- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065133811
作品紹介・あらすじ
人間嫌いの厭世病。人の心の深い闇を描いた夏目漱石は、多病持ちだった。
疱瘡、眼病、強度の神経衰弱、糖尿病、結核への恐怖、胃潰瘍……。
次々襲う病魔と、文豪はいかに闘ったのか。
医師との付き合い方にミスはなかったのか。
診察の中身は、本当の死因は何だったのか。
そして病は、彼の生み出した文学にどんな影響を与えたのかーー。
ままならない人生に抗い、嫉妬し、怒り、書き続けた49年。
作品、書簡、家族、知人の証言や、当時のカルテを掘り起こし、
その生涯を、「病」という切り口から読み解く!
内容
はじめに ミザンスロピック病
第一章 変人医者が生きかたのお手本
第二章 円覚寺参禅をめぐって
第三章 左利きの文人
第四章 朝日入社前後
第五章 新聞文士
第六章 神経衰弱の実相
第七章 胃が悲鳴をあげている
第八章 森田療法と漱石
第九章 修善寺の大患
第十章 急逝の裏に
むすびに 原稿用紙上の死
本文より)
漱石は頭を掻きむしるようにして、「頭がどうかしている。水をかけてくれ、水をかけてくれ」と唸るようにせきたてた。/見ると、夫は白目を剥いて、尋常ではない。/夫人は、ともかく水をと思い、そばのヤカンから水を口に含んでは口移しに水を与え、そして、漱石の求めに応じて、「貴方、しっかりしなさいよ、しっかりしなさいよ」と言いながら、ヤカンの水を植木鉢に水をやるように、夫の頭に勢いよくかけたのだった。「ああ、いい気持だ。ほんとうにいい気持だ」(「第十章」より)
感想・レビュー・書評
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