書でした!

  • 北海道の宗谷岬に傾いて建つ館・斜め屋敷。この奇妙な館で催されたクリスマスパーティの翌日、招待客が密室で殺された。警察を呼ぶも繰り返される惨劇。御手洗潔はこの謎を解き明かすことができるのか。

    こういう変な屋敷を見ると、館シリーズを思い出してワクワクしてしまう。そのルーツとも言うべき作品で、解説が綾辻先生なのもよかった。母屋と塔が斜めになってるだけならまだしも、内部が迷路で図を眺めても複雑すぎて大混乱。よくこんな建物を思いつくなと。

    そこに雪とともに降り積もっていく謎。塔から見える花壇、密室で繰り返される殺人劇、人では登ってこられるはずがない場所で目撃された人形。形の合わないパズルだと思っていたものが繋がった時の気持ちよさはさすが。トリックはこんなんあり?!という強烈なもので、一度読んだら一生忘れられないインパクトがある。今回も作者からの挑戦状があるんだけど、勝った人っているのかな?犯人の目星はともかく、このトリックは思いつかない(笑)

    傾いて歪んだ館に生きる人々。その奥底で真っ直ぐな線を結んだ人間関係が物語の余韻となってよかった。トリックや御手洗の振る舞いこそ大胆不敵ながら、こういう人の感情の描き方はほろ苦く繊細。丘でのラストシーンは美しかった。やっぱり、館が人を殺すのではない。館を造る人の意志が人を殺すんだよね。残念だったのは、御手洗たちが出てくるのが遅いこと。御手洗と石岡のやり取りをもっと見たかったかな。でも、ちょっとしたサプライズもあって、それはとてもよかった。

  • ああ、これは傑作だ。
    図9の衝撃よ…

    犯人はアリバイが完璧すぎたり、挙動不審が見られて怪しいとは思ったが、そのトリックは思いつかない!笑

    物理トリックの最高峰という触れ込みで、確かにその通りなのだけど、ちゃんと人間ドラマというか、感情の機微みたいなものも描かれていて、心地良い読後感。

    メインとなるトリックについて「そんなに上手くいくか?」という批判があるのは理解できるが、自分にとってそれは重要ではない。(自分で思いついたうえで確実性が低いからって選択肢から除外したならまだしも、自分の頭では思いつきもしないので)

    詰まるところ、自分は「その手があったかー!」とハウダニットが鮮やかに解決する瞬間があれば良いのだと気づいた。そういう意味では、この本で言うと、図9を目にした瞬間に目的は達成された。

    ということで、この作品は自分のツボを認識するのに役立った。
    誰もが勧める「十角館」「そし誰」も当然質は高かったけど、自分はこういうのが好き。

  • 名作と勧められたため読んでみました。
    残念ながら個人的には良さが分かりませんでした。
    斜め屋敷のトリックは大胆だなぁと思いますが、
    そんな上手くいく!?と感じてしまいました。

    全体的には文章がくどいと言うか長いと言うか…
    登場人物のセリフも文中に「ですがね」「ですわ」「わはは!(笑い声)」「ふうん(相槌)」等が多用されすぎて鬱陶しかったです。結果登場人物の誰の事も好きになれず、感情移入も出来なかったです。
    あとは警察があまりにもポンコツすぎて…。

    今作は拍子抜けしましたが、一作目の方が面白いという意見もあるので読んでみたいです。

  • シリーズものだったのか…しまった!笑!

    推理小説のおすすめとしてあがってきたので内容未読にて。
    うーん、どうやらこの御手洗くんがポイントなのね。
    いやいや、御手洗くん登場まで長すぎないか?!
    屋敷の構造がなかなか覚えられなくてイマイチ解決編読んでも
    うーん…っと。
    1人の人間を殺すために建てた館ってのはなかなかの猟奇執念でよかったけど、そ、そんなうまく刺さるのか氷柱凶器!!!
    構想は面白いけど。

    日下くんはなんとなく、あ、こいつ死んでねぇなと思いましたが。

    全体的にはなんてゆうか御手洗くん登場までが長くてそこからのテンポがいいから(まぁ解決中心だから仕方ないか)余計になっっっげぇな!という印象。

    順番逆になるけどシリーズ一作目読んでみなくちや。

  • トリックが面白かった。傾斜を使ったトリック、というネタバレを事前に別作品で知ってしまっていたのだが、しかしそんなことを知っていてもなお全くトリックはわからず、真相が明かされてようやく「ああなるほど」と理解できた。多少ネタバレされようとも関係ないんだな、と思う。
    御手洗潔が登場するまでが鬼のように長く、警察官たちが右往左往している様を読むのはやや苦痛だった。状況を整理するために必要だったというのはわかるのだが。
    それと英子とクミのやりとりが本当にだるかった。時代ゆえという部分もあるのかもしれないが、典型的な女のいがみあいは読むに堪えなかった。あまりにもテンプレすぎて、1980年代の男性がイメージする女性間関係ってこんなだったのか……?と残念に思った。あの人間関係、この作品に必要だったか……?
    それでも「読者への挑戦状」は心が躍るし、解決へ至るまでの論理展開はとてもよかった。占星術殺人事件の方が全体としては好きだった。

  • 島田さんの作品は文体的に読み進めるのが苦手な部類に入ります笑
    ですが読み終わるとしっかり面白かったな、新本格ミステリーを読めたなと満足できるので遅読になりつつのんびりと読んでます。
    見取り図好きとしては3D見取り図が挿入されていたのでワクワクしながら読み進めました。

  • 北海道稚内の流氷館での殺人事件
    この作家さんは2冊目(御手洗シリーズ2作目)

    .最初の人形のバラバラ事件で
     体をすぐ回収したところ
    .2番の殺人で部屋に入る時
     花瓶を落として割ったところから
    犯人は「浜本」と予想
    犯人の犯行動機は
    悲しくて理解できるところもあった
    友との約束等..
    建物が菊の花に見える作りは
    綺麗だなと思った

    この小説の舞台の時代
    戦争に行って戻ってきた人達が
    社会を立て直し続けてきた頃から見て
    (..黙々と立て直してくれたからこそ)
    ..今は何て恵まれているのだろうと
    心底思う
    小説の中にもそういうエッセンスが出てきて..
    自分より先まで生きる世代の人達にも..
    ミステリー楽しめる世界だといいなぁと思った
    名作と言われるだけあって
    面白かった

  • 全くトリックが分からなかったので、読者への挑戦状をスルーしてそのまま答え合わせに行きました笑

    御手洗さん、相変わらずの奇人っぷりでほんと面白かったです

  • 御手洗シリーズ2作目。吹雪の中傾いて建てられた屋敷で起こる殺人事件。警察が色々調べるが密室の謎は解けぬまま次の被害者が……!!
    御手洗は後半に登場するんだけど、そこからは一気読み!最高に面白かった!!このトリックめちゃくちゃ好き!綾辻さんの解説も豪華

  • トリックが本当に笑えるくらい大胆。
    壮大なピタゴラス装置すぎて感動した。

  • 初、島田荘司。

    「ロシア幽霊軍艦事件」「魔人の遊戯」がお薦めということだが、本屋さんで表紙が気に入って(!?)これを一番に。ほんとはデビュー作「占星術殺人事件」が無かったので。

    まさに本格推理だった。楽しんだ♪こういうのも私、好き。

    『北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。...』(帯)

    表紙とマッチして、びょうびょうと寒風吹きすさぶ北の果ての謎めいた館。
    江戸川乱歩を読むような、ポーを髣髴させるような。
    「モルグ街殺人」を、「まだらの紐」を思い出させど、それは違うのだ。

    途中まで読んできて前に戻って「あれ?」と頭をひねり、推理し、犯人の検討をつけるも、やっぱりわからなくて、名探偵の御手洗潔氏に密室の謎解き、あっと驚く殺害方法を解いてもらい、犯人の動機に触れる。

    プロローグに添えてあるボードレールの詩が実にいい。

    『我は雨国(あまぐに)の王者と似たり。富みたれど不能なり、若くして老衰者なり。
    狩の獲物も、愛鷹も、おばしまの下に来て、植えて死ぬ民草も、何ものも、この王を慰めず。』

    かくして、憂鬱と辟易と無聊は謎のお城(館)を築く。ここにも出てくるがドイツ、バイエルンのルードヴィッヒ二世の作った「ノィシュヴァンシュタイン城」を観光した時の狂気じみたお城は忘れられない。

    実を言うと、トリックで「えーっ!」って思ったところもあるが(古典的な作品でもこれは多い)、探偵御手洗氏のキャラクターの面白さと、地の文の寂寥感が覆ってあまりある。

  • 御手洗潔シリーズ

    北海道は最果ての地に傾いて立つ通称「斜め屋敷」で起きた連続殺人、と聞いただけでワクワクする。
    奇天烈な屋敷の構造に何度も何度も図面を見て四苦八苦するのもまた楽しい。
    御手洗潔シリーズといいながら、本人が登場するのが残すところ3分の1にっなってからというのも珍しい。
    犯人と凶器は想像どおりだったけど、その使い方には度肝を抜かれた。そうか!そう言う事だったのか!とある意味気持ちいい。

    いよいよ次は「異邦の騎士」へと進みます。

  • 御手洗潔シリーズの二作目です。

    『占星術殺人事件』と双璧をなす傑作とも称されるだけあって、独創性溢れるメイントリックは、恐らく一度読めば忘れられないのではないかと思います。

    実現可能かどうかは別として、シンプルかつ大胆な発想に改めて感服しました。

    探偵役を務める御手洗の登場が遅くて、かなり焦らされるのですが、登場と共に雰囲気を一変させる存在感は、やはり凄いものですね。

    一瞬で不可能を可能に変える大技が炸裂する、まさに驚愕という言葉が相応しい作品でした。

  • たまたま本屋で借りました。
    名作と言われているみたいですがちょっと自分には合いませんでした。
    読み進めてたら何か古臭いなと思って調べてみたら40年も前の作品なんですね。

    つららを滑り台みたいに滑らせて殺すとか無理やろ

  • 1982年の作品の改訂完全版です。
    もの凄いトリックの応酬でした。
    謎と伏線が多いので、ノートにメモをするか、付箋を貼ることをおすすめします。
    最後には全ての謎がスッキリ解けます。
    解説にも書かれていますが、綾辻行人さんの「館シリーズ」に登場する探偵役の島田潔の名前の由来は、島田荘司と御手洗潔です。
    これぞ、本格ミステリな作品でした。

  • 御手洗潔シリーズが読みたいと思い。
    調べるとシリーズで30本くらいあるそうな。
    全て揃えるのは難しいので、とりあえず傑作と言われる斜め屋敷と異邦の騎士を購入。
    占星術殺人事件が抜群に面白かったので期待大でした。
    御手洗潔シリーズ?
    なかなか御手洗さん、登場せずで何度か確認しました。
    やっとお出ましになったのは後半。
    変わらず飄々としていて、周りが振り回されるのが面白い。
    さて、これは映像で見たいトリックです。
    こんなに上手くいく?!と思いながらも、上手くいくところを見てみたい。
    鼻持ちならない英子お嬢さんのその後がとても気になる。日下くんも。
    傾いた家で暮らすと不調を起こすと言われているので、こんな屋敷は現実的ではないけど、面白いです。

  • 4.2

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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