コウノドリ(23) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065116890

作品紹介・あらすじ

両親に新型出生前診断を受けるよう勧められて揺れる夫婦。ペルソナ以外の場所で、すでに診断をすませてきた夫婦。出生前診断を受けるにあたっては正しい知識を持つことが大事だが、十分にその認識が広まっているわけではない。

感想・レビュー・書評

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  • テレビドラマ化もされた人気シリーズの第23巻。
    四宮先生無き後のペルソナが始まってしまいました。この巻以降、四宮ロスを埋めるため(かどうかはわかりませんが)ちょこちょこと新キャラが登場します。この巻では臨床検査技師兼認定遺伝カウンセラーの真田ケンジさんが、かなり作り込んだ設定を背負ってペルソナにやってくるのですが、でも出番はこの巻で最後。結局、この巻以後の新キャラはいずれも四宮先生の強烈な存在感を補えず、消化不良のまま消えていきます。非医師でも周産期医療を支える様々な専門家がいて、それぞれが重要な役割を果たしているんだ、ってことを伝えたいのでしょうけれど、結果としてちょっと地味で小粒なキャラクターばかりになっちゃったようです。

    この巻は「出生前診断」が収録されています。
    以下このエピソードに一言。

    「出生前診断」
    伝えたいことは冒頭に出ています。
    出生前診断が「命の選別」では、という声に対し、出生前診断を受けて中絶を決めた人でも、「お腹の赤ちゃんが21トリソミーと診断されてからもずっと迷ってたと思うんだ……」「本当は今だってまだ悩んで苦しんでいるのかもしれない」「それでも自分たちを責めながら短い時間の中で中絶することを決めたんたよ」「だから産科医がそれを「命の選別」なんて言ってしまうことはとても雑だし乱暴なコトなんだ」、ともうこれで全部でしょう。

    あとは出生前診断を受けて悩んだ2組の夫婦、山根タケヒコ、ヒカルご夫妻(36歳)と神崎マリコ(ご主人は名無しです。コウノドリでは珍しいことです)ご夫妻が、悩み苦しみながらそれぞれの結論にたどり着くまでが描かれます。

    いずれも高齢で妊娠した2人。山根さんは戸惑いながらも真田さんのカウンセリングを受け、夫婦で話し合い、結局「どうしたらいいかわからないから出生前診断は受けない」という結論にたどり着きました。

    もう一人、神崎さん。
    諦めたはずだったのに突然の妊娠、リスクの自覚、認定外のクリニックでの出生前診断、短い時間でたくさん調べ、考えた結果の決断、決めたはずなのに初めて感じた胎動と自然にそこに行く右手…。

    これねえ、本当に他人事じゃありません。
    自分のところもあまり深く考えずに受けたんです、新型出生前診断。
    自分たちにとっても妊娠は想定外で、最初に産婦人科に行こうと決心する前からずっとジェットコースターに乗りっぱなしみたいな日々が続いていたので、ちょうど「日本でも正式にNIPTが受けられるようになった」というニュースを頻繁に目にしていたタイミングであったこともあり、何となく流れでNIPTを受けていました。
    幸い、本当に幸いなことに陰性だったため、NIPTを受けたこと自体、そろそろ記憶の片隅に追いやられかけてはいましたが、子供の寝顔を見ながら、もしあの時陽性って言われていたら自分たちはどうしていたのだろうって、この巻を読んでしみじみ考え込んでしまいました。

    東尾理子さんのように敢然と『羊水検査の結果がどう出ても、絶対に産むわけですし、産まない(中絶の)選択肢はありませんでした』と言い切るだけの気高さも、神崎さんのように決然として中絶を選んで後悔しようとしない強靭さも持ち合わせていなかった自分たちがしなくて済んだ思いを、作中で神崎さんが引き受けてくれています。

    そして、ラスト「…よかったね」「ママが用意してくれたよ…」。用意してくれたのがお母さんじゃなくてママなのが泣かせます。生まれたばかりの子どもに語りかけるときには、ママ以上にピッタリの言葉はありませんよね。

    ここに至って、冒頭のサクラ先生が言う「それを「命の選別」なんて言ってしまうことはとても雑だし乱暴なコトなんだ」が身に染みてわかります。




    余談ですが、いなくなったばかりの四宮先生は、回想の中で(もしくは、サクラ先生の脳内議論の中で)きっちり登場します。サクラ先生に、カウンセリングは「産科医のやるべきことなのか?」と現実に即して反論する重たい言葉はレギュラーを張っていた頃と全く変わっていません。

  • 毎度泣いてしまう。

  • 出生前診断と人工死産

  • 2018年6月22日発売。

    TRACK66 出生前診断

  • 【推薦者】
    体育学部 健康学科教員 三瓶 舞紀子 

    【学生へのメッセージ】
    COVID-19流行下では、「10代の妊娠」「望まない妊娠」「貧困」の問題がよりクローズアップされました。産婦人科医&謎のピアニストでもある主人公が、様々な妊婦のお産に向き合います。この漫画に登場する様々な生命から、子どもたちを育てる社会の責任とは何か、全ての学生と特に教員を目指す学生にお薦めします。

    ▼配架・貸出状況https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00539355

  • 出産はそこで終わらず、先の長い子育ても含めて、その責任を果たすことになる。出生前診断の選択の厳しさを感じた。

  • 他人事じゃない。

  • 原作もドラマも大好き。今回の表紙綾野剛っぽくなってる気がする。

  • しのりん、カムバック・・・。ゴローくんの発言力が増したのと、真田先生登場でこの後どう展開するのかな、という感じ。出生前診断は他人がとやかく言える問題じゃないと思ってます。ましてや医師としてのゴローくんの発言はちょっとアウトに近い。個人の意見ならばいいけれど。そういう診断方法が「ある」のが今なんだから、「ある」ことを前提に話をするのは当然じゃないだろうか。無かった頃の話と比較されても、現在進行形で進む夫婦にはあまり意味がないと思うんだけど。真田先生の「安易に・・・」の一言は心に響きました。そうだよね。

  • ランチしながら読んだけど、涙抑えるのに必死だった。誰しも出産育児は何かすらあって大変なんだよね。

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著者プロフィール

1973年、山梨県生まれ。大学卒業後、ロックミュージシャンを目指したが、突然、漫画家の道へ。2007年『東京フォークマン/都会の月』が第52回ちばてつや賞準入選。2010年『えびチャーハン』が第57回ちばてつや賞入選。その後、週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)で、短期連載を行った『コウノドリ』が人気となり、2013年より週刊での連載がスタートした。2015年10月には綾野剛主演の連続ドラマとして放送。2017年10月に第2弾となる連続ドラマが放送された。2020年5月、『モーニング』での連載最終回を迎え、10月23日発売の単行本32巻が最終巻となる。単行本は、累計(電子版含む)800万部の大ヒットとなった。

「2020年 『コウノドリ はじめての妊娠・出産ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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