- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065145234
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパで生まれた「神話学」は、どのように広がり、どう変節してきたのか。言語学、進化論、精神分析、宗教、科学、ナチズム――十九世紀から二十世紀へパラダイム・シフトが起こり、すべてを包摂し神話学も変化してゆく。マックス・ミュラーがダーウィンの思想と出会い、考えたこととは? フレイザーが『金枝篇』で遺した影響とは? レヴィ=ストロースは何を神話の源泉としたのか? キャンベルのつくった「健全な神話」とは何か?「神話」の定義から現代における影響まで、学説史に沿って文献を渉猟し、豊富な引用で本質に迫る意欲作。
感想・レビュー・書評
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要購入。研究史に貴重な一冊。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741993 -
松村一男『神話学入門』。講談社学術文庫から出てるほう。19世紀以降の6人の神話学者に注目して、19世紀神話学、20世紀神話学がどういうものであるかというものを述べた学説史。それぞれの学者の原著をを読む前に背景の把握のために読んでおくとよいとすごく思う。まさに神話の学についての入門書だった。
ちなみに対象とされているのは、19世紀神話学の中からはマックス・ミュラーとフレイザー、そしてその中間のディメジル、最後に20世紀神話学からレヴィ=ストロースとミルチャ・エリアーデとジョーゼフ・キャンベル。それぞれに時代背景や個人の背景・興味があって研究がなされていることがよくわかる。
衝撃だったのは歴史主義、過去の事実に価値を置く思想、とそれへの懐疑というのがいままでぼくにはなかった視点だった。過去の事実を論拠に現在やってることを正当化すること(印欧祖語の仮説からでてきたアーリア人学説とか)の危険性など。これはちょっと陥らないようにしたほうがよさそう。 -
神話学の学説史を6名の神話学者の仕事を通じて理解する本。
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第1章 神話学説史の試み
第2章 十九世紀型神話学と比較言語学
第3章 マックス・ミュラーと比較神話学の誕生
第4章 フレイザーと『金枝篇』
第5章 デュメジルと「新比較神話学」
第6章 レヴィ=ストロースと「神話の構造」
第7章 レヴィ=ストロースと「神話論理」
第8章 エリアーデと「歴史の恐怖」
第9章 キャンベルと「神話の力」
著者:松村一男(1953-、市川市、神話学)