みかん、好き?

著者 :
  • 講談社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170595

作品紹介・あらすじ

「みかん、好き?」
 突然、女の子が言った。
「え?」
「私は大好きなのじゃ。食べすぎて、冬になると全身が黄色くなるくらい」
 ほら、と袖をまくった。
「最初は手のひらや足の裏が黄色くなるけど、そのうち手の甲や足の甲も黄色くなって、さらに食べ続けたら、顔もお腹も黄色くなるのじゃ。といっても、今は春だからだいぶ薄くなったけど。冬はもっと黄色かったのじゃ」
 何を言ってるんだろう。拓海はあとずさった。中学生か高校生に見える。でも見かけたことのない顔だ。
「そうじゃ」と、女の子が思い出したように手をたたいた。
「ここって、西村実さんのみかん園かどうか知ってる?」
「え、じいちゃんを知っとるん?」
「孫なの?」
 女の子がぱっと笑顔になった。
「よかった。やっぱりここが西村実さんのみかん園なのじゃ」
 そう言うと、斜めにぶら下げたバッグから、定期券入れのようなケースを取り出した。
――本文より

西村拓海の目の前に突然あらわれた、少し変わった話し方をする女の子・長谷川ひなた。拓海の祖父がつくるみかんに感動して東京からはるばるやってきたという。困惑する拓海をよそに、ひなたと祖父はどんどん仲良くなり、いつのまにやら一緒にみかんを育てることに……。彼女に振り回されながら、みかん作りを通して少しずつ成長していく、甘酸っぱい青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • ・みかんを食べながら読もう。
    ・ボーイ・ミーツ・ガール。第一声が「みかん、好き?」
    ・虫嫌いで農作業には向かない高校生である拓海はみかん大好き女子高生のひなたと出会いなりゆきで祖父のみかん畑の手伝いをすることになった。
    ・シンプルで、普通に心地よいお話。新年最初の読書には良い。
    ・みかんを育てることで三人の高校生がそれぞれ少しだけ成長していく。また、絆ができていく。
    ・高校生というより、なんとなく中学生という印象の三人。
    ・みかん色のスピンがついている本。

    ▼西村みかん園についての簡単なメモ

    【柴】拓海と同じ高校の総合科生徒。不良っぽいが、祖母思いの気のいいヤツ。とあるできごとでひなたともめる。けっこうみかん愛がある。どうやら亡くなった祖父がみかんをつくっていてよく手伝わされたらしい。ひなたいわく「意外なみかん名人」。彼女をつくるなら甘えさせてくれる系がいいそうで、三つ年上の女性にすると決めているらしい。
    【島】舞台は瀬戸内海に浮かぶどこかの島。拓海の父の出身地で帰りたがっていた。過疎化は進んでいるがまだ小中学校は複数あり高校もある。それなりに大きい島のようだ。小豆島あたり?
    【拓海】西村拓海。高校生だが中学生程度にひねくれている。虫が苦手、特にクモが苦手。母は介護施設で、父はホテルで働いている。その父の故郷が舞台となっている島で、拓海は仕方なくついてきてはいるがそれほど島が好きではないようだ。祖父は西村みかん園を営んでいる。徘徊していると思われるお婆さんに親切にしてあげることができる優しい性格ではある。
    【西村拓海】→拓海
    【西村実】拓海の祖父。西村みかん園を営んでいる。
    【長谷川ひなた】→ひなた
    【ひなた】長谷川ひなた。みかん大好き少女。拓海と同じ高校の特進科の生徒。西村みかん園のみかんに惹かれて東京からわざわざこの学校に進学した。ヘンな方言っぽい言葉を使う。美少女らしい。

  • 一番印象的だったのは、「拓海は小さくうなずいた。とたん、さっき我慢したはずの涙が落ちそうになる。」で終わったところ。「なった。」ではなく「なる。」。まだ話が続きそうな余韻を感じた。でも普通に「なった。」でもいいような。

    全体的な話の内容は、魚住さんらしく、分かりやすい設定と展開で読みやすかった。図書館ではティーン向けになっていたが、大人でも十分楽しんで読める。私自身が複雑な文章が苦手なだけかもしれないが。私はこの作者が好きだ。

    読後感もよい。甘酸っぱいみかんが食べたくなった。

  •  父親の故郷の島に越してきた拓海は、島内の高校に進学したが、諸々納得していない。
     ある日、拓海のじいちゃんの作るみかんが好きという理由だけで、東京から島の高校に入学したというひなたに出会った。彼女は使いなれない方言を話す変わった子で、じいちゃんのみかん畑を手伝いたいと言った。じいちゃんに頼まれて拓海も嫌々だが、一緒に手伝うことになって・・・。
     

     みかんのような爽やかな物語。

  • 私は大好き!
    おじいちゃんがみかん農園している男の子と
    みかんが大好きで東京から島にやってきた女の子のお話。
    みかんについて詳しくなるし食べたくなる〜!

  • すきです!

  • 文字数は多くないので、わりとあっさり読める。みかんを題材にした温かい話で、寝る前とかに読むのがおすすめ。

  • 20210516読了
    #島

  • 字が大きくて、サーっと読めちゃいました。面白かったです

  • みかんが好きに!
    みかん農家も高齢化、縮小させられていることも・・・
    青空産業の未来はないのかな〜
    そんな児童書でした。

  • みかんは甘いものもあれば、
    少し酸味の効いた甘酸っぱいものもある

    そんなみかんのような甘酸っぱい青春物語

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著者プロフィール

1966年生まれ。広島大学教育学部心理学科卒業。『非・バランス』で第36回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。『Two Trains』で第57回小学館児童出版文化賞、『園芸少年』で第50回日本児童文学者協会賞を受賞。作品に『いいたいことがあります!』『超・ハーモニー』『クマのあたりまえ』『だいじょうぶくん』などがある。

「2022年 『考えたことなかった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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