小説 透明なゆりかご (下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065125632

作品紹介・あらすじ

看護学科に通う高校3年生のアオイは、夏休みに産婦人科医院で看護助手のアルバイトを始めた。中絶の現場やその後処置を目の当たりにし、初めは戸惑いながらも、出産に立ち合い、次第に命の重みや輝きを感じ始める。

感想・レビュー・書評

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  • 産まれる前から心臓に疾患があることがわかった母親の話が考えさせられた。

    産まれても子供は長く生きられない。
    それでも出産して治療を始めるのか、中絶するのか...

    お腹の中にいる赤ちゃんにどうしてほしいか聞けない。
    何が正しい選択なのかわからない。
    いっそ医師に選択を委ねてしまいたい気持ちが手に取るようにわかる。

    この夫婦は最後に弔うために出産することを選ぶのだけど、
    勇気と愛情にあふれて、でもやがて訪れるであろう悲しみもあって、胸がつまりそうだった。

    たくさんのママのように、"普通に"、"健康な"赤ちゃんを授かることがいかに奇跡的なことなのか。
    当たり前なようで実はそうではないこと、たくさんの女性や男性、子供たちに知ってほしい。

  • 産婦人科っておめでたいだけの場所ではないんよね。。。
    色々な人がいるし、色々な背景がある。
    すごく考えさせられた。
    沖田さんが下巻ではハツラツと、少しずつ一人前になる姿も見られた!

  • ドラマを原案として、書き下ろされた小説。
    主人公アオイの成長も見られ、(上)同様読みやすい。
    生まれる前から重度の心臓病を患っている赤ちゃんの話は印象的だった。もし私ならどんな選択をしただろう。
    だけど、実際そうなったわけではないから答えなんて見つからない。
    実際に選択しなければならない状況になった人の答えにも正解はない。考えて考えて、考えつくして親として選択した答えは尊重されるべき。
    とても深い内容でした。

  • ふぬ。主人公の発達障害問題案件と産婦人科で起こる出来事の二兎を追わなくてええんちゃうか。読んでいてどこか視点がズレてしまう。

  • いやぁ、辛い、辛いわ。

    女性ならどれかのエピソードに
    自分を重ねてしまうだろう。

    私は子育ての大変だった時期を思い出し
    でも、そうしかできなかった自分を
    忘れてしまっていたことを
    まだ傷痕も生々しく見せつけられた。

  • 913

  • 私は手帳(母子手帳)を抱きしめる。私は愛されていた。たとえほんの一瞬でも、ちゃんとお母さんに、世界の誰より愛されていたんだ。その証があれば生きていける、と思った。どんなに辛いことがあっても、未来へ進める。そしていつか、誰かを愛することも。
    あの小さな手帳には、大きくて深い愛が溢れていた。だけどその純粋な愛は、ずっと続くとは限らない。

    妊娠したら、毎日幸せいっぱいなんだろうって思ってたんです。

    不安を抱えるのが妊娠するということ。

    「 病気も怪我もするけど、手当てしながらニコニコ暮らしていく。健康ってそういうことなんじゃないかな。困ったときはお医者さんに頼ればいいの。そのために病院があるんだから」

    「 病気って、悪いことばっかりじゃないと思うんです。病気だけど、じゃあどうしようって考えられる人は、意外と前向きなんじゃないのかな」

    「大好きなの。お母さんは、あなたのことが」

    決断に正誤はないと、由比は思う。大事なのは決める本人が納得することだ。由比はいつも、迷う。迷い続けている。

    「頼もしいでしょ?」
    先生(由比)は心を動かされたようにうなずく。誰一人迷う様子のないその姿に、私も胸がつまる。なんてすごい人たちなのだろう。私は何てすごい職場で働いているのだろう。

  • 母親のお腹の中にいるときに重篤な病気が判明した胎児に対して、産むのか諦めるのか夫婦がくだした決断の話が一番印象に残った。
    まだ言葉も話せない、そして永く生きられないことが決められている赤ちゃんにとって何が1番の幸せなのか。小説内では深く語られないが、ずっと考えている。あえて言えば、赤ちゃんにとって何が1番の幸せなのかは誰にも分からない、という結論が書いてあるかもしれない。正解がない中で考え抜き、両親は自分たちが出した結論を信じて責任を持つことしかできない。
    自己満足の勘違いかもしれないが、たとえ短い命でも愛された経験があれば赤ちゃんは幸せなのかもしれないと思う。

  • 上に続けて、成長していく主人公もとても頼もしく感じ、
    純粋に命と向き合うことの大切さを学びました❀

  • うーん。コンセプトは好きなのだけど、産科を扱った話なのに、ちょっと軽いかなあ。元は漫画なの?だからかな。本をあまり読まない若手にはちょうどいいのかもしれない。

    もっとシリアスに、真剣に(すいませn)命の大切さを語ってほしかったかな。

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著者プロフィール

1984年、愛知県生まれ。2000年、『翼をください』で第7回講談社X文庫ティーンズハート大賞佳作を受賞しデビュー。「忍者だけど、OLやってます」シリーズなどのオリジナル作品に加え、『白猫プロジェクト 大いなる冒険の始まり』『リトルウィッチアカデミア でたらめ魔女と妖精の国』『小説 透明なゆりかご』『小説 空挺ドラゴンズ』『さんかく窓の外側は夜』などノベライズも手がける。

「2021年 『大怪獣のあとしまつ 映画ノベライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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