刑務所の中 (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社コミッククリエイト
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063703146

作品紹介・あらすじ

あのベストセラーコミックがついに文庫化!拳銃不法所持により、花輪氏が体験した三年二カ月にわたる獄中での日記を、おそろしくリアルなタッチで描き再現。文庫化のために、新たな描き下ろしも収録!

感想・レビュー・書評

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  • 愛おしい名作。ちびまる子ちゃんの花輪君の名前のモデルが花輪和一というところから、彼の代表作を知り購入。お仕事もの的な豆知識も楽しいし、何だか全体のムードが非常に風通しがいい。花輪さんという人の捉え方が、いつだってユーモラスで真面目で、観察力に長けている。刑務所に「理不尽さ」は見られず、むしろ適度な娯楽を与えたり集団生活に慣れさせることで、社会復帰を促す仕組みがあることを知る。

    思っていたより書いた時代が新しく(平成の作品)、加えてベストセラー的な扱いになっていることも知らなかった。

  • 獄中生活を描いたマンガですが、絵柄は女性受けしないような気がします。楳図かずお氏風でしょうか。

    ある意味受刑者は保護されつつ、監視されているのだと感じました。なので作中に「刑務所から出るのが怖い」と吐露していた方の気持ちもわからなくはないです。外に行っても適応出来なかったり、孤立感から逃れられないのですから。

    罪の意識とは、もしかしたら被害者の空想の産物かもしれませんね。罪と罰は等しいのかと聞かれると、最近そうでもないと答えてしまいます。それとも、本当の罰はもっと遅れて受けるのでしょうか。

  • 読めば自分自身が刑務所暮らしに向いているか、向いていないか大変よく判る。
    自己顕示欲が強くないひと、着るもの食べるものに頓着がないひと、日々決められたルーティーンをこなす事に苦痛がないひと、静かな環境を好むひと、タバコも酒も嗜まないひと、そして何よりも孤独がすきなひと。そんな人は適性あり。
    個人的には素晴らしい環境ではないかと。過ちに向き合い反省する施設であることを利用し、膨大な時間のなかで頭のなかをどう使おうが全くの自由だ。唯一、社会的体面は犠牲にするだろうが。

  • とにかく変わった体験をする人がいる
    なかなかできることではない
    ちゃんと食事が食べられるのは良いことかもしれない

    ムショ帰りでは一般人は暮らすのも難しい

  • 高校時代、仲良しだったⅯちゃんが大好きだった花輪和一。

    二人とも漫画雑誌「ガロ」が好きで、
    Ⅿちゃんが好きなのは、花輪さんや丸尾さんなど耽美系。
    私は、キクチヒロノリや東陽片岡などの変てこギャグ系。

    やっぱり好きなものってその人を表すのですね。

    Ⅿちゃんは、小柄でミステリアスな美形で
    学校でも有名なモテモテな方。
    二人っきりになると同性でもドギマギするほどの
    魅力的な人であった。

    中島らもが好きな私と、演劇が好きなⅯちゃんで
    「リリパットアーミー」(らもさん主宰の劇団)の
    舞台をよく下北沢に観に行ったなー(シミジミ)

    なので、花輪さん逮捕、のニュースを聞いた時
    真っ先にⅯちゃんのことが頭に浮かんでしまった。

    本物の拳銃と、実弾を持っていたという罪で
    実刑判決を受けた花輪さん。
    確か、銃だけではなく、実弾もあった、
    と言うことでよりいけなかったという記憶があるが
    どうだろう。(おぼろな記憶)

    花輪さんを知る人、花輪さんの作品を読んでいる人なら、
    「たとえ持っていても、銃が好きなだけ、
    誰かを傷つけたりしない」と証言出来ると思ったのだけれど、
    そんなことでは法律では許されないのだと知った。

    そうだよね、ただ好きなだけ、と言う理由がまかり通れば
    持っているだれもがそう言いますもんね…。

    この本は、そんな花輪さんが刑務所に入っていたときのことを
    克明に漫画化したもの。

    当たり前だけれど、知らないことが多かった。

    番号で管理されてると聞いていたんだけど、
    苗字もちゃんと出しているんだね。

    (そうなると、田代さんが初期(!)に収監されたころ、
    「ここに田代まさしいるらしいよ」と
    同じ房の人に耳打ちされた、と言うのはなんだろう?)

    同じ部屋の人がふざけすぎて
    「修学旅行じゃないんだ!」と怒られるところ、
    面白かった。(ほんとだよ!)
    そして罰としてその部屋はテレビ禁止に…

    お酒も煙草ももちろん禁止だから、
    楽しみは甘いものになる、と言うのも、そうかも。
    (脳内麻薬?)

    ところで、罪の大きさが同じ程度の人を
    部屋割りするのかな?(そこまでは描いて無かった)

    異常に規律正しい生活、理不尽なまでの支配、
    閉塞感、
    これが罪を償う、と言うことか…と思ったけど、

    毎日ご飯が食べられて、
    寝るところもあって、
    良い子にしているとイベントがあって、
    お正月はご馳走がでる、

    と言うと、
    現実世界でこれよりも悪い生活をしている人って
    多数いるような…、
    刑務所に戻るために罪を犯す、
    と言うのたまに聞くけど、
    なんかわかるような気がしてしまった。

    私は入りたくないなあ…
    独房だったら良いけど、
    だって泉ピン子さんみたいな方がいるんでしょ?
    (あれはドラマです)

  • 刑務所の様子はよくわかるが、話としては単調でまとまりがない。
    断片の連続である。
    まあしかし、それが刑務所という風に解釈すればいいのかも知れないが。

  • マンガ。書き下ろしあり。

  • 花輪先生が裁判にかけられてゐた当時、『ガロ』誌で呉智英先生が「花輪氏の懲役三年という年は殺人によるものの最低と同じである」とか言ってゐた。
     ほんで本作を映画化した監督の方が前ラジオで、版権交渉の際、花輪先生は裁判の中でありのままをそのまま言ってゐた、とか何とか言ってゐた。
     さういふ、アレな方によるほのぼの刑務所ライフ。
     娑婆に戻ったら篠原ともえの宣伝するナニを喰ふぞと思ったり、飯テロにまける犯罪者を観たり、セレブな方の生活の一端を見たり、半ば自嘲気味に、かつ面白く、ほのぼのとした懲罰房だのムショのお風呂だのを描く。
     花輪先生の描く食べ物はなんか美味さう。

  • 食べることって、やっぱり楽しみなんですね。
    面白かったです。

  • おもしろい

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著者プロフィール

1947年、埼玉県生まれ。71年に『月刊漫画ガロ』に「かんのむし」を発表して漫画家デビュー。94年に銃刀法違反で逮捕され、翌年実刑判決が下される。97年に仮釈放。2000年、刑務所内の生活を描いた『刑務所の中』を発表する。著書に『天水』『護法童子』『不成仏霊童女』『ニッポン昔話』『刑務所の前』などがある。

「2022年 『呪詛 封印版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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