- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065184073
作品紹介・あらすじ
彼は、命を懸けても「普通の女の子になりたい」と願った――。
同級生の真壁君への恋心に気づいた小学四年生のころ。
クラスのいじめの対象となった中学一年生のころ
告白されて女の子と付き合うことになった高校一年のころ。
女装をして出かけていることを父に知られた高校三年のころ。
そして……。
「女の子になりたい」と願うたびにぶつかる苦悩を繊細に丁寧につづり、
かすかな希望を見つけて生き抜いた、「ある人生」を
圧倒的共感度で描きだす傑作長編。
『罪の声』の著者による感動の青春小説。
感想・レビュー・書評
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好きな作家の塩田さんの作品。
なんで、関西弁のボケ&ツッコミは健在!
今回のテーマは、
性同一性障害
めっちゃ重そう…
今でこそ、市民権を得て来ている感じはするけど、やはり肩身の狭い思いで生きんとあかんねんな。
確かに、カラダとココロが反対なんやからしんどいんやろうな…
主人公は、カラダは、男性で、ココロは、女性。小さい頃から、気付いてるけど隠して生きる。
そのうち隠しきれなくなるにしても…
でも、周りが良い人多くて良かった〜
肉親にしても
幼馴染にしても
好きだった彼にしても
想いは遂げれなかったかもしれんけど、分かってはくれてるし。
最後に、分かった真実に…涙(T . T)
ずっと守られていたんやな…
辛さが分かってただけに、直接には違う態度にはなってだけど…
一度は、そういうショー(ドラッグクイーンというんかな?)に行ってみたいな!
トークも面白いみたいやし。ナジャさんを連想。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私だって「存在のすべてを」を読みたい。
だけど、図書館予約数からして、これも文庫化待ち。塩田さん読んで待ちます、1作目。
幼児期に既に自分の身体と心の不一致に気がつき始めた少年。
小学4年生の春、同級生の男の子への初恋から始まる、恋愛対象も男性。
女の子になりたい気持ちを 友人や家族に隠しながら学生生活を送る。
高校の時、父親に咎められ家出。そこから、夜の世界へ飛び込み、女子になることを望みながら生きていく。
最近は性同一性障害を描いた作品も多いが、少年が成長する過程で 転換手術の技術の向上や、戸籍変更も含む法整備の進展等の時代の変化を含めている。一人の少年が女性となっていく大河小説風。
当事者側から丁重に書かれているなと思いました。
少年は女性となり、叶わぬ初恋にもけじめをつけて、次のステップに踏み出していけそうです。-
塩田さん、人気ですね。。。
そんなに順番待ちあるんですね。
私も読みたくて、読みたくて、図書館派ではない私は、書店を行ったり来たりし...塩田さん、人気ですね。。。
そんなに順番待ちあるんですね。
私も読みたくて、読みたくて、図書館派ではない私は、書店を行ったり来たりして悩んで悩んで、購入しませんでした(-。-;
単行本高いんだもん(-。-;
塩田さん読みたくなりました。
ブックオフにでも売ってないかなぁ。。。
2024/02/28 -
2024/02/28
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そうなんです。待つしかないんです。
それでも400番くらいですが、予約する気にはなれなくて。
今までの作品は、すぐ読めそうなので、読んで待と...そうなんです。待つしかないんです。
それでも400番くらいですが、予約する気にはなれなくて。
今までの作品は、すぐ読めそうなので、読んで待とうと。
これは、良かったですよ。
最後の父親のエピソードは余分かなと思いましたけど、丁寧に書いている感じが好きです。
ビマキさん、単行本は高いのと重いのとで敬遠しがちです。私とみんみんは、絶対図書館に入らない怪しい本を買わないとならないのです。d( ̄  ̄)2024/02/28
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ー 桜は、始まりの花。
蘭の人生は、ある意味この小説の感極まるエンディングから始まる。
女の子にどうしてもなりたい男の子、性同一性障害の翔太郎が蘭になるまでの物語。
僕は身体的にも性自認も完全に男で、ヘテロセクシャルなので、正直蘭に感情移入することがなかなか難しかった。特に序盤は気持ちが盛り上がらずスイスイと読み進む。
でも、蘭が人生に対して素直で健気で、弱っちくみえて実は強く生きていて、その姿にジワジワと心を動かされた。
姉や茜やチーコママやローヤルたちが優しくて素敵だなぁと。何よりも初恋の相手、真壁君が偏見なく自然に蘭に接していたことがとてもかっこいいなと。ほんの少しでも、ほんの一瞬でも、理解をしてくれる人がいるってことは心強い。
生きていくことの切なさと素晴らしさを教えてくれる小説でした。
惜しむらくは、蘭と父との関係性において、もやっとしたものが残ってしまったこと。よって評価3点。 -
塩田武士さんの作品は今回が初読み。
医学用語でいうところの性同一性障害を扱っており「体は男性だけれど心が女性」の翔太郎の成長する過程を描いた物語。
小学校4年生で自分の性に対する違和感をはっきりと認識し始めてからの日々の苦悩や葛藤を、決して誰にも相談出来ず、悩み苦しむ様子が切なくて胸に迫って来た。
同級生の真壁くんに対する恋心、男友達と自分とのギャップや、中性的な外見からクラスで揶揄われいじめの対象にされる辛さが、自分の経験と照らし合わせても、翔太郎が性に対して抱えている悩みの分だけ、何倍にも繊細で脆く感じた。
家出して蘭子として生きていく過程で、様々な出会いを通じて成長していくのだが、この成長過程が悲しい程に痛々しい。世間の非難の目や、スタートラインにすら立てない恋愛、性を隠して社会で生きていく厳しさがひしひしと伝わってきて苦しくて泣けてしまった。
そんな中でも救いはあるー
翔太郎の悩みに気付き理解してくれた姉の恵。
翔太郎の悩みを初めて受け入れてくれたヘルス嬢の茜。
蘭子に生きる道標を教えてくれたチーコママこと千里子。
辛い時いつもその存在に励まされた真壁くん。
地元の幼馴染である祥三に健二。
家出した後も決して我が子を見捨てなかった両親。
ー蘭子は決して独りぼっちではなかったのだと気づく。
そして24年後の春に明かされる優しくて甘美な秘密が、たまらなく愛おしい。鳥肌が立ち涙が溢れた。
いつも氷の仮面をして本心を隠し、ただずっと女の子になりたかった蘭子こと翔太郎。
24年後に明かされた秘密を足しても全然満たされない位、蘭子の人生は波乱に満ちているし、今後もそれは変わらないのだろうけど、それでも氷の仮面は人の温かさに触れて、溶けることは出来るのだと思う。
欲を言えば、もう少し家族…とくに父親と蘭子の親子関係や父親にとっての蘭子の存在を深掘りして描いて欲しかった。そこだけ消化不良だが、希望の光が見えるラストであったことが何よりの救いだった。
本作は、性の多様性に当事者目線で触れることが出来て、とても新鮮な作品だった。現実の世界にも、同じ様に悩んで生きている人はたくさんいるし、悩み苦しんで本当の姿をひた隠しにしている人も大勢いるだろう。法律が新設されたり、社会の仕組みが少し変わっても、人の考えが直ぐに変わる訳ではないのだから。
戸籍上の性は染色体による性の分化で決まる。
でも成長の過程で起こるホルモンの分泌によって、更にその性差割合が変化するのだから、性の多様性があって当然だろう。
完全な男性、完全な女性など存在しないのかもしれないと私は思っている。
本作を通じて、人との違いを受け入れて人を思いやることが出来る人間でありたいと改めて思った。
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「氷の仮面」塩田武士 著
0.著書より
「純白のウエディングドレスのように、
人間の心が一色に染まることはほとんどない。」
「女になるのが、わたしの人生の前半なら、
後半は人として何を残すのか?考えなああかんと思って」
1.購読動機
「罪の声」で惚れてしまったため。
※映画は視聴なし。文字と行間の世界です。
2.「氷の仮面」の装丁
性同一障害で悩む1人の青年が、成人して女性として生きるまでの物語です。
読み終えて「装丁」を眺めて。
ひとりの女性が太陽を向いてたっています。
こちらには、背中が見えているだけです。
私には、
「わたしは、わたしの全てを世界に対して見せる
ことよりも、太陽、明日に向かって、
わたしの足で立ち続けます。」
と力強く聴こえた気がしました。
3.「氷の仮面」の問い
巻末をみて、著者塩田さんの取材と参考文献がみてとれます。
性同一障害戸惑う主人公。そして、また、主人公の家族、特に父親も戸惑いながら生きています。
主人公の「男性ではなく、女性として生きる決断」の貫きが、周りに光を照らします。
小説として読むことで、性同一障害をニュースではなく、別の側面から知ることができたことは、僕には機会でした。
#読書好きな人と繋がりたい
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性同一性障害の方が抱える葛藤や、乗り越えなければならない現実的な問題が丁寧に描かれており、主人公の繊細で淡い恋心が可愛くて愛おしいと思った。
大多数の人が思う「普通」じゃなくても、「当たり前」じゃなくても、誰が誰を好きになってもいいと思う。
それは決して汚らわしいものなんかじゃないはずだ。
私達は、自分の常識を押しつけるのではなく、ただただ理解してあげるだけで良いのだ。
たとえ理解する事が難しくとも、苦しんでいる気持ちに寄り添い、想像してあげるだけなら出来るのではないか。
カミングアウトする、などと大それたものではなく、皆がありのままの姿で胸を張って生きていける世の中になってほしいと願う。 -
初めて読んだ塩田さんの本。何気なく書店で手に取りましたが出会えてよかったです。真壁くんが本当に、本当に最初から最後まで素敵な人だったし、主人公と一緒に何度も心を揺さぶられました。ラストシーンのタイトル回収で思わず私も涙が止まらなくなりました。本文にもあった「人を想うこと」の重みに私も気づかされました。あのラストを見た上でもう一度最初から読み直したい一冊です。
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翔太郎君はフワフワしたものやひらひらしたものが好きなきゃしゃで可愛い男の子。そんな気持ちをコントロールして隠しておくのがつらくなった時、苦悩が始まる。
理解してくれる人、理解しようとしてくれる人、そんな人たちに出会う時、身を守るために付けていた仮面はその氷を溶かし始めるのだろう。