定年消滅時代をどう生きるか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065181959

作品紹介・あらすじ

【好業績で人手不足なのに、なぜ大手企業は早期退職を募っているのか?】

【転職「35歳限界説」が過去の俗説と化した理由とは?】

【1000人に1人の希少性を持つ裏技的方法!】

【絶対に廃れない基本的な能力って何?】

【頭を「使う人」と「使わない人」の経済格差とは?】 

・・・・・

2020年 日本型雇用改革元年
     ↓ ↓ ↓
2020年代 通年採用拡大&70歳が定年に
     ↓ ↓ ↓
2030年代 中途採用5割超え&75歳が定年に
     ↓ ↓ ↓
終身雇用・年功序列が完全崩壊!

・・・・・

「トヨタが変われば日本が変わる」
「3年でひとつのプロを目指す」
「定年を撤廃する大手企業」
「年金の受給開始年齢は75歳に!?」
「人材獲得競争の勝敗を決めるもの」
「転勤の廃止で就職希望者が10倍に」
「世界でも突出して学び直しをしない日本人」
「少なすぎるAI人材とAI教員」
「ハイブリッド人材が求められる理由」
「ビルゲイツが設けている「考える週」」

・・・・・

すべての日本人の人生にとって、深く関りがある本を書きました。

2020年は日本の雇用が大変革を遂げる年になるからです。

AIなどのデジタル技術の普及に伴って、若手にとっても、
中堅にとっても、ベテランにとっても、高齢者にとっても、
無縁ではいられない雇用の流動化が起ころうとしているのです。

これからの日本では、大学を卒業後に就職して70~75歳まで働くことになるので、
個人の会社員生活は50年前後と、今の定年より10~15年程度も長くなります。

現在24年にまで縮まってきている企業の平均寿命が将来的に20年を切るようになったら、
会社員生活は企業寿命の2.5倍を超える長さになってしまうというわけです。

平均的な働き方をする日本人であれば、
計算のうえでは人生で3つの仕事や会社を経験しなければなりません。

そこで充実感のある人生を歩み続けるためには、どうすればいいのか――。

本書がみなさんにとって、明るく前向きに生きるための一助としていただけたら幸いです。

・・・・・
【本書のおもな内容】

第1章 日本から「定年」が消滅する
第2章 大きく変わる企業の採用
第3章 トヨタ「採用の半数が中途」の衝撃
第4章 人材育成の仕組みを再構築する
第5章 これからを生きるための最大の武器

感想・レビュー・書評

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  • 日本における過去、現在、未来の様相を整理しつつ、それが現在の企業にどう顕在化して問題が起きているかがまとまっています。
    その上で、私たちが必要とされるスキルや生き方のヒントを与えてくれます。

  • 第二の人生の指南書ではなく、社会問題への提言のような内容です。中原さんらしいです。

  • 50代からの人生設計を考える方
    中高年の社員をマネジメントしている方
    行動のヒントになります

    ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1261041

  • 880

    中原 圭介
    1970年、茨城県生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融 のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。近著に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』 (講談社現代新書)などがある。ヤフーで「経済の視点から日本の将来を考える」、マネー現代(現代ビジネス)で「経済ニュースの正しい読み方」を好評連載中。


    しかしながら、これからどれだけ技術革新が推し進められようとも、絶対に廃れない基本的な能力があります。それは、考える力=思考力(読解力・論理力・直感力・感性 などを包括する能力)です。考える力が強い人は、いつの時代にどこで働こうとも、常に求められる貴重な人材になるからです。言い換えれば、考える力が強い人は「基本的なスキルが高い人」と言えるでしょう。 大学の学部や専攻、あるいは個人が持つ専門性に関わりなく、考える力が強い人であれば、これから社会がどのように変わろうとも恐いものはありません。AIやロボ ットとの競争に総合的に負けることはないので、世界中の企業・団体から引く手あまたの存在になるでしょう。また、どのようなスキルや専門性を身に付けるにしても、 考える力はその土台となる基本的な能力でもあるので、その能力が廃れることは絶対にないというわけです。

    考える力=思考力を鍛える方法は、ひとつしかありません。日頃から何でも自分の頭で考えるようにすることです。それでは効率が悪いという批判があるかもしれませんが、とにかく自分の頭のなかで腑に落ちるまで考えることが重要な訓練になるので す。そのような訓練を1年続けることができれば、きっと自分の頭のなかで何かが変 わっているという感覚を持つようになると思います。3年間続けることができれば、 自分の頭のなかで思考の枠組みが以前と変わっていることをはっきりと自覚できるよ うになると思います。

    宮坂会長も私の考えに賛意を示してくれたものの、状況的には難しいというニュアンスの話をされていました。宮坂会長自身も登山が趣味であり、自然との触れ合いが感性を豊かにすることを認識しているため、社員には新幹線手当を支給するなどして地方に住むことをすすめていたということです。私はヤフーが成長すると同時に社会に貢献できる企業になるためには、都心の千代田区(紀尾井町)に6500人の社員を抱えるのではなく、都心から電車あるいは新幹線で1〜2時間で行ける地方に本社を構えることが最善の選択肢だと今でも考えています。

    これまで再三指摘しているように、私は電車内の光景を見るたびに、日本人として強い危機感を抱いています。それは、この光景が日本人にとって絶対的な読書量が不足していることを象徴しているに他ならないからです。 考える力=思考力がすぐれている人は、たいていの場合、その読書量が平均的な人と比べて圧倒的に多いという事実があります。アメリカは日本より社会にITが広く 行き渡っているのに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学などの卒業生の考える力が強いのは、日本の大学生から見れば尋常でないほど在学時に本を読んでいるうえに、卒業後も人生にとって読書がいかに大事かを理解していることに起因しています。

    「読書の量に比例して、その人の知識力や考える力が決まる」 「読書の範囲に比例して、その人の視野の広さや思考の幅が決まる」 これらの定義づけに異論を差し挟む方はあまりいないでしょう。読書の量が多けれ ば多いほど、知識力は豊かになり、考える力は深まります。読書のジャンルが広けれ ば広いほど、多角的な物事の見方ができるようになり、文系と理系の両方の考え方もできるようになります。要するに、考える力を構成する重要な要素である「読解力」や「論理力」を鍛えるには、読書がもっとも手っ取り早い方法であるというわけです。

    考える力=思考力が強い人の特徴というのは、ごく自然に読書が習慣になっているということです。実質的には「読書すること」は「考えること」と同じ行いになるの で、考える力が強い人は考えることが習慣になっている人と断言しても差し支えない でしょう。逆説的な言い方をすれば、日頃から読書を通して考える習慣を身に付けな ければ、考える力がすぐれた貴重な人材になることはできないと言い切っても過言で はありません。

    マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は世界有数の大富豪として有名です が、彼は就寝前の1時間を読書の時間にして、その時間帯だけで年間50冊以上の本を 読むということです。そのうえ彼は、1年に数回の頻度で「考える週」と名付けた休暇をとって、食事と睡眠をとる時間以外は、すべて読書と考えることに時間を使って いるというのです。彼の独特な行動は、いかに読書や考えることが人生にとって大事 かを教えてくれているような気がします。

    私がここでいちばん言いたいのは、とにもかくにも、幅広いジャンルの本をできるだけたくさん読んでほしいということです。人文科学系の本であれば哲学、歴史学、 宗教学、心理学、文化人類学など、社会科学系の本であれば法学、政治学、経済学、 経営学、社会学など、自然科学系の本であれば物理学、化学、生物学、数学、統計学など、さらにはビジネスに関するノンフィクションなど、可能な限り幅広いジャンルの本を読んだほうが好ましいでしょう。

    読書をする時に注意するべきは、その本に書かれている知識を覚えるというよりは、その本の知識を体系的に理解すると同時に、「なぜそうなるのか」を自分の頭でしっかりと考えて腹落ちするまで理解を深めるということです。知識を暗記しようという意識を捨て去り、考えるための基礎トレーニングの場として捉える必要があるのです。知識を体系的に理解できれば、覚えようという意識がなくとも紐づけられた知識が記憶に残りやすくなりますし、十分に納得できるまで考えることで、タフな考える力が鍛えられるようになるわけです。

    もちろん、私が言う「経験」とは単なる経験ではなくて、「いかに考える経験をしてきたか」「経験したあとでいかに考えてきたか」ということです。このように考えると、経験知の領域が広い「直感」のほうが「ひらめき」よりもすぐれていると考えるのが自然でしょう。 これも先述した池谷教授の講演会で聞いた例なのですが、眼力の鋭い骨董品店の主人が持ち込まれた壺を鑑定する時は、その壺を見た瞬間に「これは本物だ」「これは 偽物だ」といったふうに見分けると同時に、本物である場合は「どれくらいの芸術的価値があるのか」も見分けることができるといいます。やはり、瞬間的にそういうことができるのは、長い年月をかけて真摯に鑑定を行ってきた成果として「直感」が磨かれているからだと思うのです。

    これも先述した池谷教授の講演会で聞いた例なのですが、眼力の鋭い骨董品店の主人が持ち込まれた壺を鑑定する時は、その壺を見た瞬間に「これは本物だ」「これは偽物だ」といったふうに見分けると同時に、本物である場合は「どれくらいの芸術的価値があるのか」も見分けることができるといいます。やはり、瞬間的にそういうことができるのは、長い年月をかけて真摯に鑑定を行ってきた成果として「直感」が磨かれているからだと思うのです。 もっと身近な例では、テストの答案で迷いがある時には、初めに書いた答えのほうが正しい確率が高いということがあります。

    しかしながら私は、若いうちから考える癖をつけて経験知を積み増すことによって、30代や40代であっても、直感がいかんなく発揮できる脳をつくりあげることができると確信しています。そして、経験知を積み増すのに手っ取り早い方法が、本章で申し上げた「本を読む→考える」「試行錯誤する→考える」といった思考の繰り返しであるというわけです。

  • 現実を再認識させられた。
    ただ、それ以上の目新しいことはない、
    という感じデスね。
    困ったな…という感想にしかならない。

  • ・会社の平均寿命と働く期間を比較すれば、人は2.5社ほどの会社で働くこととなる
    ・定年というゴールを設定してしまうと、働くことが途端に義務のようになってしまう。日々学び、挑戦を続ける姿勢を持つことが、働きがい、生きがいにつながる
    ・本を読む、考えるというクセ、習慣をつけること

  • 少子高齢化やデジタル化、国際化の流れから、
    新卒一括採用や終身雇用などの日本独自の制度が消えていき、仕事は「メンバーシップ型」→「ジョブ型」へ変わっていく、というもの。
    自分の会社も今まさにこの流れの真っ只中。
    抵抗感があったが、本を読んで時代の要請なんだと少し受け入れることができた。

    そんな時代を生きていく処方箋として筆者があげているのは、
    ▽仕事を好きになること
    ▽専門性を身につけること
    ▽スマホは少し断って読書をすること
    この辺りは納得です。

    ただ全体的に重複感はあった。

  • 日本から定年が消滅する。他国に比べて平均寿命が高いのに、年金受給は他国よりも早いため、それだけ国の負担になっている。さらには働く世代も減少傾向にあるため、どう考えても高齢者に働いてもらう+年金受給年の引き上げがないと日本は潰れてしまう。
    では高齢者が働く場を得るためには、自身が希少な存在でないといけない。それはなにもトップレベルの知識や技術を持てということではなく、複数のスキルを保持することで掛け算方式で希少な存在になり得るのである。
    また、今後若年層もスキルがないと仕事がないということが十二分に考えられるため、思考力が極めて重要になってくる。しかしそれはITの進化の代償に失われているとされる。それをつけるのに手っ取り早いのが読書であり、さまざまなジャンルを読むことで思考の視点を増やすことができる。ITが進化していくこの時代で直感を育むためにも本を読め。

  • 真面な本で有る。

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著者プロフィール

1970年生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関、地方公共団体等への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に務めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。実質賃金、実質成長率など、名目数値よりも実体経済に近い数値推移で市場を把握する。著書に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』(講談社現代新書)など。

「2021年 『マンガでわかる その後の日本の国難 稼ぐ力の高め方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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