- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065154281
作品紹介・あらすじ
狂乱のバブル経済崩壊後の「失われた20年」のさなか、日本中の不良債権取り立てに奮闘する国策会社=整理回収機構。そこで働く面々は、その多くがバブル崩壊で破綻した金融機関の出身者たちだった。借り手の側から取り立てる側へ――将棋の「奪り駒」のように回収の最前線に打ち込まれた者たちは、バブル経済に踊った怪商、借金王、ヤクザらと対峙し、でジワジワと追い詰めていく。泥沼の債権回収に奮闘した、男たちの物語。
住専こと、住宅金融専門会社7社は、バブル崩壊により、6兆4000億円にのぼる巨額の損失を負った。
7社はいずれも大手銀行、証券、生保などを母体に設立されたが、80年代末の狂乱のバブル時代、母体行が融資に尻込みした「バブル紳士」たちに巨額の融資を行い、その多くが回収不能となり焦げ付いた。
政府は6850億円の公的資金投入を決めるが、これが世論の強烈な反発を招く。
自民党・橋本龍太郎政権は「住宅金融債権管理機構」を設立し、社長に「平成の鬼平」と呼ばれた中坊公平元日弁連会長を据えた。住専各社から譲渡された不良債権を、できる限り回収することを目指す、「バブルのしんがり」たちの活動は、こうしてスタートしたーー。
感想・レビュー・書評
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"名を残すのは王であって、兵士ではない"、というのは、戦の功罪両面に現れて然るべきと思われるが、現代の戦においても現実は不条理。"奪り駒"とされた兵には、そもそも条理などありもしない。それでも、自らの正義と、戦いを重ねるにつれ感じる戦慄とに取り込まれ、人生を注ぎ込んでいく強者たち。だが、彼らの行く先に勝利はない。未だ続く住専不良債権処理問題は、今、国民が目にしている新たな問題の底流として姿を変えて生き続けるから。悪い奴ほどよく眠る。
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1980年代バブル後に不良債権回収という責務を負った整理回収機構(住宅管理機構が前身)に関わった回収側と追われる側の攻防劇を丹念に取材した話です。
中坊氏が歯に衣を着せぬ言いっぷりで官僚、政府、金融機関の責任を指摘し、不良債権回収を進めていた姿は記憶にあります。
同氏は「これはこうあるべきだ、という理念があって、その実現のためにどう法律を使い、どう解釈をするか、と発想していた」制度、法律は揺るがないものと前例や制度主義とは異なる思考で組織を牽引した方だったと思います。
資産隠しや刑務所から出た後も強かに表に出ず事業をする債務者もさることながら、杜撰な融資をした金融機関、見過ごしていた政府関係者も同じ輩で社会全体が異常だったにしても根源は両者にあったと思います。
筆者は2016年、シンガポールの英字紙で悪質債務者がプライベートバンクに巨額の資金を隠しており整理回収機構が回収しつつあることを報じていたが、邦人紙はどこも報じていなかったと記しています。日本は喉元過ぎたらなんとやら、とても残念な対応だと思います。
本書は、1980年代〜2000年代日本が押し寄せてくる外資金融機関に翻弄される一方で、こうした世界が繰り広げられていて、未だその追求は続いていることを多くの人に伝える本だと思います。
多くの人にこの事実を知って欲しいと思います。 -
関心のあるトピックなのに、全く話が入ってこず、断念。
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今年(2021年)の1月からWOWOWで放送されている伊藤英明主演の連ドラの原作と云うことで読んだ。ノンフィクション小説って謡ってるけど、ルポルタージュだね。取材した話がつらつらと書き並べられてるだけ。あの事件ってこう云う事だったんだって云うのはよく分かるけど、小説を期待したのは間違いだった。ただ、事件(?)はえげつない。私が汗水流して収めた(天引きだけど)税金も、これに使われたのね。
テレビドラマはまだ3回終わったところで、12回続くそうだが、よくこの話をうまくドラマ仕立てにしてると感心する。原作でなくて原案だね -
人間はやらなければならない環境に身を置くことが一番成長出来るということを改めて感じさせてくれる1冊。自分自身不動産事業に身を置く者として、債務者側の視点から読んでも楽しめた。
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『トッカイ ~不良債権特別回収部~』
WOWOW/毎週日曜放送
2021年1月17日から -
読みにくい。登場人物が転々とする。最後でようやくストーリーが分かった。
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非常に面白くて一気に読んでしまった。