- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065153987
作品紹介・あらすじ
2005年、『アースダイバー』は、東京の風景が一変する散歩の革命を起こし大ベストセラーになりました。野生の東京を描く東京創世記でした。
その後、『大阪アースダイバー』(2012)『アースダイバー 東京の聖地』(2017)、『アースダイバー 神社編』(刊行準備中)と日本の歴史を書きかえる射程をもつ大きなプロジェクトになっています。
縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教えてくれます。
今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。
そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還します。
東京アースダイバーの決定版にして完結版!
【120ページ加筆】
【全24点アースダイビング・マップ付き】
【第9回桑原武夫学芸賞受賞】
[目次]
増補改訂 まえがき
プロローグ
第1章 ウォーミングアップ―東京鳥瞰
第2章 湿った土地と乾いた土地―新宿~四谷
第3章 死と森―渋谷~明治神宮
第4章 タナトスの塔 異文/東京タワー―東京タワー
第5章 湯と水―麻布~赤坂
間奏曲(1)―坂と崖下
第6章 大学・ファッション・墓地―三田、早稲田、青山
第7 職人の浮島―銀座~新橋
第8章 モダニズムから超モダニズムへ―浅草~上野~秋葉原
第9章 東京低地の神話学―下町
第10章 海民がつくった下町-隅田川
第11章 よみがえる南郊-多摩川
間奏曲(2) 森番の天皇―皇居
最終章 ムサシ野オデッセイ
あとがき
感想・レビュー・書評
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地形に意味あり。神社の場所、聖地の意義。理由が有る、ひとは続いているコトが、地図見ておもいました。確かに人事の近くは、遺跡が多いし。
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地形学・地理学に宗教学の要素を取り入れて、時系列の物語をその土地に見出していこうとするアースダイバーの概念を世に問うた宗教学者のアースダイバー東京編(増補改訂)。
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めっちゃ面白いけど、通して全部はちょっとしんどいかな、興味のある場所とかを、思いついたときにパラパラと
でも、例えば代々木八幡にはじめていったとき、神社の中に縄文時代の住居の復元があって、あぁ、つまりここってそんな昔から何か特別な場所だったのかな、と感じたこととかに説明が与えられた感じで嬉しい
代々木八幡が、いきなり急な階段を登っていく斜面なのとか、なるほど、周りのビルとかを全部とりのぞいてヤブとか沼になった景色を想像してみれば、確実に何かの特異点にみえるのは間違いない
今も、都心を少し離れれば、川沿いとかに神社は多い -
東京の地形と暮らしの歴史と人々の心の有り様をリンクさせて縦横無尽に論じた「アースダイバー」(2005年)の増補改訂版です。当時、「縄文の大地を裸足で感じる」みたいな中沢新一っぽい言い回しに痺れて、東京散歩が新鮮になりました。洪積層と沖積層、山の手と下町、水の記憶と性産業、都市を見つめる目線に、出来事ベースの歴史だけではなく、人の潜在意識への妄想が加わりディープになったのを覚えています。考えてみれば、「ブラタモリ」のヒットとか、地形マニアとか、「せんべろ」などの下町巡礼とか、そんなこんなのきっかけが「アースダイバー」だったのかもしれません。今回の増補改訂には下町周りが補強されています。洪積層と沖積層の境界の物語から、沖積層の物語へ。それは、伊勢湾から東海地方を経て東京湾にたどり着いた「海民」の物語です。そこで熱く語られるのが「海民」の末裔としての吉本隆明。山の手の論理に対する異議申し立て力としての再評価を「足の下は海」という「海民」の意識に求めているのは現在のグローバル経済時代への違和感なのかもしれません。また資本主義の及ばないエリアとしての皇居という指摘も、時代的たと思いました。「森番の天皇」が変わるタイミングで、東京という都市の意味を考える材料になりました。
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僕は海の近くにすんでいるんだけれど
近隣にすんでいる人や集まってくる人の魅力にいつも心が踊る
何でだろう、地域柄だよね、くらいに思っていたんだけど、この本を読めばそれがなぜかわかる
海の近くにすんでいる人も、山に住んでいる人も、全てに通じる本
ちょっと長いけど -
「土地の記憶」は縄文時代にまで遡る。
洪積層と沖積層を色分けした地図を見ると、東京の海岸線はフィヨルド海岸だったと深く納得させられる。まずは洪積層の高台が発展し、沖積層の低地だった場所には海民が流れ着き川を上り稲作を始め、大きな勢力となっていく。
この本を持って東京を散歩散走したら、
高低差に坂道にワクワクするに違いない。
大森克己さんの写真は全体にトーンが統一されていて、この本に合っていたと思いました。 -
「サッ」は死を意味する古代から言葉である。「サカ」、「ミサキ」。。。東京は縄文時代には温暖化により海面が現在よりも高く、東京の低地の多くはまだ海の中にあった。東京の街の成り立ちについて、縄文時代の地図から考えて散策をする。このような形で考察した著書はこれまで見たことがなかった。新宿、渋谷、三田、皇居、東京の街が縄文時代からどのように発達してきたかが良くわかった。
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東京の地形学とそれにまつわる歴史。洪積台地か沖積低地かで、ヒトはそこに何を作り、どんな文化を育むかが変わってくる。北ムサシの近辺に生まれ、南ムサシの近くに住んだことがあるだけに、そこに生まれたドラマは何か感慨深い。