捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065201459

作品紹介・あらすじ

利ザヤで稼げた伝統的銀行モデルは崩壊、新型コロナ禍が追い打ちをかけるいま、変わろうとしない地方銀行、信金信組に未来は開けない。すでに変革を進め、実を結びつつある、山形県、長野県、沖縄県、北海道などの実例を紹介する。地域を元気にする、中小企業を助ける以外に地方銀行員が生き残る道はなく、一方で、地銀再生の可能性がまだまだあることを、本書は教えてくれる。

バブル崩壊後の金融破綻で、銀行は企業のリスクから逃げ続けてきた。本来の銀行員は「消えた」のだ。
氷見野良三新金融庁長官は、金融機関に企業のリスクを分担することを強く求める方針を打ち出しつつある。コロナ危機にあえぐ中小優良企業を、リスクを分担して救うことこそ地域金融の役割であり、苦しむ地銀自らを救う唯一の道でもあるのだ。

本書は、徐々に固まっていく新金融庁の方針をスクープレポートする。そして、すでにこの方針を先取りするように動き出している地域金融マンの姿を日本中から紹介する。

面白いのは、これらの金融マンが「地域金融変革運動体」、略称「ヘンタイのカイ」という緩いネットワークで連携していることだ。ヘンタイのカイは、金融マンたちの「心理的安全性」が保たれたネットワークでもある。
遠藤俊英前金融庁長官時代に始まり氷見野良三新長官にも引き継がれる金融行政のキーワード「心理的安全性」(Psychological Safety)は、一見地味だが実は地方銀行はじめとする金融機関が大波を乗り越え、生き残るためには、「じぶんごと」として理解しておかなければならない考え方だ。

金融機関は、顧客(個人にも事業者にも)に対して「心理的安全性」を与えるビジネスをするべき存在だ。
金融機関は、そこで働く人にとっても「心理的安全性」を与える組織でなければならない。
金融庁は、金融機関に対して「心理的安全性」を顧客に与えているかどうかを重要な審査基準とする。

金融機関や元金融マンによる新しいかたちの企業支援が、いま地方でいくつも芽生えている。
その担い手は多くの場合「変人」だが、「心理的安全性」を確保して、常識を超えていく。そして彼らの多くはゆるやかなネットワークでつながっている……。新型コロナ禍以後、「地域の金融」はどう変わるのか、変わらざるを得ないのか。

累計30万部、『捨てられる銀行』シリーズの決定版。コロナ後の地域金融と地方再生に携わるすべての人のヒントとなる!

感想・レビュー・書評

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  • 金融に携わるものとして現状打破の学びを得ることができる本。
    知らないうちに自分と組織の殻に閉じこもっていたが、外の利害ないネットワーク、いわば部活のような形でま色んな業種の人と交わり、学ぶ機会を増やすことが大事と知らされた。ツイッターも始めて、著名人の発信を読むようにした。

    金融機関の癌は金融検査マニュアルということもわかったが、染み付いているのでなかなか離れない。しかし本分はお客さんのこと事業を理解して、そこに役立つ提案から資金需要を創出し、融資することだと理解した。
    そのためには、事業を自分が、よく学ぶこと、外部出向の機会、外部からの人材を取り入れるなど、お客さんの事業を正しくみる姿勢が実に大事とわかった。

    終章に地方創生カレッジの紹介がされていたのでそちらを覗いてみたいと思う。

  • 著者自身の思いが強すぎて、とうとう取材対象と一体化してる。こうなってくると、著者自身が何故そこまで地方金融、地方の企業再生に思い入れがあるのか書いて欲しいかも知れない。

  • 徹底的にパクると、逆の発想がイノベーションを生む
    心理的安全性を部下に与える
    KPIは時代遅れ、これからはOKRオブジェクティブズアンドキーリザルト(目標と主要結果の管理指標)
    信用金庫は地域事業者と交渉相手になってはならない、相談相手にならないといけない
    少年よ、大志を抱け、未来を変える行動に踏み出すべきだ
    銀行員をやっているだけでは、本当の意味で地域の役には立てない
    銀行が輝きを失っているのは、エリート意識という要塞に立て籠もり、外界の環境変化からひたすら身を守ろうとしているから

    銀行員必読。

  • 地域金融機関がいかに生き残るのか具体的な地域企業を支えてきた担い手が紹介されている。
    地銀は大企業はメガバンクに取られ、地域企業は従来から支えてきた信金・信組に取られている。生き残りの道は広域化してメガバンクやネット銀のようになるか、コミュニティ化して信金のようになるか。大手行以外はコミュニティ化するしかないと思うけど、それを実践する人の行動たるやまさにバンカーという感じ。
    これからのバンカー像を示していると思う。

  • 338.21||Ha||4

  • 新たな銀行員像、銀行のビジネスモデルの」創造、金融庁の指導方針、地銀の生き残り方法と革命的変革の実像

  • ・心理的安全性の確保(行政と金融機関、金融機関と取引事業者、組織の執行部と現場)。安心、安全、ポジティブ。
    ・金融機関は企業の困りごとを解決する存在でなければならない。
    ・企業支援の目線。企業が持つ技術を本気で理解すること。
    ・変革には変革の意思を持つ人々のネットワーク(危険地帯)が必要。
    ・行政の役割。中小企業支援に関する知見の集約・分散機能。現場で戦うためにすぐに役立つ具体的な知見の溜まり場が必要
    ・金融機関は事業者の良き相談相手にならなければならない。

    地域の現場レベルでの中小企業支援(主に金融関係者)の事例をネットワーク、心理的安全性という観点からまとめており、面白かったです!

  • 今回も地域金融機関の問題について鋭い視点で解説があり、とても面白い。仕事で関わりのあった沖縄の地銀2行が登場し、特に沖縄銀行の方には大変お世話になったので、感慨深い。また、沖縄銀行の方と仕事をさせて頂きたいものです。。

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著者プロフィール

はしもと たくのり
共同通信編集委員。1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局に勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年から2度目の金融庁担当。16年から資産運用業界も担当し、金融を中心に取材。『捨てられる銀行』シリーズ(講談社現代新書)は累計30万部を突破。本作はその第4弾となる。


「2020年 『捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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