- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065202852
感想・レビュー・書評
-
テーマもキャラクターもストーリーも、本当に興味深い。参考図書、読破中。世界が広がる〜!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
蝶に関する犯罪の話。毒キノコの話。すぐに読めるのはいいけど小粒かな。
-
突然死した警視庁テロ対策課の米谷に、バイオテロの疑いがかけられた。彼の友人・恵良が紐倉とともにその疑いを晴らすために真相を探る『プシュケーの翅』。
米谷が犯した「美しい罪」。鍵となるモルフォ蝶だけではなく、人間の持つ表と裏の顔をドラマにして問いかけるのがよかった。仕事と趣味、生き方の両面性について考えさせられる。また、サナギが羽化することも潤月の進路への悩みにも、恵良と米谷のラストシーンにもなぞらえてあって素敵だった。さらっとしてるけど、余韻が残る美しい終わり方だった。
山あいの村へフィールドワークに出た紐倉たちが見つけた死体。40年ぶりの村長選挙の対抗馬は、村にやってきた怪しげな医療法人・薬師療会の会長・幸田。この村を巡る事件へと紐倉たちが巻き込まれていく『デメテルの糸』。
アリタケの話が不気味だった。まさに限界集落となりつつある久地木村で根を張ろうとする薬師療会そのものだよね。アリの命を使い、胞子を使って仲間を増やしていくアリタケ。それは隕石による大量絶滅後、それを分解して新しい時代をもたらした菌類のような存在にもなり得たかもしれない。弱肉強食でやり方はあくどかったけどね。あれでも救われている人もいるし、久地木村もこのままではゆっくりと滅びる運命ではあるのかもしれない。こちらも考えさせられる終わり方。あれだけポジティブなことを繰り返し言っていた幸田が、最後に置いていった言葉も恐ろしかった。
「正しい死に場所がなかなか見つからないみたいだな…」
「現代医療に救われてない人間はたくさんいるんだよ」
この言葉たちは紐倉が自分自身にも投げかけているようで胸が痛くなった。少しずつ彼の過去にも光が当てられてきている。入谷との過去が今後どう描かれていくのか楽しみにしたい。