- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065155059
作品紹介・あらすじ
■帝位「新皇」に就いて朝廷に刃向かった、唯一無二の「兵」■
鎌倉幕府を築いた源頼朝、南北朝時代を終わらせた足利義満、
三職推任を打診された織田信長、天下一統を成し遂げた豊臣秀吉……。
いずれも時代が認める改革者であったにもかかわらず、
古い王朝を改めて最上の地位を望まなかったのなぜなのか。
その背景には、武威によって坂東を従わせ、新皇を名乗りえて
京都の朝廷を争った末に、非業の最期を遂げた平将門の存在があったーー。
未だ謎の多い将門の実像に迫る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皇居の大手門のすぐ前側に位置する東京・大手町ーー
メガバンクや商社など名だたる巨大企業が本社を構える日本最大のオフィス街――に、
ぽつんと静かな霊場があるのをご存知だろうか?
10世紀に坂東(今の関東)を鎮定し、「新皇」に即位して、朝廷と争った平将門の首塚である。
都会の喧騒を払うように、清浄な気配を漂わせているが、
この地には見た目からちょっと想像できないような怨霊譚がいくつも伝え残されている。
はたしてそれらの伝説は本当なのか?
東京・大手町に存在する「日本史ミステリー」の真相解明にも挑む!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■本書のおもな内容■
序章 怨霊伝説を検証する 中世の将門怨霊譚/近現代の怨霊譚 ほか
第1章 蔭子・将門の少年期 蔭子なのに叙任されなかった将門 ほか
第2章 遺領が招いた争族 出世街道を外れた理由/「田畠」に隠れていた軍事施設 ほか
第3章 平良兼・良正の襲撃と源護の策謀 敵将を見逃す将門の甘さ ほか
第4章 追捕使・将門の勇躍と逆襲 旧私君・藤原忠平の厚意を得た将門/富士山の噴火 ほか
第5章 坂東独立の風雲 「天慶の乱」について/改元時期の京都と坂東の不安 ほか
第6章 将門、新皇に即位す 坂東の民意から生まれた新皇/弟と側近の諫言 ほか
第7章 誰が新皇を殺したのか 京都へ逃げ出す国司たち/京都滅亡の危機 ほか
第8章 敗者の声と勝者の宴 英雄なき勝利のあと/永続する朝廷と将門への鎮魂 ほか
終章 神田明神と将門塚の興起 なぜ神田明神と将門塚が都内にあるのか ほか
付録 平将門関連年表
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
将門について、これほどまで分かりやすく書かれた本を読んだことがない。その後の日本を決定付けた乱であったこと、そして、我が国における武士の成り立ちを理解できた。もしあの時、将門が京に赴き、弁明に成功していたら、ボタンのかけ違いがなければ、日本はどうなっていたか、想像せざるを得ない。
-
一族同士の争いから関東八州の国司を手中に加え、新皇として即位した後、追討された平将門についての研究。
正しく振る舞っていたにも関わらず、情勢による朝廷の不安感(藤原純友の乱、中国では唐王朝が朱全忠により倒され、朝鮮でも新羅が高麗に滅ぼされるという王朝交代の時期)と讒言により追われる立場となり、最終的に滅ぼされる悲しさを感じた。 -
将門は計画的に反乱を起こそうとしておらず、反乱に追い込まれた形であった。
-
平将門について、反乱に至る経緯から、怨霊信仰についてまで、著者の見解がまとめられている。
-
多くの資料に基づき、筆者の推測も含めて、事実を時系列的に記述している。
将門を俯瞰するのに適した一冊。 -
『死刑にいたるなんちゃら』があまりに〇☆△◇◎ったwせいなのかなんなのか、何を読んでも全然面白くなかった時に読んだ本。
平将門について、とっつきやすく一冊にまとめ、しかも手に入りやすい新書で、という意味でもいい本だと思う。
アマゾンのレビューだと、ちょっと上から目線wで否定している意見が多ようにも感じたけど、一般の人向けの新書としてならこれでいいんじゃない?
なにがいいって、大手町の首塚の話から書いてあるのが一般向けの本としてよいと思うのだw
平将門なんて、平将門→首塚→祟り→心霊スポットが“世間の常識”なわけだ。
それこそ、心霊スポットオタクがわざわざ出かけて。(わざわざ出かけたからにはちゃんと)変な気配を感じて、塩撒いて帰ってくるという定番のイベントだったりするw
でも、この本を読めば、「いちいち一般庶民に祟ってるほど、平将門はヒマじゃない」とわかるんじゃない?(え、わかんない?爆)
平将門って、個人的には、いわゆる単純馬鹿(←誉め言葉)だと思うのだ。
単純馬鹿の人は祟ったりしないよ(爆)
「負けた、負けた。あー、面白かった。ガハハ」と、すぐ成仏したと思う。
平将門の魅力っていうのは、その単純馬鹿さにあるわけで、単純馬鹿だからこそ、皆から好かれ頼りにされ、奉られた結果、ああいうことになったんだろうなって思うのだ。
そう意味で、「自分が思っていたより単純馬鹿だったんだなー、平将門って」(←誉め言葉ねw)と、すごく納得出来た。
個人的には、平将門の単純馬鹿さ(誉め言葉ね)というのは、足利尊氏のあの性格に通ずるところがあるように思っていて。
平将門も足利尊氏も坂東の武士(平将門の時代にその概念があったかどうかはともかく)であるわけで、つまり、坂東武士たちが求める棟梁の資質として、ある意味現代の体育会系的な、タテの関係のノリのいい意味での単純馬鹿さ(鷹揚さや親分肌)があったんじゃないだろうか?
平将門や足利尊氏というのは、その単純馬鹿さに惚れた武士たちが彼らを歴史の表舞台に上がらせていったんだと思うのだが、でも、後の時代の信長や秀吉といった天下人の資質というのはそれとはたぶん違う。
著者には、武士たちが求めた棟梁の変遷を是非書いてほしいな―と思った。
祟りといえば、平将門の死後、武蔵と下総の境辺りで、首を斬られた将門の胴体が辺りを荒らしまわっていたという伝説があったはずで。
「首を斬られた胴体」ということは、普通に考えれば、首領を失った手下(家臣?郎党?)を指しているのだと思うのだ。
ということは、首塚の主というのは、もしかしたら平将門の手下なんじゃないかと思うんだけど、その辺りもちょこっと付け加えてほしかったなぁーw -
将門記をもとに将門の生涯を解説。将門記をなぞっていくだけな感じがあり、すこし短調。単に将門の事績を追うだけでなく。その時代における東国の制度・情勢について解説があれば、背景知識として広がりがあったのだろうが。
10世紀の東国である以上、そもそも十分な史料がないのは致し方ないが。 -
史料の少ない中良く調べ、良く書いてある。平将門のイメージは湧かないままだった、