奈落の偶像 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065166123

作品紹介・あらすじ

銀座のショーウィンドーに吊るされた奇妙な遺体。謎の遺留品に悩む警察をよそに、第二の被害者が拉致される。殺人分析班の見立ては。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ10作目。
    銀座のブティックのショーウィンドウに吊るされた男性の遺体。
    遺留品から演出家であることが判明するが、すぐにデパートの男性社員の拉致事件が発生。
    犯人は同じ銀座で、拉致被害者の録音した音声を流し、捜査の混乱を狙う。
    狭い範囲で起きる連続した事件だが、筋読みをしても、犯人像がなかなか浮かばない。
    そんな中、第一の事件現場から持ち去られたマネキンが特殊なものであることが分かり・・・
    犯人の要求の期日まで日数がないこともあり、今作では11係のメンバーの集まるシーンは少な目。
    その分、塔子と鷹野だけでなく、他の11係のメンバーも一緒に捜査する様子が多く描かれる。
    銀座を舞台にした猟奇的な事件で、「劇場型犯罪」と思わせるような展開だが、銀座の実在するお店の名前などが使用出来ないからなのか、架空の名前に変えたものと、実在する名前のものとの混在が、個人的には気持ち悪かった。
    今作でも、やはり犯人は早い段階で分かってしまったし。
    しかし、解説にもあるタイトルの付け方については、今作も的を得ているなぁ、と思う。
    警察小説でもあるが、ミステリ小説でもある今シリーズでは、もう少し犯人の動機を丁寧に描いて欲しいと思ってしまった。

  • シリーズ、第10弾。
    人気の如月塔子シリーズです。

    一等地、銀座のショーウィンドウに、まるで見せ物の様に吊るされた演出家の遺体。
    そして、現場から盗まれた精巧なマネキン。

    そして、続く第二の犯罪。
    劇場型犯罪を起こす容疑者とは、誰なのか?
    その行方と動機とは?

    如月塔子はじめ、殺人分析班の活躍が、見ものですね。

  • 麻見和史『奈落の偶像 警視庁殺人分析班』講談社文庫。

    シリーズ第9弾。このシリーズは陰惨な殺人事件の捜査を通じて主人公の如月塔子が刑事として成長していく過程を描く物語である。今回も前作に続いて、なかなか面白かった。

    銀座のブティックのショーウインドウに吊るされた演出家の死体。死体の代わりに現場から盗まれた1体のリアルなマネキン。まるで江戸川乱歩の探偵小説に描かれる猟奇殺人事件のようだなと思いながら読んでいたら、作中にも同じような記述があり、麻見和史の術中にはまっていたことを知る。

    一人称で描かれる犯人の描写により、犯人が女性であることは前半から解っているのだが、猟奇殺人の目的に加え、二人の男性を拉致誘拐する理由がなかなか見えてこない。それを地道な捜査と見事な推理力により解き明かすのが、主人公の如月塔子たちなのだが……

    本体価格760円
    ★★★★

  • 観客型犯罪か…今回はとうとうJRを停める鷹野・如月バディ。ここまで「できること何でもやってみろ」な上司や先輩たちってファンタジーだな警察組織では、と思いました。勝算ありそうだから乗ってくれるんだろうけど。
    犯罪者の内面を知りたい、と決意してた如月さんだけど、今回の相手には如月さんのこれまでの経験じゃ足りてなかった気がしました。まだまだこれから。
    ショーウィンドウに遺体が吊るされてる、って「多重人格探偵サイコ」でもやってた人いたなと思いましたが、あれは殺した人をディスプレイしてたのでちょっと違うか。サンタの格好させてたし。。。
    3人中2人は間に合って良かった。この2人もひき逃げと強迫で罪には問われるだろうけど、ビル解体工事業者の皆さんは何も悪くないのに人殺してしまうところだったから。

    河上さんどうしたんだろう。なんか変。
    尾留川さん演劇やってたから伊達男なのかな〜納得しました。

  • 今回はわりとはやく犯人を推理できました!
    ヒントありがとうございます(笑)

    このシリーズは、経緯もあらすじも終盤にぜんぶネタばらしという感じですが、それにしても『もう少し描写があった方がいいのでは…』という人物が、いつも2,3人はいるように感じます。
    そして今回の犯人自供のシーンでは、塔子がなんやかや言えることは無かったのでは、と思わずにはいられませんでした。
    父のあとを追って警察官を目指し、母親も応援している中で捜査一課という花形部署で、さらにエース鷹野主任に丁重に指導を受けながら刑事やってる塔子には(もちろん本人は本人で一生懸命なのも伝わってますが)、
    女優を目指していたところに武器でもある顔を中心に傷つけられ、母親からも収入を責められ、仕方なく派遣を仕事を始めたものの、やっぱり演技がしたくて専門学校に入り直し、『(事故後の整形後の)その顔では主演は無理』など色々な揶揄を受けながらも、バイプレーヤーとして確かに登り詰めようとしている時、再び現れた、かつて事故を隠蔽した元彼演劇人黒田に騙され、脅され、継続的に金を無心され、どれだけ追い詰められたか。
    それを塔子が女優生命と引き換えにしてまで、、と思ったり、思うのは自由だけれど劇場になぞらえて俳優失格であると言い切れる立場にはないのでは、と思ってしまいました。すべての人の苦労を背負うのは無理と思うので、刑事の仕事っちゃあ仕事なのでしょうが。。
    犯罪の理由を知りたいといつも言っているけれど、それを本当の意味で塔子が理解できるのは、人生経験が足りないと言わざるを得ないのかなあ。。。と、そこだけモヤモヤでした。
    素直に『私にはそれほどの熱意を向けられるものを失ったことも、そして再び得ようと死ぬほど努力したこともまだないけれど、それでも、この犯罪はそうまでして得た女優生命を終わらせてまでしたかったことなのですか?』とかいう感じなら、まだ塔子…!いい!って思えたかもです(笑)

  • 最初の遺体発見現場のシーンは画を想像するとなかなかのインパクトで、殺人分析班シリーズらしい猟奇的な現場で、つかみはOKな感じ。

    ただ、その後の流れはこのシリーズとしては普通という印象。犯人が予想の範疇だったことや、共犯者は意外だったけど驚くような人物では無かったことも、モチベーションが今一つ上り切らなかった要因でしょうか。

    個人的には(本作に限ったことではありませんが)主要登場人物と特に関わりのある事件ではなかったことが、満足しきれなかった大きな原因と思ってます。もうシリーズ9作目なので、そろそろ鷹野の過去の掘り下げをしてほしかったです。

  • 2020/11/27 87読了

  • 繁華街のショーウインドウに見せ物のように吊るされた演出家の遺体。現場からは精巧なマネキン一体が盗まれていた。被害者の消化器からイヤホンの片側が見つかり、その近くで発見されたICレコーダーには第二の被害者のものらしき苦悶の声が。おぞましい劇場型犯罪の行方と動機は。殺人分析班が推理で挑む!

  • 銀座にあるブティック店。
    ショーウィンドウに首吊り死体が飾られていた。
    足がつくギリギリの所で吊るされ、次第に力尽き首が締まるというもの。
    そんな現場で盗まれたのは一つ。本物の人間みたいなマネキンだった。
    そのマネキンが一体どんな物なのか。盗まれた理由はなんだったのか。最後まで読み進めると結局の所そこに行き着く。
    銀座を舞台に起こる殺人事件と誘拐事件。銀座もまた今巻の事件で重要かもしれない。

  • 警視庁捜査一課十一係シリーズ第9弾。
    ショーウィンドウに首吊り死体。
    これは外から見えてたのかな?店員が中から開けたら発見。
    見せ物にしてやる!みたいな感じだったから多分外から見えてたんだろうけど、写真とかも撮られてたし。
    そんな店員さんが来るまで他の人に見つからないのだろうか?
    見つかってたらもっと大騒ぎだよなーとちょっと疑問。

    今回は実際に殺された人が少なかったのは幸い。
    犯行動機が悲しい。
    女性を、下に見るのもいい加減にしろって、犯人がブチギレるのも
    正直仕方ない気もしてしまう。黒田さんクソすぎる。笑
    ひどい事した上に、怪我までさせて
    女優生命を絶った元カノにもう1回会う気がしれない。
    そして、薬物?おどし?相当やばい奴だよなー。

    イヤホンを片方飲み込んだ、ダイイングメッセージの解釈は
    鷹野さんの推理で、合ってたのかな?
    え、それでいいの?ってちょっと思っちゃった。笑

    何はともあれ、全体的には面白かった。

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著者プロフィール

1965年千葉県生まれ。2006年『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。『石の繭』から始まる「警視庁殺人分析班」シリーズで人気を集める。その他著書に「警視庁文書捜査官」シリーズ、「特捜7」シリーズ、「重犯罪取材班・早乙女綾香」シリーズ、『深紅の断片 警防課救命チーム』『共犯レクイエム 公安外事五課』『骸の鍵』『擬態の殻 刑事・一條聡士』などがある。

「2023年 『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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