コウノドリ(28) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
4.30
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本棚登録 : 303
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065172865

作品紹介・あらすじ

【医療安全管理】ある日、ペルソナに入院してきた小野田という妊婦が、退院直後に亡くなってしまう。納得がいかない夫は、医療ミスがあったに違いないと考え、ペルソナを訴えることを決意した。

感想・レビュー・書評

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  • テレビドラマ化もされた人気シリーズの第28巻。
    モーニング本誌での連載は2020年5月で終了しました。コミックスもこのレビューを書いている時点で31巻まで既刊で、最終32巻は来月9月に発売予定だったのが、10月になるようです。

    「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。
    これまでも多くのキャラクターが成長の末、自らの未来を拓くべくペルソナを去って行きましたが、第22巻でとうとう四宮先生までが実家の病院に帰ってしまいました。爾来、自分は四宮ロスに悩まされています。 一方で、去って行ったキャラクターの後継者は小粒なキャラばかりで、全体的にパワーダウンが続いている感は拭えません…。

    この巻には、「医療安全管理 後編」、「医師と助産師」が掲載されています。

    以下、各エピソードに一言ずつ。

    「医療安全管理 後編」
    切迫早産での入院を終え、自宅に帰った小野田マホさん。てんかん合併妊娠というリスクはあるものの、大きな問題は無いはずでしたが、退院からわずか2日後、原因不明のまま亡くなってしまいます。

    あまりに突然な死を受け入れられないご主人シンイチさんは、誰を恨んだらいいのかを「他人に決めてもらってはどうだ?」という友人の言葉をきっかけに、医療訴訟に強いという弁護士の事務所を訪れるのでした。

    一癖も二癖もありそうな弁護士、仲川カナンが初登場。ここ数巻で新登場したキャラクター達のなかで一番キャラが立っているように見えます。
    途中までは勝てる見込みがないのにシンイチさんを煽って報酬を巻き上げる「変な弁護士」に見えましたが、母の突然死という過去を背負い、「過失なしと判断したということは…誰に診てもらっていても 奥様は救えなかったと確認できたということではないでしょうか」「ここからは…奥様が望んでおられるのはご主人が前向きに進んでほしいということではないでしょうか…」「私は弁護士としてミスのない病院を訴えることはできません」と正論でシンイチさんをたしなめることができる人でした。

    でも結局シンイチさんを救ったのは、そんな正論ではなく病室のベッドが隣同士だった岡田さんから聞いたマホさんの言葉、「お店が一番好きな場所だから」でした。これを聞いてこれまで泣くことができなかったシンイチさんが初めて号泣することができました。

    …泣くことって大事ですよね。ほんの一言でこんなにあっさりと辛い事実を受け入れられるかどうかはともかく、他人の目に見える形で辛さを表に出すのは大事だと思います。自分には、涙を流して自分がどれだけしんどかったのかを初めて自覚したことがあります。必要なときにポロポロ涙を流して泣けるよう、練習したほうがいいのかもしれません。

    そしてもう一人、現状を受け入れられないのがサクラ先生です。何一つミスが無いことはご自身が一番分かっているんでしょうけれど、それでも小野田さん一家を救うことができず、信頼関係が瓦解してしまったことで自らを責め続け、とうとうお産から離れたいと口に出してしまいます。
    結果として訴訟にはなりませんでしたが、サクラ先生の気持ちはそんなことでは救われず、結局、同じ思いを同じ立場で共有できる四宮先生の力を借りてようやく気持ちを整理することができたのでした。
    いみじくも27巻冒頭で「やりがいなんて一瞬で吹き飛ぶ」なんて語られていたように、医療訴訟の多い、すなわち信頼関係が壊れやすい産科で医師を続けることはなまじっかなことではないでしょう。
    そして、今回は院長の謎な情報網で上京をキャッチできましたが、毎度毎度何かあるたびに四宮先生を頼るわけにはいかないでしょうし、やっぱりその不在はペルソナに巨大な影を落としています。

    本筋とはちょっと離れますが、弁護士の仲川カナンと協力医が会って話をするのがカラオケボックスだというエピソードがひっかかりました。
    医師にとって、医療訴訟の協力医として弁護士と会って話をするのは、知り合いに万に一つも見られたくないことだ、ということの象徴なのでしょうか…?

    そして、せっかくの新キャラ、医療安全管理者の磯野エイキチさんは大して見せ場がないままフェイドアウトです。

    「医師と助産師」
    医師と助産師で議論ができるのがいい産科だよね、ってお話。

    妊婦さんに断酒や禁煙について指導をしたいゴロー先生と、妊婦さんの事情を聴き、気持ちに寄り添いたいサオリさんが対立し、サクラ先生が医師と助産師がよく話をするのはいいことだけど、でも患者さんの目の前ではやめておこうねって指導する話です。

    この「妊婦さんを厳しく指導する」ポジションってゴロー先生じゃなくて四宮先生の役だし、そもそも以前の巻で四宮vs小松で同じことやってるし…。

  • 泣けましたのでこの巻も備忘録

    弁護士先生
    女性かと思ったら男性だった。悪徳かと思ったら
    とても良い弁護士だった。
    やるせない依頼者に寄り添って


    サクラ先生がピアノを弾けなくなった時は辛かった。人間だもんなと思った。
    医院長が、医師のことをちゃんと見ていて、なんて
    いい病院なんだ。こんな病院近くに欲しい
    四宮先生が来たらテンション上がった。ずっと重かったから、救われた。

    みんなみんな命と向き合っている。
    辛くても
    怖くても生きようとする赤ちゃんに励まされて

    お母さんも赤ちゃんも救いたいと
    サクラ先生が改めて思えたらいいな


    私は電子で読んでますが、置く場所あれば全巻紙で欲しい

    ドラマは未視聴でした

  • 毎度泣いてしまう。

  • たまたま立ち直れたから良かった、良い弁護士さんに出会えたから良かった。
    マンガだから、上手くいかないと話が続かないけど、自分が鴻鳥先生だったら?自分が小野田さんだったら?と思うと辛い、辛すぎる…

    増税前に気づいて26巻27巻28巻一気読みしました。買えて良かった!でも受けとめるには重すぎた…(><)

  • 退院後死亡の件で夫がしつこく病院通い。解剖せずにわかるわけ無いだろうに。弁護士を雇い裁判所が証拠保全にやってくる。鴻鳥はかなりショックを受け、ベイビーとしてピアノの演奏ができないほど落ち込む。
    結局弁護士の協力医は医療過誤を見つけられず、弁護士は訴えるとしても自分は力を貸せないと伝える。更にヒートアップする夫だが、入院中に亡き妻と話をした人の話を聞き憑物がおちたかのように花屋再開。

    妊婦のアルコール摂取とゴローとさおりちゃんの言い合い。

  • 2019年9月20日発売。

    TRACK77 医療安全管理<後編>
    TRACK78 医師と助産師

  • 【推薦者】
    体育学部 健康学科教員 三瓶 舞紀子 

    【学生へのメッセージ】
    COVID-19流行下では、「10代の妊娠」「望まない妊娠」「貧困」の問題がよりクローズアップされました。産婦人科医&謎のピアニストでもある主人公が、様々な妊婦のお産に向き合います。この漫画に登場する様々な生命から、子どもたちを育てる社会の責任とは何か、全ての学生と特に教員を目指す学生にお薦めします。

    ▼配架・貸出状況
    https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00539355

  • シノリンが登場して、お話そのものはヘビーなんだけでテンションが上がりました。まさか院長と仲良しだとは。自分への供養じゃないけど・・・気が済むまでやりたい気持ちは良く分かります。悪徳弁護士じゃなくて良かった。赤西先生とサオリさんの話がとても良かったです。「くせに」は良くないけど、確かに言い合える関係は貴重だと思う。間もなく完結するようで・・・ちょこちょこ追いかけていきたいです。

  • 何とかおさまって、よかった。

  • よかったー。ほんと好き

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著者プロフィール

1973年、山梨県生まれ。大学卒業後、ロックミュージシャンを目指したが、突然、漫画家の道へ。2007年『東京フォークマン/都会の月』が第52回ちばてつや賞準入選。2010年『えびチャーハン』が第57回ちばてつや賞入選。その後、週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)で、短期連載を行った『コウノドリ』が人気となり、2013年より週刊での連載がスタートした。2015年10月には綾野剛主演の連続ドラマとして放送。2017年10月に第2弾となる連続ドラマが放送された。2020年5月、『モーニング』での連載最終回を迎え、10月23日発売の単行本32巻が最終巻となる。単行本は、累計(電子版含む)800万部の大ヒットとなった。

「2020年 『コウノドリ はじめての妊娠・出産ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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