神戸在住(3) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063211245

感想・レビュー・書評

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  • 地震のこと

  • 阪神大震災から20年が経つ。「20年かぁ」と思う。20年て、これくらいの距離感かぁと思う。同居人は自分が生まれる20年前のニュースを検索していた。

    1月17日の晩には、神戸の地元局・サンテレビが制作した「神戸在住」のドラマ放映があった。ふだんはテレビをほとんど全く見ないが、事前に放映情報を入手していたし(劇場版の映画もあって、こちらのチラシも入手していた)、木村紺の原作マンガを同居人が読みこんでいることもあって、録画して、続けて2度見た。
    http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju

    原作マンガは震災後に神戸へ越してきた大学生を主人公に、周囲の関西人の震災話もところどころに出てくる話だが、ドラマは、震災後に生まれた「今の大学生」が主人公になっていた。

    私も原作マンガの『神戸在住』は途中まで読んでいたが、私よりずっと読みこんでいる(今は電子書籍で全巻もっている)同居人が、ドラマの中に出てくるエピソードやそれぞれの人物像がマンガでどう描かれているかを合間に解説してくれる。

    ドラマを見たら、原作マンガを読みなおしたくなって、数年前に同居人の持ちものを寄贈した図書室から1~8巻を借りてきた(電子書籍を10巻も読むのはしんどそうなので)。寄贈した時点で8巻までしか揃っていなかったが図書室の蔵書は増えるわけもなく、またこんど寄贈してもいいしと9巻と10巻を注文して買った(このたび復刊されたそうだ)。

    3日かけて、1巻から順にじーっと読む。ああ、ドラマにはこのエピソードが使われていたんやなーなどと思いながら。8巻までは同居人がもっていたので読んだ記憶があったが、9巻と10巻はやはり読んでいなかった。

    主人公の辰木桂[たつきかつら]は、父の仕事の都合で、家族で東京から神戸へ越してきた、おとなしい大学生。一家が住むのは、震災から半年後にできたマンション。桂は、神戸の山手にある大学の美術科に通う。親しくなった周囲の学生から震災の経験を聞く、というかたちで、マンガにはたびたび震災のことや、その爪痕が描かれる。

    阪神大震災のとき、大阪ではもっとも被害が大きかった豊中(服部在住)で、震災のときに家がつぶれてがれきの中から引っ張りだされたという鈴木さんが同じ美術科の学生として登場。神戸の避難所の話も、そこでボランティアに関わった学生の語りとして描かれ、20年経つとはいえ、3.11を挟んだこともあり、読んでいて、うっとくるものがある。

    桂が本好きで、話のあちこちに本ネタが出てくる。同じ大学で授業が週に一度同じという伏っちゃんと本の貸し借りをする場面もあり、高校や大学の頃に私もしょっちゅう本の貸し借りをしていたので、なつかしさをおぼえた。ある研究室が溜まり場のようになっていて、そこでみんながしょっちゅうコーヒーを飲んでいるので、マンガを読んでるとむしょうにコーヒーが飲みたくなった。私が大学のときに溜まっていた研究室も、先生がコーヒーいれるのが好きで、よくコーヒーを飲みながら本の話をした。

    今回読みなおして、日和[ひなた]さんが透析をしていることや、ろう(難聴?)の早坂さんのこと、日和さんの友人のリチャードさんがALSを患っていたり、喫茶店のマスターがゲイだったり… 読みなおすまでこうしたことは忘れていた。こんなに本の話があったんやなーとも思った。

    そして、神戸、姫路、大阪と絶妙に書き分けられる関西弁や、ボケツッコミの描き具合。関西のマンガやな~と思った。

    描かれるのは、桂が大学に入ってから卒業するまでの4年間。高校時代や子ども時代の話が差し挟まれたりもするが、それも大学生の桂が回想するかたちだ。その4年間をぐっと感じたのは、桂一家のお隣に住む木下さんちのいつこちゃんの成長。お腹のなかにいた子が最終巻では3歳になる。

    震災から20年、あのころ生まれた子たちが成人するというだけの時間を、マンガを読みながらじーっと感じた。

    (1/19-22了)

  • 図書館で2巻からまったく偶然に手にとって、とても気に入ったのですが、まさか3巻では震災の話が、しかも結構ヘヴィに描写されるとは思わず……(そしてこのタイミング!)。しかもこれが素晴らしくて……。悲しみも、笑いも、死も、愛情も、淡々と、残酷に、けれど暖かなほどに平等に描かれていく。ものすごい「生っぽさ」。ちょっとほかの話と比べて「面白すぎる」のではないかとも思ったけれど、それだけに「日常話」との落差の凄まじさが、震災の恐ろしさと何気ない日々や人間との係わり合いの尊さを押し付けがましくなく伝えてくれている。すごい漫画です、これは。

  • 林君の回想としての震災ボランティアのことが、この巻では半分以上を占めている。桂の大学生活が穏やかなだけに、震災後の描写が胸に迫ってくる。いろいろなことを考えさせられる。「友達がいてよかった」

  • 1月17日という日に改めて漫画「神戸在住」を読むのは有意義だと思う。3巻・5巻に震災のお話あり。
    それ以外の巻も、神戸が好きになる、神戸が好きな人にお勧めの良作。
    あと大学時代のスクールライフが懐かしく思い出せる点もお気に入り。
    何度も読み返してます

  • (2008年3月19日読了)

  • 【メモ】弟・震災ボランティア(林浩)・読み応えあり

  • この巻で完全に絵が落ち着きます。震災の話がツラい方にはオススメできません。

  • 美術科女子大生を主人公にして、その目から神戸の街と人をエッセイ風に描いていく設定が好印象。観光誌よりも旅行記よりも、「神戸に行ってみたい」と思わせられます。

  • 神戸の大学生の生活を綴ったもの。
    やわらかい雰囲気。とても落ち着きます。
    オススメです。

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著者プロフィール

1997年、投稿作品『神戸在住』にてアフタヌーン四季賞を受賞。同作品は2006年まで続く連載作となった。2002年には第31回日本漫画家協会賞新人賞も受賞している。その他の連載作品には、京都の女子高を舞台にした柔道漫画『からん』、ボクシングを題材にした『マイボーイ』がある。
現在は月刊good!アフタヌーン誌上で焼き鳥チェーン店を舞台にしたコメディ『巨娘』を連載中。

「2018年 『巨娘(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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