呉越春秋 湖底の城 五 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933124

作品紹介・あらすじ

楚王の死去を知った伍子胥は呉王・僚を討つ。公子光は呉王闔廬となり、その子・終累は太子となった。子胥は闔廬に後年『孫子』で名を馳せる孫武を推挙する一方、闔廬の命で呉の外交を任されている季子のもとを訪れる。季子は「斉に対して呉は敵対する意志がないことを伝えるべし」と述べ、子胥がその使者となった。斉に入った子胥は、その足で孫武と、孫武のもとに預けた褒小羊を迎えにいく。孫武の献策により、次々と敵を懐柔していく闔廬。いよいよ、子胥の悲願でもある楚との決戦が迫ってきた! 決戦前夜、伍子胥篇第五弾!

感想・レビュー・書評

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  • 孫武の冴え渡る戦略。
    伍子胥の影が薄い5巻。
    楚への復讐が近づく中、越の影が大きくなりつつある。

  • 本巻でひときわ輝きを放っていた登場人物は、孫子こと孫武だろう。
    後宮の貴妃を兵にみたてて訓練するという、あまりにも有名なエピソードは読んでいて心が躍った。
    無名の彼がその兵法により世に出ていくさまは痛快だ。

    「人の幸と不幸は、人とのめぐりあいで変わる。」『右[示右]の帰郷』より。
    「人はおなじ感情をもちつづけることは、そうとうにむずかしい。」『子胥の外交』より。
    「目のまえに倒れている者を救うことは、たしかに人助けにはちがいないが、視界の外にいる者たちを救うのが為政者のつとめである。無形の形がみえるか、無声の声がきこえるか、それが人の上に立つ者の良否となる。」『子胥の外交』より。
    「自大の叫びは、世の顰蹙を買うだけであろう。」『孫子の兵法』より。
    「復讐心は、他人を殺すが、それが返ってきて、おのれを殺すもととなる。」『孫子の兵法』より。
    「理を極限まですすめてゆくと、非常識とかわりがなくなる、ともいえる。」『春景色』より。
    「人の思考と行動を解く鑰は、多くの人がみのがす細事にあります。」『女兵』より。
    「人を試すことは、おのれが試されることになる。」『女兵』より。
    「ものごとには多面があり、人はどうしても一面しか視ず、そこから事象の深奥を洞察しようとする。視点を移して、ほかの面を視ることは、かんたんなことであるようにみえるが、じつは至難である。つまり、他人の意見はほかの面を映す鏡となるので、他人の話をきくことも大切なのである。」『女兵』より。
    「他人の晦さは、自身の幸せ、であるとはいえ、国も人もおなじで、謙虚さ、慎重さを忘れてはなるまい。」『季子の死』より。
    「強くなることを急ぎすぎると、かえって弱くなり、大きくなることを急ぎすぎると、かえって小さくなる、ということもあるのです。」『季子の死』より。
    「失敗を失敗のままおわらせることを、ほんとうの失敗というのです。(中略)ほんとうに努力した者は、たとえ失敗しても、そこに成功への鑰をみつけているはずです」『鍾吾と徐』より。
    「他人のためになにもしないで、おのれだけが助けられる人は、この世にいません」『神出鬼没策戦』より。
    「計画が精密すぎると、かえって窮地におちいることがあるのです」『神出鬼没策戦』より。
    「すさまじい努力をしても、時と人にめぐまれなければ、花は咲かぬ。」『神出鬼没策戦』より。
    「大事をなすためには、小事をおろそかにしてはならない。」『呉軍と越軍』より。

  • 風とは威風であり薫風であろう。子胥の影響力の強さを端的に述べたものである。稀に「気」を感じさせる人物がいる。体から放たれる波動を感じて襟を正すことがある。老若はあまり関係ない。自信に満ちた生きる姿勢から生まれたものか。あるいは修羅場を知る者の覇気が伝わってくるのだろう。
    https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_28.html

  • 132

  • これが「孫子の兵法」だ! 

    春秋戦国時代の英雄を活写する 父と兄を殺めた祖国・楚に復讐を誓った伍子胥は、楚から呉に移り、決戦の時を待ち構えていた。そこへ後年、孫子と呼ばれる無官の斉人・孫武が軍師として現れる―。大河中国歴史小説。逸話満載の伍子胥篇!

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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