60 誤判対策室 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938754

作品紹介・あらすじ

老刑事・有馬と、女性検察官・春名、若手弁護士・世良の三名は、「誤判対策室」に配属された。無罪を訴える死刑囚を再調査し、冤罪の可能性を探る組織だ。配属から半年後、有馬は行きつけの飲み屋の女将・綾子から不穏な話を聞く。最近来た二人組の男客が、殺人の犯行を仄めかすような話をしていたというのだ。冤罪事件に関わっているのではないかと有馬は疑い、該当する事件を突き止める。2011年に母親とその子供二人を殺害した罪で、古内博文という男の死刑が裁判員裁判で確定していた。誤判対策室は調査を開始し、綾子が言っていた怪しい二人の内の一人の身元を割り出す。大窪という男が判子詐欺の容疑で捕まったのだ。有馬と世良がその線を調べていくうちに、古内の娘・琴乃が詐欺事件に関わっている可能性が浮かび上がる。しかも、その夫の矢野高虎は、殺人を仄めかしたもう一人の男かもしれないのだ。──迫りくる古内の死刑執行。有馬は警察の取り調べ記録を、春名は検察の証拠品リストを、世良は解剖医の鑑定書を、それぞれ洗い直すとに!

感想・レビュー・書評

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  • 無罪を訴える死刑囚を再調査するため、新たな組織が編成された。それが『誤判対策室』。

    そこに配属されたのは、女性検察官の春名、老刑事の有馬、そしてイケメン弁護士の世良。
    それぞれ訳ありの3人が集まる組織に、どんな難問が降りかかるのか?

    基本的に、誤判対策室は、警視庁や検察庁から疎ましく思われていた。
    確かに、一度確定した判決の粗探しをするような組織に、好意を寄せるところなどあり得ない。

    ある日、有馬が掴んだ冤罪の可能性のある死刑囚。
    しかし、調査を進めても、冤罪の可能性を示すカケラもない。
    果たして、この死刑囚は、本当に冤罪なのか?
    本人も自白しており、周りの状況も、彼の有罪を示すものばかり。

    いよいよ、死刑執行の日、あと1時間となった時、有馬が取った奇想天外の方法とは?
    死刑を停止させる為に取ったこの方法は、さすがに驚きの展開ですね(O_O)

    最後に下す世良の判断とは?
    正義と真実の間に揺れる言葉とは?

    本当の真犯人は、誰なのか?
    どんでん返しの、更にその裏とは?
    一部を読者に委ねる、この様な終わり方もあるんですね。

  • 刑事の有馬、弁護士の世良、検事の春名の3人から成る「誤判対策室」。死刑囚が起こした事件の冤罪を洗い出す組織だけど、その組織の真の意味を知るとちょっと怖い。
    そして結局この事件も黒幕が誰かは明らかにはならないけど、でも「死刑囚が冤罪である」ということを証明するのが目的なのかと。

    最初は微妙な雰囲気だった3人が、徐々にチームワークをもって行動していく流れも良かったし、まだ続編もあるようなので読んでみたい。

  • 初めて読む作家さんだったので、
    どんな展開になるか期待しつつ読んだ。

    読みやすく、登場人物の設定もわかりやすかったが、終盤話が動くまではもどかしかった。
    胸のすくようなラストとは言い難く、期待がちょっと空回りしてしまった。

    ドラマ化が決まっていて、定年間近の刑事を演じるのは館ひろしさん。
    原作の人物よりだいぶかっこよすぎる感じがするけれど、
    どんな風に演じるのか、
    こちらにも期待してしまう。

  • Audibleで視聴。冤罪によって死刑が確定した被疑者を死刑執行ぎりぎりで救う話。様々な人の思惑が絡み合い、なかなか事件の真相に迫ることが難しい。一応の決着も果たしてそれが真実なのか…と信じきれなくなるくらい人間の奥底は計り知れないなと思わされた。ほとんど最後の方まで冤罪の手掛かりが掴めないのでずっとやきもきした感じだったが、最後の方は楽しむことができた。正直そこまで行くのに長くて挫折しそうであった。

  • 老刑事、女性検察官、若手弁護士からなる新設の誤判対策室。無罪を訴える死刑囚を再調査し、冤罪の可能性を探る組織だ。偶然耳に入れた情報をきっかけに、死刑執行寸前の事件の真相を追う。
    Audibleで聴く読書。あらすじの内容から期待したが、中盤の冗長さがラストまで引きずり盛り上がりに欠けた。女性弁護士のキャラクターが浅く、人の生き死に関わる存在としての違和感が常に残る。

  • 全てにおいて普通でした。

  • Audibleで。
    主人公のやる気なさに、初めは聴くのをやめようかと思いましたが、途中から引き込まれました。
    真実はわかりませんね、

  • 有馬は必ずと言っていいほど犯人を自白させる刑事であった。
    しかし、ある時罪を自白させた相手が冤罪であることが判明する。その相手は自殺を図ったことを知る。罪の重さに落ち込む有馬は仕事が手につかず世良弁護士、春名検事と3名から成る「誤判対策室」に配属された。つまり、死刑判決を受けた死刑囚を無罪の罪と証明する部署であった。
    よくよく調べると、誤判対策とは名ばかりで実際には死刑執行を早める部署だと知る。
    ある日有馬は自殺した男の妻から冤罪によって死刑になる男がいると聞く。
    古内という男は長谷川由美子という女とその子ども2人を殺害したと自供しており、凶器は見つかっていないものの、犯人しか知り得ない殺害方法まで知っていたため犯人と確定され死刑囚となる。
    罪を償う一心で有馬はほかの2人と共に冤罪であることを暴こうとする。わずかな情報をかき集め見えてきたのは、古内の娘とその夫であった。
    時間は限られており、冤罪を訴えるほどの証拠を集められずついに死刑執行の日を迎えてしまう。有馬は自分が犯人だと嘘の供述で逮捕され死刑は寸前のところで中止となる。
    世良と春名は残された時間で証拠を集めついに、真犯人逮捕へ導く
    2019/06/10 14:43

  • 初めての作家さん。老刑事有馬、若手弁護士、女性検察官の3名から成る「誤判対策室」に配属され、無罪を訴える死刑囚を再調査する。半年後、有馬が小料理屋の客が殺人を仄めかしていたという情報を入手し、冤罪調査に動き出す。途中、中だるみもあったが終盤息を付かせぬ展開。表紙がWOWOW連続テレビ化された時の配役で舘ひろしが扮しておりイメージができてしまった。

  • ★5に近い★4ってことで
    刑事、弁護士、検事の3人からなる誤判対策室が
    死刑囚の冤罪を調査する話
    3人はそれぞれ思いがありそれが徐々にあきらかになる
    冤罪調査もまた難航しながらも真相に迫る
    おもしろかったです

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著者プロフィール

1985年神奈川県生まれ。25歳のときに書いた『グレイメン』で2011年に国際的小説アワードの「ゴールデン・エレファント賞」第2回大賞を受賞。’12年に同作品が日米韓で刊行となり、26歳で作家デビューを果たす。『エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守』は、経済学を絡めた斬新な警察小説として人気を博した。また’18年に『60(ロクジユウ) 誤判対策室』がドラマ化され、『20(ニジュウ) 誤判対策室』はそれに続く作品。その他の著書に『小鳥冬馬の心像』『法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで』『ため息に溺れる』『キリングクラブ』『第三者隠蔽機関』『本と踊れば恋をする』『この色を閉じ込める』『断罪 悪は夏の底に』『いたずらにモテる刑事の捜査報告書』『私はたゆたい、私はしずむ』『闇の余白』など。現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励む。

「2022年 『ゾンビ3.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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