- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065183489
作品紹介・あらすじ
1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。
感想・レビュー・書評
-
1540年頃、中国地方で最大の勢力を誇った大名は大内家であった。この大内家は山陰方面から台頭して来ていた尼子家との抗争を展開しつつも、北部九州や四国への影響力拡大を図っていたようだ。四国、殊に大内家の本拠地である周防国の対岸に相当する伊予国や芸予諸島の島々での影響力拡大に力が注がれ、伊予国の勢力との抗争が繰り返された。
本作の物語はそういう中で展開している。
大内家は、中国地方の勢力による水軍を中心に大軍を編成し、芸予諸島の水軍を中心とする伊予国側の勢力を駆逐しようとしている。その伊予国側で戦う水軍の中心となっていた、或いは全軍を率いる旗印として担がれていたのが大三島の大山祇神社の神官たる大祝(おおほうり)家だった。
伊予国側の勢力は、大軍を差し向ける大内家側に苦戦を強いられている。そういう中、兄が討死してしまった中で「自分が!」と立ち上がった女性が居た。大祝家の娘で、巫女でもある鶴姫だ。
この鶴姫が本作のヒロインである。
鶴姫は“陣代”と呼ばれる水軍を主力とする全軍の指揮官に就任し、大内勢の撃退を目指す先頭に立つとした。この軍勢に策を授けることとなる若き軍師が越智安成という青年武将だ。
この越智安成には、何か「複雑な事情」というようなモノが在る。それが終始示唆されているのだが、鶴姫と越智安成とは互いに惹かれ合うようになって行く…
鶴姫と越智安成との恋の行方と、伊予国側と大内家との戦いの行方ということで物語が展開して行く…
「半ば伝承のような…」という存在感の人物がヒロインで、劇的な展開の本作…なかなかに愉しい!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恋は全てを越える!?
身分や過去、周囲の思惑、欲望など、様々なものを越えてうまくいきそうなんだけど……。やっぱりうまくいかない。悲恋、一言でそう言い切ることができないくらい、哀しい小説。
鶴姫の心情を考えると、本当に入水して、海の中で安成と一緒になったんだろうね。 -
映画にしたら、良いかも
-
大三島の大山祇神社の美貌の姫巫女であり海戦の先陣を切る鶴姫と若き軍師との戦国乱世の世での悲恋物語。
-
この春に大山祇神社を訪ねたばかりだったので、地理的にも人物的にも「ああ、あれね」という思いで、とても読みやすかった。だから、鶴姫伝説は知っていたが、このような形で再構成されると面白さは倍増する。歴史をなぞっているわけではないことは承知であるが、こうであったのかもしれないという展開が、さらに興味をそそる。
#空貝 #NetGalleyJP