草子ブックガイド(1) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
4.04
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本棚登録 : 770
感想 : 115
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  • / ISBN・EAN: 9784063870442

感想・レビュー・書評

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  • ブクログの皆さま
    コレを読まずして
    本好きは語れませんよ(笑)

    心からオススメしたい漫画に
    またまた出会えました(^O^)



    貧しい家庭の事情から本が買えず
    古本屋の本を盗んでは
    感想を本の間に挟んで
    そっと返しにくる中学2年生の少女
    内海草子(うつみ・そうこ)。

    その感想文に
    本へのただならぬ愛情を感じとった店長は
    警察沙汰にしない代わりに
    草子にある条件を出すのでした…


    本の中にしか居場所のない少女が
    本の感想文を書くことで
    世界と繋がり成長していく
    胸を打つストーリー。


    背景にスクリーントーンを一切使用しない
    緻密に描かれた画風は
    ともすれば古臭く
    洗練さとは程遠い泥臭いタッチだけど、
    (ここは好き嫌いが分かれるやろなぁ)

    丁寧に丁寧に
    真摯に物語を紡いでいく作者の姿勢には
    本好きのアナタなら
    必ずや魅了されるハズ。


    とにかくこの草子のブックガイド(感想文)が
    詳細でいて分かりやすくて
    本への愛があふれていて
    紹介された本は
    もうすべて読みたくなってしまう。

    読むたびに物語の主人公に同化し
    物語の世界を自由自在に飛び回る草子。
    (主人公になりきり主人公と同じ服装に身を包んだこの想像のシーンの素晴らしいこと!)


    草子のように想像の翼を広げるって
    ホンマ意味のあることなんですよね。

    本を読んだ後に余韻に浸り
    何にもしない時間こそが
    物語によって得た響きを記憶に定着させ、
    心の核の栄養となっていく。


    情報や知識なんていらない。

    何かを知っていることより、
    それをどう思うかを
    自分の言葉で言えるかどうかが
    大事なことなんだと
    この作品は教えてくれます。


    古本の知識や書店の現状、司書教諭の実状なども織り込みながら、
    「ロビンソン漂流記」
    「ティファニーで朝食を」
    「ボッコちゃん」
    「一千一秒物語」
    「銀河鉄道の夜」
    「月と六ペンス」などの
    名作たちのブックガイドが堪能できます。


    本の海の向こうに
    自分の探す何かがあると信じて
    漂流する草子のように、
    自分だけに見える
    輝ける星を
    これからも本を読むことで
    見つけていきたいなぁ♪


    舞台となる古本屋
    青永遠屋(おとわや)のぶさカワ猫の
    しおりがまた、
    いい味わいなのです(笑)


    現在2巻まで発売中〜♪

    • 夜型さん
      素晴らしいレビューですね!
      最近はめぼしい本を見つけるとブクログのレビューを掘って掘ってシェアして楽しむのですが、そこからさらに人と本との...
      素晴らしいレビューですね!
      最近はめぼしい本を見つけるとブクログのレビューを掘って掘ってシェアして楽しむのですが、そこからさらに人と本との出会いがあったりします。
      この漫画のストーリーに似ていてとても面白いです。

      ほんとうに詳細でいて爽やかなよいレビュー。貴殿がスポーツマンだからこそ書けたのかなと嫉妬してしまいました!
      2018/07/03
  • 本を読むのが好きだというと、すごいとか偉いとか、勉強家だとか、言われることがたまにある。
    ひどい誤解だなといつも思う。
    勉強のために本を読むこともないとは言わないけど、大半はただ好きだから、幸せだから読んでいるんです。
    難しい本も読めません。

    この本の主人公、草子はもっと切実に本を必要としていると思った。
    大切にしていた本を勝手に売ってしまうお父さん。
    思い出だけを残して出て行ってしまったお母さん。
    家でも学校でも本を読んでいる草子は、周りから見たら暗い子なのかもしれない。
    でも彼女はただ本の中に逃げ込んでいるわけじゃない。
    本の世界で大冒険をして、ちゃんと現実に帰ってくる。
    キラキラ輝く宝物を手に入れて。

    そんな大冒険のお土産が草子のブックガイド。
    草子だからこそ見つけられた宝物。

    他の人が同じ本を読んでも、同じ宝物を見つけられるわけではない。
    でも、その人だけが見つけられる宝物がある。
    私もたくさんの宝物を見つけてきた。

    だから本が好き。
    だから本を読むんですとうまく伝えられたらな…。
    草子がクラスメイトの気持ちを動かしたように。

    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!
      いつもポチありがとうございます(^O^)

      自分もこの漫画は
      かなりハマりましたよ〜♪

      人によっては...

      お久しぶりです!
      いつもポチありがとうございます(^O^)

      自分もこの漫画は
      かなりハマりましたよ〜♪

      人によっては好き嫌いの分かれる絵柄ではあるけど、
      本当に本が好きだという愛が
      一話一話に溢れてますよね。

      流行りのベストセラーを読むことに明け暮れるより、
      何度も何度も読み返すような
      自分だけの好きな作品を見つけていけたらって
      本当に思います(^_^)v

      2013/05/28
    • takanatsuさん
      円軌道の外さん、コメントありがとうございます!
      「自分もこの漫画は
      かなりハマりましたよ〜♪」
      実は円軌道の外さんのレビュを読んで、この漫画...
      円軌道の外さん、コメントありがとうございます!
      「自分もこの漫画は
      かなりハマりましたよ〜♪」
      実は円軌道の外さんのレビュを読んで、この漫画を知りました。
      2巻まで出てるんですよね?2巻も近日中に読みたいなと思っています。
      「何度も何度も読み返すような
      自分だけの好きな作品を見つけていけたらって
      本当に思います(^_^)v」
      そうなんですよね。
      読んだことがない本も読みたい。
      でも、大好きな本もまた読みたい。
      時間がいくらあっても足りないです…。
      2013/05/29
  • 元文学少女(少年も)なら主人公・草子の思いが切ないほど理解でき、他人とは思えないはず。現実に居場所が見つからず、本の世界で想像の翼を広げ、その世界に生きていたあの頃。
    そんな頃の事を思い起こさせてくれます。

    逃げ場所だった本の世界が、彼女の感性を育み、その感性を持って、勇気と誠実さと周りの人のちょっとしたサポートで外へ外へと繋がって広がっていく。
    理想の成長物語ですね。俄然応援したくなります。
    閉じ籠りがちな本好きにも多大なる刺激をもらえます。

    このマンガはブクログで出会ったもの。
    一生ものの漫画と出会えました。
    ブクログとブク友さんたちに感謝です。

  • 本愛が溢れる作品で、本好きな人ならきっと読んで後悔ないと思います。
    個人的には漫画の読み方が下手くそで疲れるのであまり漫画を読みませんが、この作品で久しぶりに漫画にしかできない表現方法があるということを思い出しました。
    草子の気持ちがよくわかるし、大人の自分も未だに本の海を漂流しているんだと思っています。
    本は私の宇宙であり、今自分の部屋にいても物理的には行けない場所へも、経験のない境地へも連れていってくれる。

  • 主人公は家族に恵まれない中学生の女の子、内気で本好きなのですが、
    彼女がとある“罪”を犯すところから、物語は始まります。

    一見すると、本読みにとっては許しがたくもある、その罪とは?
    そして“罰”として、周囲の大人たちが与えたものは?

     『新訳ロビンソン漂流記』
     『ティファニーで朝食を』より「ダイヤのギター」
     『ボッコちゃん』
     『一千一秒物語』
     『山月記』
     『山家集』

    ガイドの題材となるのはこちらの本たち、なかなかに幅広いのが興味深く。
    ただひたすらに、“本”への愛がつまってると感じる内容です。

    主人公・草子を通して語られる“ブックトーク”、
    その物語が持つ“宝物”を紡ごうとしているようにも見えます。

    自分の経験を投影して、居場所を探して、心に寄り添うかのように、
    そんな在り様に引き込まれ、じっくりと読み入ってしまいました。

    中でも印象に残ったのは、次のフレーズが出てくる話。

     “臆病な自尊心と、尊大な羞恥心”

    自分の中の“獣”を飼いならせる人はいるのか、、
    そもそも飼いならす必要があるのか、なんてことをあらためて。

    ん、久々に『山月記』を読み返したくなりました。

  • どうも
    『ブックガイド』という言葉には弱い。

    ブクオフにて中味をちら、とも見もせずに
    購入してしまった。
    しかし、
    読んで正解。

    とある古書店にて
    万引きしては読んだ本の感想を書いた紙をはさみ、
    返却を続けている草子。

    若い店員さんは激おこだが、
    のんびり屋の店主のほうは
    「わしは、この子の感想文が好きじゃからのぉ~…」
    と、言って決して草子を咎めない。

    物語は
    草子の<感想文>を中心に
    様々なジャンルの本が
    わいわい♪盛り上げてくれる。

    内気な草子だが、
    本から勇気を得て、
    現実も力強く生きてゆこうと頑張る姿が可愛い。

  • 学校の図書室にての読了。凄い面白かったです。独特なモノクロームの絵も味が出ていて良いですし、本によって草子の周りの人々の心情が変化していくところがたまりませんでした。特に山月記のくだりでの草子のやり場のない心情と両親に対する不満などを語るところなどはなんとも表現し難いものがありました。とっても心を熱くする素晴らしい作品でした。

  • ブックガイドというタイトルに惹かれて読んでみた。
    本を読むのが好きな主人公草子は内気な女の子。とある事件(?)がきっかけで近所の古書店の店主と店員と関わるようになる。
    草子の感想文には独特な言い回しも多いけれど、自分が感じた気持ちをここまで表現できるのって凄いことだと思う。
    そして、「生きてる本の中でならあたしはどこにでも行ける」
    この言葉にあっと思いました。
    私も学生時代、彼女の様に本の中の世界を心の拠り所にしていた時期があって、草子の気持ちがわかる気がします。

    本を愛する彼女が感想文を書いたり学校でブックトークをすることによって少しずつ周りの人に本の素晴らしさを伝えていく……そういうのってなんかいいなー。
    本を読んで何を感じるかはそれぞれだけど、読み終わった後自分が見つけた星を、ほんの少しでも誰かと共有できたら……うまく言えないですが、嬉しくなります。
    自分では気付けなかったところも、他の人の書いた感想で気付かされてなるほどな~と思うこともしばしば。
    西行の「本の道を歩いて誰かの心にふれる」という件が好きです。今までそんなふうに感じたことが無かったのに、何故かすとんと心に落ちてきました。
    面白かったので続刊も読もうと思います。

  • ちょっと言葉遣いが難しいところもあったけど、人生について本についての言葉が丁寧に選ばれて書かれていて、素敵だった。
    主人公の草子ちゃんが置かれている境遇はなかなかつらく、悲しい気持ちになった...。

  • 【あらすじ】
    内海草子(うつみそうこ)は本を読むのが好きで好きでたまらない中学生。いつも本を読んでいて、本の中の世界にひたっている。内気で、他人と打ち解けるのが苦手な草子にとって、古書・青永遠屋(おとわや)の店主は良き理解者。読んだ本の感想を描いた草子の「ブックガイド」が、店主を喜ばせ、さらには周囲の人々に本を読むことの素晴らしさを伝える。濃密な絵柄で、読書の魅力を最大限に表現する。

    東京の小さな古書店・青永遠屋(おとわや)に、楽園を見つけた少女・内海草子。どこにも居場所がなかった草子が、青永遠屋を通じて出会った本を、ひたむきに読み解くことで、徐々に人々や世の中と結びついていきます。この作品の最大の魅力は、読んだ本のポイントを繊細にすくいあげ、イメージ豊かに語り尽くす草子独自の「ブックガイド」。毎回草子が本の中に登場するキャラクターになりきって、鮮やかな「読み」を披露します。

    【感想】
    草子は本好きの孤独な子どもだったけれど、古本屋のおじさんのおかげで孤独な子どもではなくなった。古本屋のおじさんが草子の書くブックガイドを気に入ってくれたから、草子の本の世界は、いや草子の生きる世界は広がった。草子は居場所のないことを気に病み、ずっと本の世界で生きていたが、古本屋と出会ってからは、そこにも居場所ができた。学校でも司書教諭の先生と仲良くなり、そこから学校での自分の居場所探しにも奮闘する。どれもみな、草子のブックガイドがきっかけで、起きた出来事やできたことだった。草子が本当に本が好きだったからこそできたことだ。草子は今はきっと、貧乏なままながらも少し幸せになれなのではないかと思う。

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著者プロフィール

高知県出身。1995年、『ハヤ子サケ道をいく』(玉川敏秀名義)が「アフタヌーン」の新人賞である四季賞で入賞しデビュー。2009年に『草子ブックガイド』が「モーニング・ツー」で連載スタート。メフィスト2016年VOL.2~2019年VOL.2まで『西荻ヨンデノンデ』を連載。

「2020年 『西荻ヨンデノンデ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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