カエルの小指 a murder of crows

著者 :
  • 講談社
3.72
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本棚登録 : 1447
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065173435

作品紹介・あらすじ

「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで
彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間――まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが……。

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    カラスの親指の続編ということでしたが、そっちが図書館で借りられなかったので、前作を読まずに読みました。これは前作にでてくるのかな?と考えさせられるシーンがあったので、前作を読んでからの方がいいかもしれないです。

    愉快な仲間たちの痛快仕返しドラマかと思いきや、笑いの要素は少なくて、もっと暗い感じでした。メインの仲間たちが明るいキャラなので、楽しい物語のように感じますが、内容的にはかなり悲しいです。

    登場人物たちの感情が絡みあってる感じがして、なかなかに謎深きお話でした。また、騙し、騙されが多くて、なかなかに理解が難しい部分も多くあった気がします。想像していた展開と違った感じに進んでいくので、「そっちか」といったつっこみが出てしまう感じです。

    キョウという人物の本心が最後まで分からなくて、ほんとの想いもつかめなくて、心残りな感じです(難…)
    私の場合は、ハッピーエンド感が弱くて、モヤっとした感じ。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    いろいろな闇を抱えるキョウが、実演販売士の武沢の前に現れる。実演販売を武器にして、テレビ番組に出て賞金をとりたいという依頼を武沢にする。そこから、実演販売の練習が始まり、謎や感情が絡み合う物語が進んでいきます。
    笑いあり、涙ありという感じではなく、謎を解き明かしていく要素の方が強いです。

     
    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    武沢竹夫 実演販売士、元詐欺師(カラス)
    沙夜 竹夫娘、亡くなっている
    雪絵 竹夫妻、亡くなっている

    キョウ 中学生、女の子、叶
    寺田未知子 キョウの母
    木本幸司 キョウの父
    瀬谷ワタル 芸能人
    ナガミネマサト

    チーム
    まひろ やひろの妹、31歳
    やひろ テツの母、38歳
    貫太郎 テツの父、デブ
    テツ 鉄平、小6、優秀
    チョンマゲ 猫

  • カラスの親指の続編。
    楽しい、あっという間に読み終わりました。

    前作ではすっかり騙されたので、本作も騙されるんだろうなと思いながら読み進めてたので、前作ほどの騙された感はありませんでした。もっと素直に読めば良かった。


  • 『カラスの親指』の続編。
    登場人物たちがみんなあれから10歳年をとっていて、やひろと貫太郎の間に子どももいたりして、懐かしいなぁと思ったり、いい大人になっちゃったなぁと思ったり。
    みんな詐欺からは足を洗って真っ当な仕事をしていたのだけれど、武沢が15年前に助けた女性の娘が現れ、詐欺にあった話を聞き、その母娘のために10年振りに大ペテンをしかけようとするお話。
    いつものメンバーが前作同様、本当にいいヤツばっかりでほっこりさせられて、やっていることは詐欺なので悪いことのはずなのに、勧善懲悪のヒーローものを読んでいるかのような気にさえなってくる。
    面白おかしくお話は進んでいくけれど、みんなそれぞれ哀しい過去があるので、お互いに対する優しい気持ちや、いい匙加減での距離の取り方などが読んでいて胸に沁みます。
    「人間、どこからきたのかではなく、どこへ行くのかが大事」
    どんな過去があっても明るく楽しく、そして仲良く生きている彼らにまた何年後かに会いたいです。
    やひろと貫太郎の息子がいい味を出しているので、また続編が出るのではないかなぁと期待しています。

  • やっぱりやられた。最後の最後までどんでん返し。伏線とか、自分なりの推理とかそんなものを吹き飛ばされながら怒涛のように読みきらされてしまった。家族とか、子どもとか、親子の絆が随所に盛り込まれるので、ここにどうしても感情移入してしまう。そこから先はジェットコースターのように展開し、心をがっちり掴まれながら、気づいたら結末を迎えていた。さすがは道尾作品。ダイナミックな読書ができた。
    登場人物たちはなにかしら、家族の喪失体験があり、家族を求めている。疑似家族のような繋がりも築いている。彼らの織り成すドラマは、どこかいつも切ないのだ。そして大切な家族を思い浮かべながら読後も余韻が残るのだ。
    読後感のよさとか、あたたかさはそうしたところから来るのだと思う。
    古新聞が積み重なるように、淡々と毎日が過ぎていくという比喩は見事だ。
    休日、強い西日が差し込む、空っぽのアパートの情景。竹沢が一人当てもなく町に散歩に行ってしまう描写。言葉にできない切なさが伝わってくる。

  • 「カラスの親指」から10年、ちゃんと親指を踏まえて今回の小指が展開するのです。
    詐欺師の足を洗って実演販売士の道を倹しく歩んでいる武沢竹夫だが、実演中にチャチャを入れてきた中学生との出逢いが彼を もう一度だけペテンの道を歩く決意に至らしめる!
    実はシリアスな背景、事実、事情がどんどん明らかになって行くのだが、面白おかしくテンポもよくてページを捲る手が止まらないほど(笑)
    そして見事に心地よく私たちは作者のペテンに引っかかるのでした。

  • 前作『カラスの親指』から、たったの1ヶ月半強しか経っていないが、またも自分の記憶力の無さに悲しくなる。
    今回は間に35冊挟まっている。

    後の自分自身の為に、必要とあらば非公開メモにネタバレ等を残しているが、そうはいっても登場人物全員の名前だとか内容を細かくとか残せるわけがないので、結局思い出せない事柄が多くなってしまう。

    他の作家さんでも、続編にあたる作品を今現在図書館の順番待ち数ヶ月というものがアレコレとある。
    あれも全部、続編が回って来た時にこうなるのだろうなぁ。

    本作においては、『カラスの親指』で最重要人物であって本作には出てこられないあの人の名前を、ひらがなで記録しておくべきだった。
    本作でアナグラムで使われたって、元の名前を忘れちゃったからわからない。

    本作は、どんでん返し・どんでん返し・どんでん返し…がちょっと多過ぎた感がある。
    しかも最後の方にドドドドッと詰め込み過ぎかな。

  • 大好きな『カラスの親指』の続編ということで楽しみにしていて、やっと読むことができた。

     さて、詐欺師を引退して真っ当に仕事(実演販売士)をしながら暮らしている竹沢の元になんとなく見覚えのある少女が弟子入りさせてくれと現れる。
     実演販売を覚え、『発掘!天才キッズ』という番組に出演し、優勝して賞金を獲得するという。その金で母を騙し自殺に追い込んだ男を探すというのだが・・・。

     色んなところに仕掛けがあり、注意しながら読むもやはり騙されてしまった。また、希望の持てるラストで読後感も良かった。

     ただ、前作の方が面白かったかな。今後もシリーズ化して、前作を上回る素晴らしい作品を期待したい。

  • 道尾作品は 初めてです。
    読みやすいですね。

    状況説明が くどくなく
    すっきり 読めます。

    騙し 騙される。

    ところどころ 勘違いが 意外な展開へ。

    最後に 大きな勘違いが。

    最後まで 推理しながら 読めました。

    その他の作品も 読んでみたくなりました。

  • 『カラスの親指』その後。まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結。実演販売士・武沢。仕事をしていると、ある中学生(キョウ)を見かけるようになり、ついにはキョウよりある依頼を受けることになる。まずはキョウの母を騙した男を探す。ふたたび詐欺師として動くことにした武沢とその仲間たち。
    所々のユーモア、そして、騙し合い、最後まで気を抜かず読めました。うまい! 面白い! うまく作ったなあ。
    テツってすごいあな、賢い、小学生なのに、いやキョウも中学生なのにね。若者活躍。いや、楽しめる一冊でした。

    • ひとしさん
      ブレさんこんばんは!
      なんとお呼びしたら良いでしょう??
      とりあえず今は勝手にブレさんと呼ばせてもらっていいですか?

      この作品、今...
      ブレさんこんばんは!
      なんとお呼びしたら良いでしょう??
      とりあえず今は勝手にブレさんと呼ばせてもらっていいですか?

      この作品、今日読み終えたんですけど、都賀和の事務所に忍び込んで防犯カメラに接着剤を塗ってたと思うんですけど、接着剤を塗ってる期間がそれなりにあったと思うんですね。その間に都賀和に映像を見られることはなかったのかな?とちょっと疑問に思ってしまいましたσ(^_^;)
      ブレさんはいかが思いましたか??

      前回コメントいただいた方にも書かせていただきましたが、私もブレさんのレビューはとても参考にさせてもらってます♫
      2020/01/28
  • 実演販売士としてまっとうに暮らしていた、元詐欺師の武沢竹夫。
    しかし、ふたたび派手なペテンをしかけることを決意する。

    『カラスの親指』の続編。

    おもしろかった!

    謎めいた中学生・キョウのかかえる問題と、武沢との奇妙な縁。
    ふたりの奇妙な同居から、ちぐはぐでおもしろく、引きこまれる。

    ユーモラスな中にも、キョウの思いなど、ぐっとくる場面が。

    大がかりなペテンには、はらはらしながら一気読み。

    幾重にも重ねられたしかけが明かされるラストは、驚きがあってたのしかった。
    ささやかな引っかかりも、きちんと伏線として回収されていて、うまい。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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