レイトショー(上) (講談社文庫)

  • 講談社
3.94
  • (10)
  • (26)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 138
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065169513

作品紹介・あらすじ

主人公レネイ・バラードは、ハワイ出身(ポリネシアとコーカソイドの混血)の三十代のロス市警女性刑事、独身、ボクサー犬ミックスの大型雌犬をコンパニオン・アニマルにしているなど、従来のコナリー作品には登場してこなかったキャラクター。ただし、警察官としての有能さと使命感は、ボッシュ刑事と共通している。
 レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリヴァスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、”深夜番組(レイトショー)"と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • マイクル・コナリーの新ヒロイン、女性刑事レネイ・バラード登場作。
    期待が持てます。

    レネイは、ハワイ出身の30代、独身。
    ボクサー犬ミックスの大型犬ローラがコンパニオン・アニマル。
    サーファーの父と各地を回りながら育ったため、今もよく海に行き、浜辺で眠ったりもする自由さがある。
    この健康さとギャップがあるのが、今の立場。

    ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課にいたのだが、2年前、上司のオリヴァスにセクハラされ、訴え出た。ところが、見ていた同僚が裏付ける証言をしなかったため、ハリウッド分署に飛ばされる羽目に。
    しかも、レイトショーと呼ばれる深夜勤務に回され、夜間に事件が起きると駆け付けるが、捜査は日勤の刑事の担当となり、初動で何をしようが功績もすべて日勤に行ってしまう。
    それでも仕事に情熱を燃やすレネイは、いつかは復活することを願いつつ、今の仕事にも手は抜かない。

    現代最高のハードボイルドと称されるハリー・ボッシュのシリーズを長年書き続けているマイクル・コナリーは、女性を描くのも上手な方だと思われるが、主人公に持ってきたことはかってない。
    ボッシュが60代も後半と高齢になってきたため、若い現役刑事と組むことも考えての新キャラクターという印象があります。
    現代の警察捜査のやり方を具体的に書いている作品ですね。

  • マイクル・コナリー『レイトショー(上)』講談社文庫。

    レイトショーと呼ばれる夜勤の初動捜査を専門に行うハワイ出身のロス市警女性熱血刑事のレネイ・バラードを主人公にした警察小説。

    マイクル・コナリーが描く新しいヒロインということだが、ハリー・ボッシュ・シリーズと変わらぬ闇夜の匂いがする。なかなか良いじゃないか。バラードの趣味がサーフィンというのも面白い。

    とある夜、トランスジェンダーへの悲惨極まりない暴行事件とナイトクラブでの銃撃大量殺人事件とが立て続けに事件が起こる。バラードは相棒のジョン・ジェンキンスと共に現場に駆け付け、仲間内の妨害を省みずに地道な捜査を続ける……

    本体価格880円
    ★★★★★

    • take9296さん
      ようやく読み始めました。
      ようやく読み始めました。
      2020/02/20
  • ボッシュとは違う女性の主人公ってことで興味を持った。
    感想は下巻で

  • 夜勤担当刑事。
    どうしたってリューインの「夜勤刑事」思い出します。

    夜勤明けにパドルボードをしてビーチで寝るなんて、さすがロスの夜勤刑事。

  • レネイ・バラード。ボッシュシリーズの新しい登場人物です。

    今回はレネイの初登場なので、ボッシュは出てきませんが、これからシリーズが進むしたかって、ボッシュとの辛みに期待です。

    上巻は、物語の立ち上がり。下巻で、どう事件を解決していくかも期待です。

  • レビューは下巻にて。

  •  楽しみにしていたコナリーのニュー・ヒロイン、レネイ・バラード初登場作品。コナリーのメイン・シリーズを背負う我らがヒーロー、ハリー・ボッシュがかつて在籍したハリウッド署、しかもそのナイトシフトの刑事たち(タイトルの通りレイトショーと呼ばれている)を舞台に展開する独特の警察小説ワールド。

     コナリー作品の特色を余さず継続している。バラードの勤務先として描かれる警察署内の凌ぎ合い・暗闘・友情など従来のコナリーの描写にプラスして女性ヒロインならではのセクハラという材料などもじっくりと取り入れている。

     さらにヒロインであるバラードを、彼女自身につかず離れずの視点で密着して描いている。新刑事ヒロインの公私の生活。人となり。これまでの人生。関わる人々の個性。素晴らしく濃密に描かれている。

     ハワイはマウイ島出身。父をサーフィンの事故で失い、母とは幼児の頃から音信不通。西海岸の祖母に引き取られ、彷徨の末に新聞社に入社。様々な事件に魅せられ、ついに警察官となる。そんな生い立ちのバラード・シリーズに初物ならではの興味を否応なく引き立てられる。そしてコナリー・ブランドならではの素晴らしい。

     レイトショー勤務では、殺人事件のみならず、様々な犯罪に立ち会わねばならない。一晩に起こるいくつもの難事件。朝が来るとそれを日勤の担当刑事たちに引き渡さねばならない。夜勤刑事はハリウッド署では二人。交代勤務ではなく、ずっと。

     ボッシュ・シリーズ以上に事件の種類が増えるため複数事件が同時多発的に勃発する。それらのすべての事件や謎に決着をつけねばらないので、読者もけっこう忙しい。モジュラー型ミステリーと言ってもよいかもしれない。

     しかも事件は昼間の捜査課に持っていかれる。でもバラードは捜査を続けたい、事件を自分のものとして追い続ける。当然ながら警察内での軋轢。疎外。夜勤の相棒は家庭内事情にてあまりやる気はなし。ゆえにソロでの捜査が続く。

     女性独自の危険が描かれる。女性ならではの私生活も。パドルボードの趣味。海辺でのテント生活。そこそこの愛人。そして何よりも事件の中でこだわる人間と人間の問題。基本的にはボッシュと同じ世界でありながら、あまりの変数の多さに驚かされるまずまずのシリーズスタート。

     コナリーの小説世界には、やはり外れはない。優れた完成度の高さにレネイ・バラードという女刑事のシリーズスタートと、この魅力的なヒロイン像を創り出してくれた大好きなこの作家に改めて喝采を送りたい。

  • 感想は下巻で。

  • ロス市警女性刑事レネイ・バラードはハワイ出身、三十代独身。上司とぶつかりハリウッド分署深夜勤担当刑事に。レイトショーは警察内隠語深夜勤を指す。初動捜査はできても本格的捜査は昼勤の刑事に委ねなければならないという制約のある中、使命を果たそうと苦闘する。新シリーズにしてニュースターが誕生!

    マイクル・コナリーの翻訳作品は、これで30作目になるのだとか。「バッドラック・ムーン」と「チェイシング・リリー」の二作はあいにく未読なので、私にとっては28作目となる。相変わらず、快調なペースで読ませます。

  • ボッシュに匹敵! ハリウッド分署深夜勤務・女性刑事新シリーズ始動。事件は夜起きる。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マイクル・コナリーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×