植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)

制作 : 日本植物病理学会 
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065152164

作品紹介・あらすじ

私たち人間が風邪をひいたり、腹痛を起こしたりするように、実はありとあらゆる生命体(ウイルスを含めて)が病気になる。それは陽の光を浴びて光合成を行い、穏やかに暮らしているように見える植物も例外ではない。
 しかしながら「植物の病気」については、一般にほとんど知られていない。そもそも植物に病気を起こす病原菌は、我々ヒトや動物に感染する菌と同じなのか? 動物では生体防御に必須の自然免疫や獲得免疫が存在するが、免疫に必要な白血球や抗体も、それを全身に運ぶ血液もない植物はどうやって病原体を撃退するのか?
動くことのできない植物は、ウイルスや病原体からの感染に対して無為無策のように思われるが、実は動物たちに勝るとも劣らない独自の感染防御機構を発達させてきた。病原体が細胞壁に付着しただけで、それを認識して、感染経路を遮断したり、有害物質を分泌して病原体を撃退する。驚くべきことに植物は、動物の自然免疫や獲得免疫に匹敵する特有の免疫機構で感染を防御していることがわかってきた。対する病原体も、こうした防御機構を無力化する、特殊な分子メカニズムを発達させてきた。陸上植物が生まれてから約5億年といわれるが、そのその長い時間、植物と病原菌は生死をかけた「果てしなき戦争」を繰り広げてきた。スパイさながらの防諜戦、大量破壊兵器とそれを迎撃するミサイル、感染すると細胞がアポトーシスする「自爆機構」など、植物と病原体の分子レベルの闘いは、きわめてダイナミックである。本書では、そんな植物と病原菌の関係にフォーカスを合わせ、その驚くべき攻防の舞台裏を解説する。

序章 植物病気と人間社会
第1章 植物の宿敵たち
第2章 植物病原菌はどうやって病気を起こすのか
第3章 植物はどうやって病気から自らの身を守るのか
第4章 植物と病原微生物の「軍拡競争」
第5章 植物と微生物の寄生と共生をめぐる「共進化」
第6章 植物の病気から生まれた科学的な発見

感想・レビュー・書評

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  • 陸上植物が生まれてから約5億年といわれるが、その長い時間、植物と病原菌は生死をかけた「果てしなき戦争」を繰り広げてきた。スパイさながらの防諜戦、大量破壊兵器とそれを迎撃するミサイル、感染すると細胞がアポトーシスする「自爆機構」など、植物と病原体の分子レベルの闘いは、きわめてダイナミックである。本書では、そんな植物と病原菌の関係にフォーカスを合わせ、その驚くべき攻防の舞台裏を解説する。


    私たち人間が風邪をひいたり、腹痛を起こしたりするように、実はありとあらゆる生命体(ウイルスを含めて)が病気になる。それは陽の光を浴びて光合成を行い、穏やかに暮らしているように見える植物も例外ではない。
    しかしながら「植物の病気」については、一般にほとんど知られていない。そもそも植物に病気を起こす病原菌は、我々ヒトや動物に感染する菌と同じなのか? 動物では生体防御に必須の自然免疫や獲得免疫が存在するが、免疫に必要な白血球や抗体も、それを全身に運ぶ血液もない植物はどうやって病原体を撃退するのか?
    動くことのできない植物は、ウイルスや病原体からの感染に対して無為無策のように思われるが、実は動物たちに勝るとも劣らない独自の感染防御機構を発達させてきた。病原体が細胞壁に付着しただけで、それを認識して、感染経路を遮断したり、有害物質を分泌して病原体を撃退する。驚くべきことに植物は、動物の自然免疫や獲得免疫に匹敵する特有の免疫機構で感染を防御していることがわかってきた。対する病原体も、こうした防御機構を無力化する、特殊な分子メカニズムを発達させてきた。陸上植物が生まれてから約5億年といわれるが、その長い時間、植物と病原菌は生死をかけた「果てしなき戦争」を繰り広げてきた。スパイさながらの防諜戦、大量破壊兵器とそれを迎撃するミサイル、感染すると細胞がアポトーシスする「自爆機構」など、植物と病原体の分子レベルの闘いは、きわめてダイナミックである。本書では、そんな植物と病原菌の関係にフォーカスを合わせ、その驚くべき攻防の舞台裏を解説する

  • 生化学と分子生物学の基本知識が必要。わかっていれば面白そうだなーと思いつつ、でもやっぱりついていけない。残念。

  • 昨年、ダーウィンの進化論を覆すような研究結果がでましたが、
    自分は今でも、自然界において、生物が生き残る為には、自然淘汰、という考えにも共感しています。
    生物が生き残る為には、身を守るためには、人間社会に組み込まれた生物は、人為的な方法も必要ですが、自然界の条件や、種独自、個体独自の方法が必要です。
    その方法の一つ、「病」からどのようにして身を守るのか、を、この本では、特定の植物達について、詳しく説明しています。

    日本の植物業界?で働きたい、植物について学びたい方への糸口として、良い本だと思います。
    自分に馴染みのない草木、も出てきますが、散歩をしていて見かけたり、家の近くにはえていたり、と、自分の周りの植物達を、この本を通して、別の視点からみることができるかもしれない、とも思います。

    日本は、植物や野菜などの品種改良が得意だ、と何かの本で読んだことがありますが、この本の内容のような研究なくしては成り立たないのだろう、と思います。
    例えば、とても大きな蕪を品種改良してつくる、など、ですが、この本では、葡萄の品種改良について取り上げています。

    しかしながら、元素記号などのアルファベットや記号、カタカナ表示の言葉が多いので、横書き、だったならば読みやすいのにな~、と思いました。

    植物はヒトよりも、なが~い間、生存しています。そして、植物が無くなれば、ヒトも無くなります。
    植物を知る、それは、ヒトを知ることでもあると思います。

  • 文字通り、植物と病原体の戦いについて描いた本。

    これまで動物と病原体の戦いについて知る機会はあったが、植物にもそれと同等かそれ以上の戦いの歴史があることがよくわかった。

  • 2021-05-05 amazon p550-

  • すごく面白かった

  • 考えてみれば当然なのだが、植物も菌やウィルスに冒され病気になる。この本は植物たちがどのようにそれらの感染に対抗しているか、逆に菌はどのようにそれをかいくぐって植物たちに感染するか、ということを書いたもの。その視点が新鮮で楽しみに読んだのだが、思った以上に専門的・化学的な内容で、もう少し仕組み・実例の方に焦点を当てて欲しかったというのが正直なところ。耳慣れない専門用語が苦手な人にはつらいかも。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50142720

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著者プロフィール

植物病理学は、「植物を病気からいかにして守るか」を命題とした、植物を対象とする医学のような学問分野です。日本植物病理学会はその発展と普及を目指して、1916年に創設されました。現在, 外国会員を含めて約2000名の会員によって組織されています。植物病理学では、病気の原因となる病原体、植物の病害への抵抗性機構、またその両者の応答等が、主な研究対象となっており、マクロな現象から分子レベルのミクロな課題まで幅広く取り扱っています。農作物の病害防除に役立つという応用的な役割に加え、基礎的な学問としても多くの貢献がこの分野から生まれており、バイオサイエンスにおけるホットな研究領域としても脚光を浴びています。

「2019年 『植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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