国語入試問題必勝法 新装版 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065213667

作品紹介・あらすじ

ピントが外れている文章こそ正解! 問題を読まないでも答はわかる!? 国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。国語教育と受験技術に対する鋭い諷刺を優しい心で包み、知的な爆笑を引き起こすアイデアにあふれたとてつもない小説集。吉川英治文学新人賞受賞作。
【パスティーシュ小説の嚆矢!丸谷才一氏激賞!講談社文庫創刊50周年新装版】
清水義範の作品もまた、からかひ、批評し、祝祭する。入試問題出題者に対する慢罵と嘲笑は痛烈を極めて恐しいほどだ。いい加減きはまる入試問題に翻弄され、責めさいなまれてゐる少年少女に対する憐みを感じ取って、胸を打たれた。殊に結末がよく出来てゐる。人々が清水のパロディをあんなに喜んで読むのは、一つには、この暖かな心が嬉しいからであらう。――丸谷才一(中略・解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 学生の時に塾の先生に面白いとすすめられて読んだ本。
    それまで本は真面目なものだと思っていたけど、こんなに自由で面白い発想の本もあるんだ!といまだに心に残る本。

  • 「国語入試問題必勝法」
    タイトルに騙された気分w
    兄がまさしく主人公と同タイプの、国語だけ苦手な人間だったので、受験の時これ知ってたら有難がったかもな~と思いながら読んでた。
    だってやたら説得力あるんだよなあ、この解法。是非試してみたくなっちゃう。笑

    「靄の中の終章」
    収録作品中、いちばん印象に残った。
    認知症の方の思考・心境って、まさしくこんな感じなんじゃないだろうか!?Σ(゚艸゚;)
    人間としての尊厳が揺らぐ時って、きっとこんな風にうろたえるものなんだろうな…。
    やたらハッキリ思い出すのが昔のこと、それも愛する奥様のことや自分をイジメた相手のこと~っていうのも、なかなかリアルだった。

    「人間の風景」
    いやー、笑った笑った。ヾ(^∀^〃)
    素人がリレー小説を書いたら、こんなに盛大に事故るのかとw
    小説を書けるって、本当に凄いことなんだなと改めて思い知ったよ。

  • 面白いなと思った話と、個人的にしっくりこなかった話の差があったように感じました。

  •  「これはもう、どう考えたってかなり多くの書店で、受験参考書のコーナーに置かれるであろうことが目に見えています。その結果、多くの受験生が間違って買ってしまうであろうことは大いに予想されるところであり、まずそのことをお詫び申しあげます。」(pp.270-1)とあとがきに書いてある。ので、これは受験参考書ではなく、ちょっと変わった短編集。
     著者はパロディをすることで超有名な作家だそうだが、おれは初めて読んだ。まず最初の「猿蟹合戦とは何か」で、その旧仮名遣いに面喰らう。内容は面白く、表記故の読みにくさとは裏腹にスイスイ読んでしまった。元ネタが分からない。調べてみると司馬遼太郎?そう言えば高校の時、東京に出てきて、行きたい大学の直前講習みたいなものに、本当に入試の直前に参加して、英語の添削をしてもらったら、そこの先生が「〜とはいはなひ」(言わない)とかやたらこんな表記をしていて、この人何からこういう影響を受けているんだろうか、と思ったけど、この先生も司馬遼太郎の影響なのだろうか、とか思った。そして猿蟹合戦の話は小説ではないと思うけど、本のタイトルにもなっている次の「国語入試問題必勝法」は小説。まあ面白いけど、この手法を使おうなんて、おれが高校生でも思わないとは思うけど。「霧の中の終章」、なんか星新一みたいな不思議な感じ?でも一番面白かったのは、「ブガロンチョのルノワール風マルケロ酒煮」という、小説じゃなくてただのレシピの紹介。途中までは、なんだレシピか、と思うけど、途中から強烈な違和感を覚えて、あ、となるという、なんかやられてしまった感があって、おれはこれが実は一番好きかな。「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」は、長嶋茂雄や他の野球解説者を知っていればもっと面白いだろうに、とおれの無知が悔やまれる作品。でもあんまり知らないのに、笑えた。「人間の風景」も笑えたし。
     ということで、なんかこれまでこれだけ本を読んできたけど、いかに自分が小説を読んでいないのか、ここでこんな新しいタイプのものを経験する、ということが新鮮だった。それにしても著者は本当に頭が良い人なのだなあと思った。もっとこの著者の本、読んでみたい。推理小説がたくさんあるらしいので、探してみようかなと思った。(23/05)

  • 阿津川辰海さんの「入れ子細工の夜」が面白かったので、元ネタだというこちらの本を。
    なんと旧版は43刷ロングセラー。知りませんでした。
    ただ、これから読むなら絶対に新装版を。

    表題作はもちろん、新装版で収録された「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」も笑ってしまう作品なのだ。
    長嶋茂雄と村山実が、教師だったら政治評論家だったら−と、コメントしそうなことを想像で書いている。

    さらに、4人の(若めの)老人が作るリレー小説「人間の風景」も抱腹絶倒。

    他の方の感想にもあるとおり、パスティーシュなので、それぞれ全く違った短編で、どれも読んだ次の作品のほうが面白く感じたのだから、最初から最後まで贅沢な読書だった。

  • パロディの名手。

    作家として好きか嫌いか、それだけだと思います。

    私は好きです。

  • 表題は吉川英治文学新人賞。笑いばかりではなく、「時代食堂の特別料理」とか琴線に響くものもあり、売れ続けている理由もわかる。「いわゆるひとつの‥長嶋節」は初収録。

  • 2024.02.22〜02.27

    「人間の風景」、最高!

  • 国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。笑える問題小説集。

  • 「文体模写=パスティーシュ文学を確立する」とある。しかし、古来から本歌取りは日本文学の伝統。そして先立つ小林信彦の「発語訓練」(1983年)のほうが文体模写の嚆矢と思う。唐獅子シリーズの「唐獅子源氏物語」(s57年)は源氏物語の文体模写である。
    清水氏の「いわゆる・・長嶋節」などは語り口模写として秀逸、「国語入試・・」も出題者心理を抑えている。
    清水義範氏にはパスティーシュ完成者としてそれなりの世界があり評価するが、パスティーシュ世界で小林信彦の存在も忘れてはならないと思う。

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著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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