紙の城 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.28
  • (3)
  • (16)
  • (25)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 156
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065165355

作品紹介・あらすじ

新聞、本当になくなってもいいですか?

躍進著しいIT企業インアクティブによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の驫木は、世論を味方に、役員会を切り崩しにかかる。“ウェブファースト“を掲げ、新聞の価値を根底から揺ぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か? 社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を賭けた死闘が始まる。

『傍流の記者』で直木賞候補となった著者だから描けた、メディアの裏側の熱き攻防!

情報化社会? 何を言ってやがんだ。本当の情報は
クリックすれば出てくるもんじゃないんだ。
本城の作品には、「情報」というものの深みを教えられる。
本作は「新聞社は生き残れるか」を人間ドラマに広げた秀作だ。
                      ――佐高 信

「朝日新聞」「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 記者の仕事の解像度が高く、熱量の高い作品だった。

    IT会社に買収されまいと、スクープを狙う記者の姿勢に見習うものがあった。そうした姿勢が世論を、当局を動かすことは本当にこの仕事であるよなぁとしみじみした。

    その面白さを味わった瞬間から、この仕事は辞められなくなるのだろうなぁ。

  • 読後、紙の城というタイトルの秀逸さがよくわかる小説。新聞の紙媒体はネット媒体から牙城を守れるかの攻防戦を描いている。

    私も新聞は数年前からネット派だが、どの媒体で読むかではなく、何を読むか(求めているか)が重要だと感じている。新聞には取材に基づいた事実の掲示と社会への発信を求めているのであって、素人の意見やまとめサイトのような記事は必要ないと思う。

    媒体を守るのではなく、優秀な記者を守りたいという思いからの守戦としたのは非常に共感でき、清々しい読後感となり得た。

  • スマホで何でも観れる世の中「紙の新聞」はこの世に必要ですか?

    私は必要と思っていますが新聞は取っていません。。

    大元は新聞記者が汗水流した情報がスマホに反映されるから。。
    全てがすべて利益になる「ネタ」はあり得ないが、新聞記者の「目」と「足」に
    勝てるものはないかなぁ~

    地方の新聞社がIT企業に買収される話が出回ったとき新聞記者がそれを阻止した
    方法とは?

    新聞記者の意地とプライドを掛けた戦いが始まった

    ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
    いちばんゆるい読書会In町田

    第一金曜日の夜に読書会を町田にて開催していまーす。。
    参加資格は・・・本が好きなこと以上!

    持参した本を紹介するのではなくメンバー同士本の貸し借りを
    するのが特徴の読書会です。。

    気になったあなた!ご連絡してくださーい。。
    megumegu0753@yahoo.co.jp
    「読書会希望」と書いてメールお待ちしています^^
    ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

  • 新聞製作の裏側が見られた感じです。
    物語は、ネット対紙の新聞みたいな構図でしたが、時代は図らずも、ゴードンが目指した?ようにネットと新聞の融合になってきている気がします。(個人的には紙の新聞が好きですが)

  • 実際にありそうな 買収騒動

    「ありそうだなぁ」
    でも その先は極上のエンタメ

    キャラクターが みんな魅力的で ポジションは敵方でも イヤな気にさせない
    それはきっと 真剣に仕事に向かう人の姿は 観ていて気持ちがいいから

    熱さも クールさも それぞれで良い

    読後感も気持ち良く 満足 満足

  • 「情報とは何か」をキーに新聞は生き残れるかまでテーマを拡大したドラマになっている。ここで描かれる新聞の生き残り策が的を射ているとは思えない。けど、一次情報を収集するのには手間と時間が必要だよなぁ。これからの社会でそれを担うのはどこになるのだろう。

  •  紙ベースのニュース情報の必要性。これは出版業界にとっての紙ベース書籍の必要性以上に新聞社を左右する論点になっている。

     電子機器の中でもスマホが必須アイテムになった現代。書籍では紙ベースを支持する人はまだ一定数いるようだが、ニュース情報については……。

     作者は塩田武士と同じく新聞社勤務を経て作家に転身しているだけに、強い主張が見て取れた。
     塩田作品ほどエンタメ性は高くないが、本城作品のこの硬派な感じは好もしく思う。(2人の年齢の違いも大きな要因かも知れないが。)

  • 買収劇の決着までの話。これをきっかけに何かが変わっていくのかと思いきや、あんまり変わってないような。ニュースメディアと思わせてただのキュレーションメディアばっかりの昨今、ちゃんと自ら取材する記者をかかえているってのは重要だなぁと。

  • この本城という作家には、初めて手を出した、と思う。産経新聞の出身で野球に取材した小説で出てきた・・らしい。
    本作は、新聞社を飲み込もうとするIT経営者に対抗する記者たちの奮闘や意気地を疾走感をもって描いたもの。安芸という主人公語り手の社会部ボスなのだが、難しい陰影はつけず、カラっとしているところが現代風の小説だ。

  • デジタル化の恩恵は計り知れないが、紙の役割に改めて気づかされる。新聞、書籍、手帳、Paperは人の思考を深める助けとなる大きな役割を果たしている、と改めて認識。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本城雅人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×