鵼の碑 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 189
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  • Amazon.co.jp ・本 (832ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065150450

感想・レビュー・書評

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  • ひゃー、やっと読了^^;
    2〜3週間読み続けていたような(^◇^;)
    相変わらず凄い厚み(笑)

    いや、でも新作が読めるだなんて思っていなかった。またあいつらに会えるとは!
    今回の舞台は日光。


    ホテルの従業員から、人を殺したと相談される久住は、それを関口へ相談する。

    木場のお目付け役の老刑事、長門から三つの他殺体が消えた話を聞いた木場。

    失踪者を探して欲しいと依頼を受ける益田。

    古い長持ちが見つかり、調査を請け負う築山と京極堂。

    大叔父の遺品整理に訪れた緑川。

    全く別々の物語が、日光で一つになる。

    のはいいけどさ、榎木津が今回はそれほど活躍していない(-。-;
    私は榎木津の破茶滅茶ぶりが大好きなのだが(^^;;

    最初はバラバラのピースが、次第に交差してくると、ちょっとワクワク。
    だんだん事実が明らかになってくるのに、真相のところは一つもわからないまま。

    これでこの後のページ数で落とせるのか??
    と訝るも、流石の京極堂。

    相変わらず話が難しくて、え??どーゆーこと??ってな場面がいくつもあったが、やっぱり百鬼夜行シリーズは面白い(*^▽^*)

    何度か読まないと理解できないな(^◇^;)
    そして毎回思うけど、頭っからシリーズ再読したいな。
    毎日が夏休みだったら、一気読みできるのに。
    老後の楽しみにとっておくか(笑)

    • bmakiさん
      土瓶さん

      相変わらず、京極先生の作品はどっと疲れますね(笑)
      なのにやめられない。中毒になりますね(笑)

      榎木津に、全員の顔見...
      土瓶さん

      相変わらず、京極先生の作品はどっと疲れますね(笑)
      なのにやめられない。中毒になりますね(笑)

      榎木津に、全員の顔見せたら、はい!解決!!ってならないですかね( ̄▽ ̄)

      ほんと、何で関口に相談するかなぁ(笑)
      京極堂も最初の相談したときは冷たかったですよね(^◇^;)

      この前土瓶さんからご紹介頂いた百鬼徒然袋雨が今のところ私の中では最高ですね!!榎木津が破茶滅茶なら、破茶滅茶な程面白い!!(*^▽^*)
      2023/12/10
    • 土瓶さん
      榎木津は視えるだけですからね~。
      「絡新婦の理」では躱されたし。

      榎木津愛が高いようですから、次は「百鬼徒然袋 風」。
      いきますか...
      榎木津は視えるだけですからね~。
      「絡新婦の理」では躱されたし。

      榎木津愛が高いようですから、次は「百鬼徒然袋 風」。
      いきますか。
      快刀乱麻の神降臨再び、です( *´艸`)
      2023/12/10
    • bmakiさん
      土瓶さん

      ありがとうございます!
      マジっすか。
      それも未読ですね、ならいきますか!!


      女郎蜘蛛、もう全然覚えてないんです...
      土瓶さん

      ありがとうございます!
      マジっすか。
      それも未読ですね、ならいきますか!!


      女郎蜘蛛、もう全然覚えてないんですよね、、、
      一番覚えてないかも。
      その辺も再読必至なんですよね。。。

      京極先生って、かなり敷居が高いし、心折れそうになるんですけど、何故か土瓶さんが居ると読む気がわいてきますよ!!

      いつもありがとうございます(*^▽^*)
      2023/12/10
  • 超絶★5 いくつもの謎がキメラの如く読者に襲い掛かる、17年ぶり百鬼夜行シリーズ最新作 #鵼の碑

    ■きっと読みたくなるレビュー
    参った…正直、気軽にレビューを書けません。怪物レベルの一冊です。
    文学性と芸術性が高すぎて、何を書いても陳腐になりそう。でも本年度を代表する名作なのは間違いないので、書けるだけ書いてみます。

    百鬼夜行シリーズ、まだ『姑獲鳥の夏』しか読んでない私ですら、きゅんきゅんしちゃうほど面白い。最新作を待ってた往年のファンの皆さんは、一体どれだけ面白いのか想像もつかない。

    そしてノベルズが読みやすい読みやすい(重いけど)。密かに文庫版で収集してたんですが、ノベルズで買いなおそうと思いました。

    本作、物語の楽しさはもちろん、舞台になっている日光という土地や背景や、戦中戦後の歴史に学びが多い。鵼という妖怪をモチーフに作品全体が構成され、文章の細部まで美しくしたためられてゆく。さらに登場人物の行動や議論の中からは、読者に哲学や生き方の方向性すら示してくれるという恐ろしい作品。

    何より、ほとんど会話しているシーンばかりなのに、なんでこんなにも面白いのか。マジで止まんないのよ。

    しかもいつもキャストが、いつもの個性を丸出しなんですよね。キャラ小説としても素晴らしい。京極堂、関口、木場、榎木津、益田と、癖のある性格が相変わらずだし、厭味ったらしいやり取りも最高。イチ推しは緑川さんで、人を慮ってあげられる、しかも頭の切れる女性なんて、マジ惚れちゃう。

    またストーリーのエンタメ性も抜群なんですよ。各登場人物たちが、全く別の事件や依頼事から謎を追っていくという展開なのですが、少しずつ繋がりが見えてくる。途中からノートにメモを取りながら読み進めてきましたが、この人がこう繋がって、こういうことなのか!みたいに情報まとめたり推理していくのが、めっちゃ楽しかったです。

    後半、事件の背景が明らかになっていくのですが、人間の弱さと凶悪さに心が煤けてくる…でもすべての真相を知った時、悲しいながらも、物語『鵼の碑』としての綺麗さに救われ、過去から未来に生きていくべきヒントをもらえたような気がしました。

    と…レビューを書いてみましたが、まだまだ真の良さが理解できていない気がするなぁ。やっぱり百鬼夜行シリーズを全部読まなきゃですね。

    ■ぜっさん推しポイント
    例によって本シリーズは様々な教訓を提示していただけます。
    我々良い悪いの判断基準が不明確な場合、情報を探し、調査し、学び、考え、総合的に判断していく。しかし判断基準自体が存在しない場合どうなってしまうのだろう。それらしい基準を提示されたら、盲信してしまうに違いない。

    本作のある人物の判断を見ると、戦争に突き進む日本と同じようなものを見た気がしました。見えているもの、見えてないもの、あるのか、ないのか、そして何が正しくて、どう判断するのか? 自身でしっかり熟慮することが大事だと思い知らされました。

    • autumn522akiさん
      bmakiさん
      どういたしましてです、ありがとうございます^^
      いやーおもろいすよ。人間には無限の可能性があるな、と思ってしまう作品です...
      bmakiさん
      どういたしましてです、ありがとうございます^^
      いやーおもろいすよ。人間には無限の可能性があるな、と思ってしまう作品です。

      おびのりさん
      こんばんわです!レビュー読んでいただきありがとうございます。
      話題作なもので、つい先走って読んでしまいました。
      ぜひぜひ楽しんでくださいね^^
      2023/11/16
    • 土瓶さん
      まだ読み終わってませんが榎木津が相変わらずの榎木津なので、笑いながらホッとしております。
      「陰摩羅鬼の瑕」ではあの特異体質のせいかどうかわ...
      まだ読み終わってませんが榎木津が相変わらずの榎木津なので、笑いながらホッとしております。
      「陰摩羅鬼の瑕」ではあの特異体質のせいかどうかわかりませんが、一時的に視力を失ってたんですよね。
      普通の方の視力を。
      「邪魅の雫」では哀しいことにもなったし。
      でも相変わらずのようで良かった。

      autumn522akiさんのおっしゃるとおり、緑川さん、いい味出してますよね。あの郷嶋相手にまったくビビらず相手するなんて。気に入りました^^

      bmakiさん。だいじょうぶです。京極堂以外にも俺はでしゃばりますから(笑)

      おびのりさん。俺のレビューは期待しないで。autumn522akiさんと比較されるとキツいわ。また2行で終わらせようかなー(笑)
      2023/11/16
    • autumn522akiさん
      土瓶さん、こんばんは
      ちゃんとレビュー書いてねw
      パッションですよ、パッション。熱量にまさるレビューはないのですよっ
      土瓶さん、こんばんは
      ちゃんとレビュー書いてねw
      パッションですよ、パッション。熱量にまさるレビューはないのですよっ
      2023/11/16
  • 日光へ。

    京極堂は日光で発掘された古文書の鑑定を依頼され。
    関口と榎木津はそれに同行する形で榎木津の兄が経営している日光のホテルに泊まる。
    そこで関口は、父親を殺してしまった記憶が甦ったというホテルのメイドに話を打ち明けられて悩む劇団作家と出会う。

    益田は、失踪人の捜索の依頼を受けて手掛かりを求めて依頼人と共に日光へ。

    木場は、定年退職する老刑事と上司が引っ掛かっている二十年前の死体消失の変事を探るために日光へ。

    何の関りもないと思われたそれぞれの事件になぜか重複する人物たち。場所。

    それらを合成させて一枚の絵にすると、まるで存在するはずのない鵺のように。

    一方、京極堂の鑑定している文書にもおかしなものが。

    さらには京極堂や関口や榎木津の学友らしき女も渦中の場所へ。

    前作「邪魅の雫」にも登場した公安調査庁の郷嶋までも日光に。

    いったい何が起こっているのか、いたのか。


    う~ん。今回は残念ながらそれほど合いませんでした。☆3で。
    レビュー、ちょい辛口で失礼します。
    おどろおどろしさが足りない。物足りない。17年振りの新作に期待し過ぎないようにと読んだのだが、それでも期待してしまったのかもしれません。
    最後の謎解きも、う~ん。どうだろう。ネタバレになるので書けませんが、しっくりこない。
    でも、おもしろかったんですよ!!
    京極堂も榎木津も関口も木塲も相変わらずで楽しかった。文句なく。
    でもストーリーはどうだろうと思ってしまう。
    もし、あのキャラたちがいなかったら。
    そんな”タラレバ”を考えるのはおかしいのかもしれない。
    魅力的なキャラを作り出せるのも十分にすばらしいこと。
    たとえばホームズの小説からホームズがいなかったらとか、ルパンがいなかったらとか、考えるだけで意味がないだろう。
    それでも。
    ただのキャラ小説にはなって欲しくない。
    あくまで俺個人の感想に過ぎないのだが、デビュー作「姑獲鳥の夏」から右肩上がりにおもしろくなっていった本シリーズは、「絡新婦の理」「塗仏の宴」あたりを頂点にして下っているように感じた。
    残念。

    あ、ラストに巷説百物語シリーズのような化け物遣いの話が出たのはニヤリとさせられました^^


    おまけ。
    本書ノベルズはとある紀伊国屋書店で購入したんですが凄かったですねー。
    広い店内の4か所にどさっと配置。
    購入特典で付いてきた書店オリジナルのブックカバーがまた良かった。
    いつもの薄茶色のカバーにでかでかと京極夏彦の文字、サインなのかな?
    さらに「古書肆 京極堂」の文字と共に「昭和二十五年開業 東京都中野区 墓ノ町ノ眩暈坂上ル」と。
    まるで京極堂の店のブックカバーのようでした。
    まあ京極堂は古本屋なんだけどな。
    さらには「Rosen Kreuz」とマークまで。
    これは榎木津の薔薇十字探偵社のものかな?
    なんとも気合の入ったブックカバー。
    本来なら読んでしまえば捨てるものだが、こんなスペシャルなカバー捨てられんよ。
    作家生活30周年ということもあって特別版なんだろうけど、こういう粋なことをとくに宣伝することもなくスッとやってくれる書店はカッコイイなー♪

    • 土瓶さん
      bmakiさん。榎木津はあいかわらずでしたよ^^
      関口を罵倒して、ホテルの支配人を困らせて、木場とじゃれてましたよ。
      でも、見せ場らしい...
      bmakiさん。榎木津はあいかわらずでしたよ^^
      関口を罵倒して、ホテルの支配人を困らせて、木場とじゃれてましたよ。
      でも、見せ場らしいのがあんまりなかったのが不満かな。
      2023/11/18
    • 傍らに珈琲を。さん
      読了早かったですね♪
      "ただのキャラ小説にはなって欲しくない"←同感です!
      タイトルが明かされた自作は、土瓶さんも大満足の作品になるといいで...
      読了早かったですね♪
      "ただのキャラ小説にはなって欲しくない"←同感です!
      タイトルが明かされた自作は、土瓶さんも大満足の作品になるといいですね♪
      「絡新婦の理」いいですよね。
      初めて「姑獲鳥の夏」を読んだときは肩透かしを喰らったようで、そんな幕引きってアリなの??と思ったけれど、何故か惹かれて次の作品、また次の…と読み進めたのを思い出しました。
      今回の木場さん、格好良かったな~。

      あーやっぱり紀伊国屋書店でかうべきだった。。。
      カバーは永久保存ですね♪
      2023/11/21
    • 土瓶さん
      傍らに珈琲を。さん。ありがとうございます。
      カバーの処遇はいまだに悩んでいます。開いて壁にでも貼ろうかと思ったんですが、すぐに傷んでしまい...
      傍らに珈琲を。さん。ありがとうございます。
      カバーの処遇はいまだに悩んでいます。開いて壁にでも貼ろうかと思ったんですが、すぐに傷んでしまいそうで。う~ん……。

      次作予定の「幽谷響(やまびこ)の家」はそれほど焦らさずに出して欲しいものです。でないと、また「鵺の碑」を再読しなきゃならなくなる。
      それにしても相変わらず変換が難しいタイトルばっかし(笑)
      2023/11/21
  • やっっと読み終わってホッ。
    17年経つと、もう何がなんだか忘れてる。

    京極堂と榎木津にもっともっと活躍してもらいたかった。
    話としてはそこまで複雑ではないのかな?
    でもやっぱりすべてを理解するのは無理!

    • bmakiさん
      お疲れ様でした(*^▽^*)

      これ持って歩くだけで、結構大変ですよね(-。-;

      この本読んでいるだけで、あれ?読んでない本があっ...
      お疲れ様でした(*^▽^*)

      これ持って歩くだけで、結構大変ですよね(-。-;

      この本読んでいるだけで、あれ?読んでない本があったなぁと思い出させてくれました(笑)

      全てを理解するのは無理ですよね(^◇^;)
      私も全然理解できていません(笑)

      なのにまた一から読んでみたくなってしまいます(笑)
      2024/02/18
    • あじょ子さん
      bmakiさん

      コメントありがとうございます!
      この本は家でコツコツ読むことにしていたのですが、重たかったですね!笑

      そうなんですよね、...
      bmakiさん

      コメントありがとうございます!
      この本は家でコツコツ読むことにしていたのですが、重たかったですね!笑

      そうなんですよね、最初から読み返したくなるんですよね!
      理解するのは大変だけど、あの京極堂ワールドに浸っていたいんですよね(⁠^⁠^⁠)
      2024/02/18
  • 17年ぶりの待ちに待った「百鬼夜行」シリーズ。
    舞台は日光。
    いつもはなかなか出て来ないメインメンバーも、久々だからなのか、今作では序盤から惜しみなく登場。
    それぞれ別の事件を追いながらも、最終的に日光に吸い寄せられていくのが、相変わらず圧巻。
    登場人物も17年経っても、変わりなく、一見重そうなテーマなのに、クスリと笑う場面もあり、とにかく面白いの一言!
    「鵺」は妖怪の割には弱いかなぁ、と思っていたけど、最初は別々の事象だったそれぞれの物語が、ラストには一つにまとまりさすが!
    そして決まり文句。
    この世には不思議なことなど、何もないのだよ。
    う~~~、これがずっと聞きたかった!
    ブクログではノベルズしか見つからなかったので、ノベルズで登録しているが、実際にはハードカバーで読んでおり、さすがに持ち歩きが出来なかったので、読み終わるまで3週間ぐらいかかった。
    それでもやっぱりこのシリーズは面白い!

  • 面白かった!!!めちゃめちゃ久しぶりの百鬼夜行。
    もう、30年近く前、当時ミステリから遠ざかってた時に、
    ”流石書店”という本屋の店主に勧められて読んだ姑獲鳥から
    またもやミステリに戻ったという個人的金字塔シリーズ。
    今回の舞台は日光、相変わらずややこしくなった話を
    中禅寺がさくっとつきもの落とし。
    原子力研究、サンカ、毒蛇、能、鵼、
    消えた3遺体、行方不明、そしてマヨイガ、、
    もう、わくわくするしかない。
    ただ、今回、関口が存外しっかりしている(笑)
    そして相変わらず礼二郎がおもろい。
    バラバラに動く登場人物が、最後にぐーちょきぱーになる
    ジグソーパズルがバチパチっとハマるような気持ちよさ。
    ほんま、面白かった。好きしかない。
    ヴォリュームもものすごくちょうど良い。
    やっぱりこれぐらいないとたよんないわな。


    「いいですか。答えというのは、
    考える前から既にあるものなんです」

  • 何気なく手に取ったら帯に次作予定『幽谷響の家(やまびこのいえ)』の文字が!!
    なぁぁにぃぃぃ~っ!!
    先生、そんなに根詰めて、お身体は大丈夫なのかしら。。。
    それでも次作はこんなに待たされないことを期待しつつ、『鵼の碑』は早めに読んでおかなければ!ってことで前倒し購入。
    前倒したはいいが、829ページかぁ。。。
    (喜びのため息ですとも!)
    にしても、レンガ持ってるみたいだぞコレ。


    ●冒頭の古事記●
    『八千矛の神の命は、
    八島国の中では妻に相応しい女神を得ることが出来なくて
    遠い遠い高志の国に
    聡明な女神が居るとお聞きになって、
    麗しい女神が居るとお聞きになって、
    求婚に出発なさり
    求婚のためにお通いになって
    大刀の緒もまだほどかないうちに
    上着もまだ脱がないけれども
    女神の寝ている家の板戸を
    押そうとして、自ら立っていらっしゃると、
    引こうとして、自ら立っていらっしゃると、
    青々とした山で鵼が鳴いた
    麓の野原で、雉の声が響き渡った
    庭の鳥も鳴き始めた
    憎たらしくも鳴く鳥だ
    この鳥は 撃ち殺してしまえ
    いしたふや(これはアマハセヅカイの枕詞)アマハセヅカイよ(海人馳使説と天馳使説とがあるらしいです) 
    事の語りも、この通りであるよ』
    …かな?


    ●万葉集からの柿本人麻呂の和歌2首●
    【ひさかたの】"天の川原"を美しく表現するための枕詞
    【ぬえ鳥】悲しみに暮れていること。"泣く"の枕詞
    (鵺鳥は本来、トラツグミのこととされている。夜中にヒョーヒョーと泣くのを、当時の人々は悲しい響きと捉えていたよう)
    【よしゑやし】たとえ、よしんば

    『天の川原に心から泣いていたよ、どうしようもない程に』
    …かな?

    『たとえ直接会えなくとも、ひっそりと忍び泣いているとあの方に告げてくれる子が居れば良いのになぁ』
    …かな?


    この後に続く『平家物語』等々に関しては長いので省略(汗)
    でもこれら、ちゃんと目を通した方がいいと思う。
    ここに答えが全て書かれているからだ。
    それはラスト、憑き物落としで明らかになる。


    ●鵼 久住加壽夫の創作ノオトより●
    【朔の夜】(千早茜作品のファンの方はご存じかも?)
    太陽と月の位置関係を示す語。
    朔は、月も見えない夜をいう。
    朔とは、地球から見て太陽と月の方向が同じときのことを指す言葉。
    朔の時に地球から見た月の名称"新月"とは、実際には"何も見えない状態の月のこと"らしい。
    だから『鵼 久住加壽夫の創作ノオトより』には、「朔の夜である。新月は未だ見えない。」とあるのだ。
    うーん、日本語は難しい。

    それにしても、『……創作ノオト』の、闇の中でわたしの輪郭を失ってゆく様からして、もう痺れる。
    「この無限の闇の中でわたしと云ふものが果たして存在できるのか、怪しい」
    「わたしはもう、ないのではないか。
    わたしは夜だ。わたしは、夜そのものだ。わたしはすつかり夜に乗つ取られてしまつた。
    いいや、最初からさうだつたのだ。」

    この創作ノート、私には一瞬鳥肌が立つくらいに怖かった。

    ●本編●
    舞台は昭和29年。
    どの章も(一)は「鳥だ。」で始まる。
    確信したわけではないのに、
    "蛇(一)"の久住も、
    "虎(一)"の探偵事務所を訪れる御厨も「鳥だ。」と断定的に言う。
    "貍(一)"の木場も「鳥だ。」と断定する。
    が、ここは木場の章ゆえ少々異なり、軍鶏鍋をつついているシーンなのだが、
    鶏と軍鶏の違いがよく分からない木場は"どちらも鶏だろーが"と思い、「鳥だ。」と断定的に言う 笑
    そして。
    "猨(一)"の中禅寺に限っては「鳥ですよ」と他者(築山)から言われる。
    鳥だと決めつけているのは築山であって、
    そう言われた中禅寺はというと「そうですか」と言って「意外そうな顔を見せた。」と書かれているのだ。
    これ、本当によく出来てる!!

    鵺の鳴き声とされているのはトラツグミという実在の鳥だというのが定説らしい。
    YouTubeでトラツグミの鳴き声を聞いてみたけれど、フルートの音色のような、よく通る綺麗な鳴き声だった。
    確かに悲しそうではあるのかな。

    梵字の話が出るが、因みに私は亥年で、阿弥陀如来が守護仏だ。
    阿弥陀如来を表す梵字は「キリーク」と読む。
    真言は「おん あみりた てい せい から うん」。
    これは以前、お守りを購入した際に初めて知った。

    ふと気づけば、"関口君"の印象だった関口巽が、"関口さん"へと変貌している……ように感じた。
    難解な出来事に遭遇し、中禅寺や榎木津に揉まれているうちに変わったのか。
    単に時の経過もあるよね。
    というか、普通の人と接する時はこんな感じだったか???
    中禅寺たちの前では、どうにも軽くあしらわれてしまうだけで。

    少し話が逸れるが。
    先日、千葉市美術館で開催されていた『三沢厚彦ANIMALS展』を訪れた。
    樟を彫って油絵具で彩色したという可愛らしい動物たち。
    猫や兎などの小さなものもあれば、ホールの大半を占める大きな鰐も居た。
    その中に異彩を放つ生き物の作品があった。
    木彫りの温かさや作家さんの作風故に恐ろしさは感じないのだが、
    頭はライオンなのに角が生え、胴と足は虎、尾は蛇、背から翼を生やし、翼の間の背中には人の顔。
    それはキメラだった。
    『鵼の碑』を読み始めて、そのうっすら繋がる偶然のタイミングに、喜びでニヤリとしてしまう。

    本作『鵼の碑』では、何だかよく分からない大きな鳥が飛んだり、赤ん坊のような鳴き声が天を遠ざかっていったり。
    とにかく不穏な空気がずっと流れてる。
    冒頭の文献の引用や、『……創作ノオト』の効果が存分に響いている。

    人は何か分からないものに対して、名前を付けてもらうと安心する。
    例えば原因不明の偏頭痛に悩まされていても、"これは低気圧不調ですね"などと言われると"なぁんだ、そうですか"などと少しホッとしたりする。
    名付けられたからといって偏頭痛は治らないのに。
    ただ本書では「鳥に決まっている。」という、その決めつけた物言いにソワソワしてしまう。
    木場の章の軍鶏鍋で、やっとホッと出来るというか、息がつけるというか…。
    なんとも木場さんらしい。

    一度心に刻まれてしまったものは、いくら擦っても消えないし、死ぬまでずっと残るもの。
    場所と言い方は違えど、そのような事を様々な者が口にする。
    前半は本当に不穏な空気が感じられて、
    あちらの章でもこちらの章でも、人を変え言い回しを変え、同じような意味合いの台詞が繰り返される。
    だからそれを読んでいる私は刷り込まれた。
    なせか不穏な空気感。
    「鳥に決まっている。」
    「心に刻まれてしまったもの。」
    「記憶って、もっとずっと胡乱なもの。」
    「言葉で掬えないものは、殊の外多い。」
    「どんな時も確かなのはそこにあるものの表層だけなのだ。
    いや、時にそれすらも怪しい…。」

    いつもの面々は持ち回りの章で活躍し、皆、日光へと向かうこととなる。
    蛇は関口、虎は益田、貍は木場、猨は中禅寺。
    榎さんは…章など関係ないのだ!ははははは。
    これで、平家物語で云うところの鵺の外見(猿の頭、狸の胴体、蛇の尾、足と手は虎)は出揃った。

    中禅寺と合流してからの関口は、やはり"関口くん"な関口で、ホッとしてしまう。
    軽くあしらわれて卑屈になる様が、いつもの"関口くん"だ。
    それにしても。
    中禅寺が関口と合流すると、話が理にかなっていていつも安心する。
    毎度の事ながら、すぐに惑ってしまう関口が読者の不安を煽るのだ 笑

    それに、京極先生の上手いところの1つだと思うけど、「鍵を開けますよ」という台詞が、ひょいと挟まれたりする。
    この時は西遊記が出てきたということで、"作業室の鍵を開けますよ"の意味だったのだけど、
    前の章で記憶の引出しや金庫の鍵として話題に出ている為、
    読者の心に何かを投じるように、小さな針を射す。

    ところで、昔から私は牛乳が飲めない。
    幼稚園のお弁当の時間に、牛乳瓶が二人組で1本配られたけど、いつも代わりの子に飲んで貰っていた。
    チーズも生クリームもバニラアイスも大好きなのに。
    シチューや豆乳鍋も美味しいのに。
    生乳だけが飲めない。
    ところが、かなり大人になってから母が「それお母さんのせいかも」と言い出した。
    母によると、私は元々牛乳大好きっ子だった。
    私があまりにも子供用風邪シロップを飲まないので牛乳に混ぜて飲ませたという。
    その結果がこれだと。
    それは私にはちょっとしたびっくり話だった。
    まるで覚えていない。
    子供用風邪シロップが不味かったのは記憶にある。
    赤やオレンジ色をした、150mlくらいのアレだ。
    まぁそれでも今も牛乳が飲めないので"牡蠣の話"とは少し違うが、
    "私が認知していなくても記憶は知っている"とはコレかなぁと。
    ただ本人の脳内で結び付いていないのか、未だに牛乳は飲めない。

    話、戻します。

    登和子の話を聞いている時の木場の対応がとても好ましいと思った。
    人柄が出ていて、木場というキャラクターの好きなところだ。

    後半はもう次から次へと…の展開。
    タイトルの回収も章ごとに『鵼』であり、それぞれが『碑』であり。
    緑川も現れて関口や久住と合流、公安も緑川に接触。
    益田の「も、もしかして、ヤマ被ってます?」で吹き出しそうになってしまった。
    いや、読者はとうにヤマ被ってるのは分かってるのだが、益田くんのキャラが言うのが実にいい。

    それにしても…肝心の中禅寺の作業はどう絡んでくるのだろう。。。
    その疑問についてはp532からの"猨"から徐々に明らかになってゆく。
    「だからね、神の本地が仏だろうと、その仏もまた権現に過ぎない訳で…………記号に過ぎないのかもしれない。…………何かを信仰しているだけな訳で」
    「畏れ、崇め、敬うべき対象だよ。この土地では山ーーーなのかもしれない」
    思えばそれらを京極先生は初めから本作中にちりばめていた。
    何も付けずに権現と言う場合、家康公を指すが、
    「権現と云うのは神仏が仮の姿を取って現れることなのであって、単独の神仏を示す言葉でもないし、況て特定の個人を示す言葉でもない」であるとか、
    「どんな時も確かなのはそこにあるものの表層だけなのだ。」
    であるとか。
    猨の章だけを見るなら、問題よりも答えを先に伝えられて、ぐる~っと遠回りさせられて答えに戻ってきたかのよう 笑

    榎木津兄弟の会話に木場が混じるシーンは個人的に和んだ。
    「宇宙の声だからなと莫迦な弟は頭の悪そうなことを云った。」
    とのト書き。
    榎木津礼二郎に対して京極先生直々の突っ込みが入っていて笑ってしまった。

    さて、憑き物落とし。
    読者である私も、読み進めるうちに、謎が解けたと思ってしまっていた。
    なんなら、ぞーっとまでしていた。
    でも違っていた。
    登場人物らと共に、いつのまにか居もしない鵺の虚構を見て恐ろしいと震えているだけだった。
    京極先生は作中、実に上手く"鳥"、"鵺"、"鵼"、"ヌエ"を使い分けている。
    私が思うに"鵺(六)"で緑川が考えを整理するシーン。
    これまでのことを冷静に整理出来ているから、"鳥"と書いているのではなかろうか?
    1つ1つ片付いてゆくように、整理する毎に"鳥が飛ん"でゆく。
    ただ、まだ解決はしていない。

    "鵼"の章では鳥が何度も、ひい、ひょうと鳴く。
    "鵺だ"と断定的に書かれる。
    これは登場人物たちが抱えるものが明らかになったものの、
    まだ居もしないものに惑わされているが故に、
    "鳥"ではなく"鵺"と書かれているのではないか?
    トラツグミは居れど、本来、鵺など居ないのだから。

    「この世にはね、不思議なものなど何もないのだよ、関口君」
    この台詞以降P798までの中善寺、現代にも繋がる大切なことを解いているように思えて、
    付箋紙を沢山たてた。

    憑き物落とし…というか真実を知ってしまえば、なんとも悲しい話だった。
    人が人であるが故に、幾つもの悲しい事柄が重なり、繋がらないものを繋げてしまった為に不思議が生じ、不思議を畏れる気持ちから鵺という居もしない怪鳥の亡霊を生み出してしまっていた。
    「人は大体淋しいもんだろよ」
    寛作さんの台詞が胸に響いた。
    登和子さんが元気な事が救いだ。

    • 傍らに珈琲を。さん
      土瓶さん、おびのりさん、こんばんはー。

      土瓶さんも購入されたのですね!
      ここでと決めていた本屋さんに行けたのですね、良かった♪

      お二人と...
      土瓶さん、おびのりさん、こんばんはー。

      土瓶さんも購入されたのですね!
      ここでと決めていた本屋さんに行けたのですね、良かった♪

      お二人とも復習されてて偉いなー。
      本作中でもあの時のアレ、この時のコレ…と関口くんが突っ込まれるので、旧作を読んでおくとプププと笑えていいかもしれません。

      本作も分かりやすかったですよ。
      分かりにくいのは私のレビューです 笑
      お寺と神社のあーだこーだが少し難しかったくらいですが、きっと大丈夫ですb

      読み応えがっつり、奥行のある物悲しいストーリーでした。
      2023/10/07
    • 土瓶さん
      おかげさまで~♪

      かなり敷地面積の大きい紀伊国屋書店にて購入しました^^

      いや~、本屋さんも気合はいってましたね~。
      なんと広...
      おかげさまで~♪

      かなり敷地面積の大きい紀伊国屋書店にて購入しました^^

      いや~、本屋さんも気合はいってましたね~。
      なんと広い店内の4か所で平積み。
      新刊本は汚れないように1冊ずつビニール袋で包装。

      極めつけはあのブックカバーでした。
      無料のあのいつもの薄茶色のカバーに、でかでかと「京極夏彦」の文字が!
      さらに「古書肆京極堂」と。
      さらにさらにその下には「昭和二十五年開業
                   東京都中野区
                 墓ノ町ノ眩暈坂上ル」

      京極堂で本を買ったような気にさせてくれます。
      盛り上げてくれますね~。
      まあ、京極堂は古書専門なんですが(笑)

      いつもは読み終えたら捨ててしまうカバーですが、これは捨てられないな。
      2023/10/08
    • 傍らに珈琲を。さん
      えぇぇぇ!!
      紀伊国屋書店で買いたかったー(涙)

      最初からそこで買いたいって仰ってましたもんね。
      無事に買えてなによりです♪
      えぇぇぇ!!
      紀伊国屋書店で買いたかったー(涙)

      最初からそこで買いたいって仰ってましたもんね。
      無事に買えてなによりです♪
      2023/10/08
  • 久しぶりすぎる京極堂シリーズの復活に心が躍る。
    このボリューム、持ちにくさ、目次の順番、何これー⁈だし、延々と続く登場人物たちの会話もいつも通り。
    絶対後で繋がってくるだろうから、読み飛ばすことなんて出来ない。正直なところ、一種の苦行のような読書だった。
    だけど、なんだろう?やっぱり楽しいのだ。
    おなじみのメンバーたちが、それぞれの場所で
    それぞれの問題を抱えてその謎に迫るうちに、
    大きな円がいつしか縮まりその中心に集まってくるクライマックスにはワクワクした。
    京極堂のおなじみのセリフにもきゅん。

    ラストは大きな驚きはなく穏やかな終結だったのが
    少しばかり物足りなかったかな。

    • bmakiさん
      おはようございます(*^^*)

      あーーー、
      目次の順番!!
      読み始める時私も気になりました。

      でも読み進めていくとこの目次の...
      おはようございます(*^^*)

      あーーー、
      目次の順番!!
      読み始める時私も気になりました。

      でも読み進めていくとこの目次の有り難さに気づきました(*^^*)

      しかしこの本、重いし持ち運び不便だし、読んでると疲れるし、、、
      なのに京極先生、やめられないですね(^^)
      2023/12/11
    • ちぃさん
      前から順に読まずに、目次の順番通りに読んでみようか?と言う衝動に駆られましたが、思いとどまりました。
      二度目はそうやって読んでみましょうか?...
      前から順に読まずに、目次の順番通りに読んでみようか?と言う衝動に駆られましたが、思いとどまりました。
      二度目はそうやって読んでみましょうか??
      わたしも同じく読みたい本がたくさんあるのに、物覚えがどんどん悪くなってたり、集中力がなかったりで最近困っています。ブクログのメモ機能を使って、大事な箇所は忘れないように書き留めています。
      2023/12/11
  • 今、ひとりの書店主として、伝えたいこと  7月、8月と、これまで以上に廃業に追い込まれる書店が増えていった。|二村知子 隆祥館書店(2023年9月22日)
    https://note.com/ryushokanbook/n/ne1956cb7164a


    京極夏彦「鵼の碑」が描く おばけと人間の相克 - 日本経済新聞(2023年9月16日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD032KV0T00C23A9000000/

    京極夏彦、17年ぶり百鬼夜行シリーズ『鵼の碑』は破格の作品だーーじわじわと不安を持続させる832頁|Real Sound|リアルサウンド ブック(2023.09.20)
    https://realsound.jp/book/2023/09/post-1435956.html

    『鵼の碑』(京極 夏彦):講談社ノベルス|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000320828
    (単行本)
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000380699
    ※本作品は2023年9月に講談社ノベルスとしても刊行されています。単行本として出版するにあたり、本文レイアウトに合わせて加筆修正が為されていますが、ストーリーなどは変わっておりません。

  • 前作『邪魅の雫』から17年を経て、久々すぎる“百鬼夜行シリーズ”の新作です。
    (※公式では「百鬼夜行シリーズ」とされていますが、私の中では“京極堂シリーズ”なんですよね。
    個人的に“百鬼・・”というと『百鬼夜行 陰』『百鬼徒然袋 雨』といった、スピンオフシリーズを指して、本編は“京極堂・・”なのですわ~。ま、本編とスピンオフ合わせての“百鬼・・”なのでしょうけど・・と、以上、どうでもいいこだわりでしたww)

    古文書古記録の調査の為、日光に来た京極堂こと中禅寺に同行して〈日光榎木津ホテル〉に逗留している関口は、同じホテルに宿泊している劇作家の久住から、“父を殺した記憶”を持つ娘の件で悩んでいる旨を打ち明けられます。
    その頃、失踪者を探す為、下僕(?)探偵・益田も、依頼者の御厨と共に日光を訪れる事に。
    そして、旦那こと刑事の木場は、20年前の死体喪失事件の真相を追う為日光を目指していて・・。

    ふ~・・やっと読み終わりましたよ!この凶器レベルの分厚さが(しかも二段組!)、これぞ京極本ですよね~。
    偶々忙しい時期に予約が届いたこともありますが(返却日に間に合って良かったw)、若かりし頃、本編シリーズにのめり込んで『鉄鼠の檻』『絡新婦の理』といった超ド級のヴォリューム本に大喜びで食らいついていた時のような、時間も体力も無くなっているかも・・と老いを実感した私です。
    とはいえ、読みだすと“あぁ、これこれ!”と京極堂ワールドにスル~っと入っていけました。
    「蛇」「虎」「貍」「猨」「鵺」それぞれのパートで個々に進んでいく話が徐々に繋がりを見せて、まさに妖怪の“鵼”を構成するパーツのように、「鵼」の章で収束していく様が圧巻です。
    ラストは、いつものように中禅寺さん(京極堂)がまとめてくれるのですが、今回は憑き物落としというより、何だかけむに巻かれた感があったかな・・ま、そんな得体の知れない背景自体が、“鵼”そのものってことなんですかね。
    で、内容としては、過去の事件の真相を追う展開で、物語の進行中に事件が発生するわけではないので、やや盛り上がりに欠けるところはあったかも知れないです。
    ただ

    ですが、本編シリーズのレギュラーメンバーに再会できた喜びが大きくて、彼らのやり取りを読んでいるだけで幸せでした。
    新キャラの緑川さんもクレバーで良きです(今回、敦っちゃんが登場しなかったし)。
    あと、超個人的な欲を言わせて頂くと、私の“推し”の青木君の出番が少なすぎたのが残念でした(そう、私は希少なアオキスト@仲間募集)。

    うん、やっぱ京極堂(本編)シリーズはいいですね~。

    「──この世にはね、不思議なものなど、何もないのだよ、関口君」
    ↑来たー!てな感じで、久しぶりに堪能させて頂きました。

    次巻『幽谷響の家』(やった!)も楽しみにしております~。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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