- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065136942
作品紹介・あらすじ
ネイト・ロマノウスキはこぶしにハヤブサを止まらせ、きびしい表情で北側からヤナギの茂みに向かっていた。このあと生きものが死ぬ運命にある――ジョーピケットシリーズ最新作
感想・レビュー・書評
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猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ、11作目。(後に電子書籍になった2作目は抜いて。他にもう1作未訳があります)
「冷酷な丘」に続く作品。
ワイオミングの大自然の中で展開する、スリル溢れる展開が、想像を超えてきます。
今回は、ジョーの盟友ネイトを中心とする作品です。
ネイト・ロマノウスキは、鷹匠として、山奥に隠れるように暮らしている男。
鷹匠になる前の、彼の人生が初めて明らかにされます。
特殊部隊工作員だったネイト。
かっての上官に命を狙われ、組織に追われる今。
ジョーに出会った時に感じたのは、若い頃の自分のような、真面目さ善良さだった…
ここまでの作品の日本での発行順は
1作目「沈黙の森」2004年発行
(2作目は電子書籍で「逃亡者の峡谷」、未読)
2「凍れる森」
3「神の獲物」4「震える山」5「裁きの曠野」6「フリーファイア」7「復讐のトレイル」8「ゼロ以下の死」
9「狼の領域」10「冷酷な丘」11「鷹の王」
この後に
12「発火点」13「越境者」14「嵐の地平」15「熱砂の果て」
電子書籍のを読めば順番も書き換えるかもしれませんが。
作者名の表記が本によって違うのが厄介なの。
C・J・ボックス、で作品リストはWikiで検索できますよ。
年に一度、水準以上の作品を発表してくれるので、有難い限りです☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ
スピンオフ
ジョーが助けたことで一家に忠義を誓った謎の鷹匠ネイトの話
毎巻面白さが高まり、爆発した感じ
(前々作を含め二度目)
いつもはジョーが巻き込まれた事件に
ネイトが裏から助力するのですが、今回はネイトの過去、彼を追う謎の組織との対決。
ついに組織が動き出し、友人のジョー一家、ネイトを知る人々が狙われてしまう。
なぜかいつも「時代劇」に例えてしまうのですが、鬼平で言うところの「鬼平」(ほど怖くも無いのですが厳格さはある)がジョーで、密偵(忍び)がネイトの役回りなのかと解釈をして読んでいます。
また、鷹と鷹匠の関係性(手をかけて信頼関係を築いても、いつ飛び去ってしまうかわからない。)はジョーと法の外で暮らすネイトの関係性
二人は様々な事件を通し、正義の形の思うところは違えど絆を築き上げていった仲
それを実感できるくらいの展開と
二人が考え方を話す場面がいつもより多くて嬉しい。「やっぱお前らそう思ってたのな!」
新人猟区管理官のサポートにつきジョーも先輩として振る舞いつつ、過去の偉業(失態)を知る新人からややからかわれ気味、しかし初めて読んだ人でもおさらいのできる内容も良し。
相手は特殊部隊の為、アクションの多さも
シリーズ屈指、且つボリームもなかなか多い方だったので楽しめました。
読み終えると
「ネイト」じゃなくて
「ネイトォォォオーーッ!」って
言いたくなる内容 -
今回は、ジョーではなくネイトが完全に主人公。
ネイトのスピンオフ作品にジョーが登場しているというスタンスと言った方が正しいかも。
それだけに今までの作品とは趣が変わり、かなりハードなシーンも多く、アクション的要素も強い。
ファンにとってはそれはそれで楽しいし、背景にあるジョーとネイトの友情もしっかり描きこまれていて満足できる。
ただし、アクション部分(というか話の解明や進行)はほとんどネイトを通して描かれていて、よくよく考えると、結果だけを見るとジョーはほとんど事件解決に寄与していないのが残念なところ。
これでネイトの隠遁生活がどう変化するのか、(今回からシェリダンが巣立っているので残る)次女、養女との家庭環境の変化、そして保安官との関係も含めてシリーズがどう変化するのかが次作の楽しみ。 -
やっぱりネイトはかっこいいなぁ。
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昨年の11月に出版されたシリーズの最新作、やっと読むことができた。
以前、俳優の児玉清さんがこのシリーズのファンだというのをどこかで読んだ。もうこの最新作を読むことはかなわない。かわりに堪能いたしました。本当におもしろかったのです。 合掌 -
猟区管理官ジョー・ピケットシリーズにこれまで濃い陰影で奥行きと謎深さをもたらしてきたもう一人の魅力的なキャラクターネイト・ロマノウスキが、とうとうこの作品でベールを脱いだ。
ウォルター・モズリーのイージー・ローリンズシリーズにはマウス、アンドリュー・ヴァクスのバークシリーズには音無しマックス
、ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズにはホーク。いつだって探偵のシリーズには、バイオレンスのサイドに生きる影のような存在が付きまわる。ヒーローのやれない力を悪の側から行使して、主人公の存在をより複雑にしてみせる。
本シリーズでは、まさにネイトロマノウスキがそれに当たるのだが、前述の暗黒ヒーローたちでトーナメントを闘ったらおそらく勝ち抜くのは彼だろう。
それほどの能力を備えた元特殊部隊兵士にして鷹匠、現代の社会構造からドロップアウトして大自然の只中で生きる孤高のサバイバリスト。
本シリーズ主人公ジョーの世界はワイオミングの大自然や野生への愛であり、妻や娘たちとの必死な家族の営みの中にあり、彼はそれら愛と信念のためには己を絶対に曲げない頑固ものであるゆえに、荒野のディック・フランシスなのである。
しかしネイトの世界はより荒涼とした過去の暴力世界から生まれた孤独極まりないものであり、ジョーとは如何なる意味でも対照的だ。では何故ネイトがそもそもそのような救いなき道のりに乗り出さねばならなかったのかを、本作において作者はやっと明らかにしてくれた。
デイヴィッド・マレルの有名なランボーが、上官によって作られように、本シリーズの世界でもネイトを作り出した者がいる。その怪物はネイトを探し命を狙い続ける。圧倒的な武器、諜報網、残酷さによって。ネイチェクと呼ばれるこの人物はデータとしては存在しない悪魔のような存在として、ジョーたちの街を非情な狩の場に変える。
すべてのページに恐怖と緊張が詰まっているようなサスペンスフルな大作である。圧倒的な戦闘能力を持つ敵たちの中で、巻き込まれゆくジョーの一家、彼らを守りながら単身で闘わねばならぬネイトの行動の数々。
まさにシリーズの空気を塗り替えるような緊迫に満ち満ちたストーリーでありながら、そこに人間の要素である、愛と友情と誇り、さらには大自然の厳しさ、美しさ、鷹の誇りを気高く描いた、シリーズ屈指の作品が本書である。
興奮収まりやまぬ読後。冒険小説の復権。早くも今年最高作品はこれで決まり! -
ジョー・ピケットのシリーズ脇役で、ずっと政府に狙われ、孤独な鷹匠ネイト。本気で殺しに来るチームから身をかわせるか。ついにネイトが追われる理由も明らかになる。
最高に面白い。狙われる、驚くべき理由、追手の技量の高さ、ストーリー展開。全て文句なし。