天皇の歴史10 天皇と芸能 (講談社学術文庫)

  • 講談社
3.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 38
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065130247

作品紹介・あらすじ

講談社創業100周年記年企画として刊行され、高い評価を得たシリーズの学術文庫版、第10巻。最終回配本となる本巻では、古代から近世まで、和歌や音楽、学問、茶の湯など、「芸能」が天皇と日本の歴史の中でいかに大きな意味を持っていたかを解明してく。
第一部は、10世紀初頭の『古今和歌集』から500年続いた二十一代の勅撰和歌集を縦糸に、古代・中世の天皇による多彩な和歌の活動を解説。
第二部は、今様の後白河院、琵琶の後鳥羽院など、「声わざ」と管弦に長じた「芸能王」の系譜をたどり、皇位継承と秘曲伝受の密接な関係を解明する。
第三部は、戦乱の時代を乗り越えて、古今伝受など近世和歌がいかに復興し、継承されたかを見ていく。
第四部は、天皇家における漢学の尊重、立花の後水尾院、茶の湯の後西院など、諸芸を愛好し、和漢の学問に励んだ天皇と、日本の伝統文化の深層を探る。
[原本:『天皇の歴史 10巻 天皇と芸能』講談社 2011年刊]

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 芸能とはもともと学問を指しており、知識などを意味する言葉だった。古代から天皇は漢籍を読み、笛・琵琶などの音楽を奏で、和歌を詠む、そして茶の湯と文化の担い手だった。何よりも和歌を文学として詠むだけではなく、儀礼的側面を担うものとして、時代を代表する和歌のを集め、編纂するという伝統を引き継ぐことが、天皇の大きな役割だった。後白河の今様、後鳥羽の琵琶・和歌は有名だが、日本史で裏舞台に回って知られていない呉深草、後柏原、そして近世の後陽成、後光厳、後水尾、後光明、後西、零元、光格らの大きな存在は新鮮だった。
    「芸能」の範囲について、順徳自身が「禁秘抄」で書いていたことや、後水尾の和歌・源氏物語について推奨するが、子・後光明は「源氏物語は淫乱の書」として漢籍に親しんで治者の面にこだわったとの逸話は実に興味深いところ。

  • 天皇と和歌との関わりを中心に歴史的に遡って記述している。明治以降の論考がないのと、それ以外の雅楽や舞踊についても、ほかに触れる書物が少ないだけにあればよかったと思う。

  • 第1部 天皇と和歌―勅撰和歌集の時代(王朝和歌の成立;中世和歌の展開)
    第2部 芸能王の系譜(芸能王の登場―声わざの帝王・後白河院;芸能王の確立―琵琶の帝王・後鳥羽院;両統迭立のなかの芸能―後深草院と後醍醐天皇)
    第3部 近世の天皇と和歌(宮廷歌壇の充実;後水尾院をとりまく人々;歌壇の存続)
    第4部 近世の天皇と芸能(天皇と学問・和歌;天皇の茶の湯)

    著者:渡部泰明(1957-、東京都、日本文学)、阿部泰郎(1953-、横浜市、民俗学)、鈴木健一(1960-、東京都、日本文学)、松澤克行(1966-、日本史)

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1957年、東京都生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科教授。
和歌文学専攻。
『中世和歌の生成』(若草書房、1999年)、『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店、2017年)

「2020年 『和歌史の中世から近世へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡部泰明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×