DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020340

作品紹介・あらすじ

●サルとヒトで遺伝子はほとんど同じなのに、なぜ見た目はこんなにも違うのだろう?
ヒトゲノム(ヒトの全遺伝情報)のうち、遺伝子部分はわずか2%。残りの98%は「非コードDNA」と呼ばれ、意味のない無駄なものと長らく考えられてきました。意味がない=ゴミということで「ジャンクDNA」とさえ呼ばれていたのです。ところが、じつはこの”ゴミ”こそが生命の不思議に迫る重要な役割を担っていることが近年になって分かってきました。サルとヒトの違いを生み出し、老化と寿命に関わり、進化の原動力ともなる「非コードDNA」の仕組み、そして驚きの発見の数々をエピソード豊富に紹介します。

【著者紹介】小林武彦(こばやし・たけひこ)
1963年生まれ。九州大学大学院修了(理学博士)、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東京大学分子細胞生物学研究所教授。日本遺伝学会会長。科研費新学術領域研究「ゲノムを支える非コードDNA領域の機能」代表。生命の連続性を支えるゲノムの再生(若返り)機構を解き明かすべく日夜研究に励む。海と演劇をこよなく愛する。著書に『寿命はなぜ決まっているのか──長生き遺伝子のヒミツ』(岩波書店)など。

~~「はじめに」より~~
 あなたの体で無駄な部分はありますか?
 私の場合はお腹についた脂肪くらいで、他の部分はないと困るところばかりです。髪の毛はだいぶ薄くなってきましたが、別にいらないわけではありません。「日除け」としても働いているし、全部なくなると冬はおそらく寒いです。(中略)
 進化の法則によると、「個体」のレベルでは環境に適応できたものは生き残り、そうでないものは絶滅していきます。この法則からすれば、体の中には不要なものなどあるはずがないということになります。(中略)
 ところが、じつはヒトゲノムの98%は「遺伝子」の情報を持たない領域だったのです。いわば「意味のない無駄な情報」といえます。しかし、生物はこんな無駄を許すのでしょうか? じつはこの領域こそが生命を誕生させ、ヒトをヒトたらしめ、進化の原動力として働いた重要な装置であることが分かってきました。本書ではこの謎に満ちた暗黒領域「非コードDNA」に光をあて、最新の情報をもとにその役割について解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 2018.2.5 amazon

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/696839

  • 電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057458
    ※学外から利用する場合、リンク先にて「学認アカウントをお持ちの方はこちら」からログイン

  • 学生の頃に学んだ遺伝やDNAに関する歴史を再復習できました。それと同時に、記されている段階での科学的な見地も理解できました。

  • いきなりこれを、生物分野に無知な人が読みには難しいと思います。実際、自分は最初の方しか分からず途中からはほとんど分かりませんでした。でも、分からないことがたくさんあるんだと知れて良かったです。
    なので、もう少し生物分野に関する基礎的な本から読みまくろうと思いました。

  •  非コードDNAに色々な役割があるということは知っていたが、実際に詳しく知らなかったので、興味があったので読んだ。非コードDNAが生物にもたらす影響について、色々な例を紹介してくれていて、面白かった。
     特に、寿命に関する話は興味深かった。寿命といえばテロメアを誰もがイメージするだろうが、リボソームRNAをコードする領域も重要であるというのだ。この領域は、リピート配列で成り立っており、切断と挿入がくりかえされる不安定な領域であるようだ。この挿入に関係する酵素をノックアウトすると寿命が短くなるらしい。
     他にも、非コードDNAのおかげで遺伝子の重複が起きやすくなっていること、コード領域へのダメージのおとりとして非コードDNAが大量に存在していることなど、非コードDNAに対する理解が少し深まった。読んでいて、DNAのメチル化についての話や、DNAの物理的構造による影響の話は少し複雑で理解するのが少し難しかったので、この部分が頭の中で整理されれば、もっと理解が深まるのではないかと思った。

  • ヒトゲノムの解析も終わり、事前の予想とは異なる結果が生まれ、非コードDNA領域というものの存在があきらかになりました。この領域は無駄なものだと考えられ、科学者の間ではジャンク(ゴミ)と呼ばれていましたが、近年になってその役割が明らかになってきました。この本は、その非コードDNA領域の重要性について解説しています。

    この本を読むことになったきっかけは、『DNAの98%は謎』という題名をみて遺伝子学に興味があったために読んでみたいと思い、手に取ったことです。BLUE BACKS社の本は科学者の専門的な研究内容について、主に高校生、大学生向けに解説してくれているため、最新の研究に触れたいけど、難し過ぎてわからない、もしくはそもそも最新の研究に触れる方法がわからないという人にオススメです。実際にこの本の冒頭では、遺伝子学に関する知識が乏しい人のために高校生物程度の遺伝子学についての分かりやすい解説が書かれています。高校や大学で生物に触れている人はその部分を読み飛ばして、1-6ゲノムとは何かというところから読み始めるといいと思います。

    この本を読んで、僕達ヒトの体の中には、まだまだ研究しきれていない未知の部分が数多く存在することを知り、これからの新しい研究結果を追いたいと思う気持ちと、自分でも研究してみたいと思う気持ちが生まれてきました。少しでも遺伝子学に興味がある方はどうぞ読んでみてください。

    徳島大学附属図書館 二階新刊コーナー
    080Bu2034
    2170035232

    とわ

    • tokudaidokusho2さん
      大学に入ってから生物を学び始めてまだ遺伝子やDNAについてよくわかってないのでこの本を読んで勉強したい。
      マツウラ
      大学に入ってから生物を学び始めてまだ遺伝子やDNAについてよくわかってないのでこの本を読んで勉強したい。
      マツウラ
      2019/05/29
    • tokudaidokusho2さん
      大学で初めて生物をやるが、遺伝子の分野は非常に興味がある。初心者でも読みやすそうな感じなので、是非読んでみたいと思った。

      ななななな
      大学で初めて生物をやるが、遺伝子の分野は非常に興味がある。初心者でも読みやすそうな感じなので、是非読んでみたいと思った。

      ななななな
      2019/05/29
    • tokudaidokusho2さん
      高校から生物が好きでよく学習していたため、非常に興味を惹かれました。自分の身体に常にあるのに未だあまり解明出来ていないDNAについて少しでも...
      高校から生物が好きでよく学習していたため、非常に興味を惹かれました。自分の身体に常にあるのに未だあまり解明出来ていないDNAについて少しでも知見が得たいので読んでみたいです。

      しん
      2019/05/29
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著者プロフィール

生物学者。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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