メルロ=ポンティ 可逆性 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065212608

作品紹介・あらすじ

本書は、現象学を前人未踏の域に導いたフランスの哲学者モーリス・メルロ=ポンティ(1908-61年)の生涯と主要著作をていねいにたどる至高の概説書です。『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)や『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)など、多くの支持を得てきた著者が、みずからの出発点にある哲学者と真摯に向き合い、全力で格闘した稀有なドキュメントがここにはあります。
フランス西部のロシュフォールで生まれたメルロ=ポンティは、高等師範学校でサルトルやボーヴォワールと知り合うい、そしてフッサールの現象学と出会いました。初めての著作が『行動の構造』(1942年)と題されたように、メルロ=ポンティは「生活世界」に注目した後期フッサールを引き継ぐとともに、その中心に身体をもつ人間を据えることで独自の道を歩み始めます。その最大の成果が主著『知覚の現象学』(1945年)です。
戦後はリヨン大学で教鞭を執ったあと、1949年にはソルボンヌの教授、そして1952年には異例の若さでコレージュ・ド・フランスの教授となったメルロ=ポンティは、サルトルとの共同編集で『レ・タン・モデルヌ(現代)』誌を発刊し、『ヒューマニズムとテロル』(1947年)などでマルクス主義に関する考察を続けることで現実と向き合いました。さらにサルトルの実存主義、ソシュールの言語学を取り入れたメルロ=ポンティは、1960年代にはさらなる高みに到達し、『シーニュ』(1960年)を発表しましたが、翌年、惜しまれながら急逝します。残された遺稿は『見えるものと見えないもの』(1964年)や『世界の散文』(1969年)として公刊されました。
これら燦然と輝く著作の数々を激動する時代の中で繰り広げられた生涯に位置づけつつ精緻に考察していく本書は、まさに著者の「主著」と呼ぶべきものです。このたび学術文庫版として新たな装いをまとうことで、永遠の生命を得ることでしょう。

[本書の内容]
まえがき
プロローグ 現象学の地平へ
第一章 構 造――〈行動〉の研究
第二章 運 動――〈身体〉の現象学
第三章 スティル――〈変換〉の現象学
第四章 偏 差――〈隔たり〉の現象学
第五章 可逆性――〈肉〉の存在論
エピローグ 現象学の臨界点
主要著作ダイジェスト
キーワード解説
読書案内
あとがき
学術文庫版あとがき
メルロ=ポンティ略年譜

感想・レビュー・書評

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  • 前期〜後期までメルロ=ポンティ思想を網羅的に解説している。
    ソシュール言語学が分かっていないと読みづらいかもしれないが、前期〜中期思想に関しては非常にわかりやすくまとまっている気がする。
    後期の〈肉〉の思想は難解で、一読しても理解できなかった。
    前期中期後期という区分けの中で、さらに重要なキーワードについて個別に論じられているので、難解ではあれど論旨は追いやすい。

  • 前提知識が多分に必要で難しいです。ただメルロ=ポンティの思想に対して網羅性があり、熟知した解説が覗けましたし、面白いとも思いました。
    近代から勉強し直してまた読み返しますが、その期待値と自分に対する可能値として星5です。

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著者プロフィール

鷲田清一(わしだ・きよかず) 1949年生まれ。哲学者。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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