- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065145364
作品紹介・あらすじ
”この世、全てのものは毒である”―パラケルスス(1493~1541)
医学と薬学の不条理に迫る、傑作医療エンタテイメント!
夢の特効薬は、幻なのか? それとも禁断の薬か? 曙医科大学が開発した認知症治療薬「DB-1」は、臨床研究で画期的な成果を上げた。重症患者たちが、ほぼ完全に脳の機能を取り戻したのだ。国際的製薬企業のサニーがいち早く権利獲得に乗り出すが、一人の医師の自殺から浮かび上がったのは、恐るべき計画だった。曙医科大を放逐され、貧乏病院で老医師の代替医として勤める医者探偵・宇賀神晃がその謎に挑む!
【主な登場人物】
宇賀神晃:淀橋診療所勤務。曙医科大学病院の内科医だったが、研究費不正受給を告発し上層部の怒りを買い大学を辞める。大学病院では同僚だった准教授の妻・杏子と娘・あずさとは別居中
脇本新一:曙医科大学脳神経科教授。ノーベル賞級のアルツハイマー特効薬を臨床研究中のエリート。国や企業とのパイプも太い。
明石幹彦:曙医科大学助教。宇賀神とは医学生からの親友。脇本新一の部下だったが手術ミスを起こし自殺する。
新郷美雪:中央新聞社会部の医療担当記者。スクープの為には取材協力者も欺くやり手。長身の美人。
瓦田春奈:病院給食サービス業者最大手の創業者・現会長。お喋りだが行動力もある中年女性。
感想・レビュー・書評
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今年3月発行の文庫書き下ろしです。認知症患者の介護について、綺麗事だけでは済まされない大変さをテーマにしている作品です。個人、社会がどうすれば良いのか答えの無い課題を投げかけられます。
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「医者探偵」宇賀神が伏魔殿の謎に挑む!
医療ものは専門的な説明等が多くなると読みにくいですが、本作はわりとあっさりで
さっくり読める作品だと思います。個人的な好みですが、宇賀神に魅力を感じられず
そのせいなのか、作品自体に好感もワクワク感も持てなかったのが残念でした。 -
久々に面白いミステリに当たった気がする。タイトルの幸福の劇薬というのも的を得てて納得。もし私が当事者ならば劇薬に手を出してしまうかもしれない。
あらすじ(背表紙より)
曙医科大学が開発した認知症治療薬DB‐1は、同大付属病院が実施した臨床研究で画期的な成果を上げた。重症患者三人が、ほぼ完全に脳機能を取り戻したのだ。国際的製薬企業のサニーも権利獲得に乗り出す。ところが、一人の医師の自殺が驚くべき策略を浮き上がらせた。「医者探偵」宇賀神晃が伏魔殿の謎に挑む。 -
この手の本は、自分からはあまり手にしたことはないけど、人からのおすすめってことで読んでみた!
序盤の方は、「やっぱりこういう系統はあまり好きじゃないかも」と思うこともあったけど、
読み進めていくにつれて、話が進むにつれて、
どんどん引き込まれている自分がいた。
ただ、小説を読むってだけじゃなくて、考えさせられる部分もあったから、読んでよかったなぁと特に思えたところ!
究極の選択に迫られた時、素早く冷静に判断するためにも、普段から"変化慣れ"をしていくことの大切さをより改めて感じることができた! -
キャラが立っていて面白い。厄介な新聞記者の美雪が嫌な奴なんだけどいい味出してました。
夢の認知症薬…そんなものがあった時、人間はどうするかの描写にリアリティがあった。 -
エーザイのアデュカヌマブのような設定。アルツハイマーが良くはなるが副作用で出血死してしまうもの。考えさせられる内容です。個人的にはあってもいいかな、と。
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主人公が自分が妻子にどれだけ甘えているのかにまったく無自覚な、昭和な親父で、正直不快。で、お話にも距離感があった。クライマックスで明かされる、事の真相は簡単に答えが出せない類いのものだが、それにも作品として、ちゃんと向き合ったようには思えない。犯人を否定できるかは難しい問題だが、最後の対決では犯人が犯した別の犯罪を糾弾して、うやむやにしてしまうんだよね。その分、後味は悪くない。
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2019.08.26~08.28
他人ごとではない認知症。たとえ一時的でも、病気になる前の状態に戻るのなら、それが残された人にとって救いになるんじゃないのかしら。 -
大学病院を去った医師・宇賀神晃が、新薬の謎に迫る。
病院の不正を告発したばかりに、職場を追われ、新宿の老舗診療所の雇われ院長になった宇賀神が、以前の職場、曙医科大学病院で脳神経外科の権威・脇本医師が開発した認知症治療薬・DB-1の謎に迫る。
DB-1の不正が露見するも、被験者家族は効果を否定していたが、問題は複雑な事情が絡まる様相に。
新薬の裏に隠された秘密と、現代の認知症患者介護の苦悩に迫る。
面白い筋書きなんだけど、もう少し、ワクワクさせて欲しかった。