- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065218754
作品紹介・あらすじ
越前の名門、朝倉家。五代当主・景孝のころ、軍奉行を務める朝倉宗滴は生涯初めての敗北を喫する。能登深くに攻め入るも味方の裏切りに遭い、総崩れとなった。その撤退戦の中で宗滴は15歳の若者と出会う。のちの山崎吉家だ。吉家は敗戦の惨劇を目の当たりにして心が壊れ、言葉を失っていた。責任を感じた宗滴は吉家を手元に置き、親子のように接する。その後、仏門修行を経て周りの民とも打ち解け、吉家はついに言葉を取り戻す。だが、吉家24歳のとき、思わぬ災難が降りかかる。実父・祖桂が謀反を企てて露見し、打ち首となったのだ。宗滴は所領半分と引き換えに吉家を救う。時が経ち、朝倉家当主は父・孝景の後を継いだ義景の代になる。軍事は宗滴に、政務は従兄の朝倉景鏡に委ねられた。宗滴は加賀に攻め入り、一揆勢を次々に討ち果たしていった。だがついに陣中に倒れ、後事を吉家に託した。また、育成していた吉家以外の四将にも加賀侵攻の継続を指示したうえで病没する。命の恩人であり父親代わりであった宗滴の遺命に従い、吉家は朝倉家を守ることを固く誓う。が、のちに将軍となる足利義秋の保護、織田信長の畿内進出、宗滴門下・五将内の対立、そして当主・義景の気紛れと、時代の波に翻弄された名門朝倉家の土台は根底から揺らぎ始めていた。そこで吉家が打った秘策とは!
感想・レビュー・書評
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先々月、山形の天童に行った際に将棋記念館で将棋の歴史を知り、中将棋に出てくる酔象を知った直後、本作に出会ったので非常に興奮した状況で物語に入った。『麒麟がくる』でも少ししか出てこないが魅力的だった山崎吉家が主人公とあって非常に期待は高かった。
感想は小説としての完成度が高いのは分かるがあまり楽しめなかった、没頭できなかった。原因は2つ。
1つは小説の全体の軸がブレブレに感じられたところ。初めの方、ページが進まなかった理由は戦国時代を舞台としていながらも日常の場面が多く、静かに物語が進んでいったからだった。これは『大友二階崩れ』でも同じ作者の小説の特徴であり、そこにあまり文句はない。ただ後半、景鏡の陰謀や最後の決戦シーンなど「動」のシーンに移っていく。また、語り手も前波や堀江、魚住といった脇役視点で描かれていたものが義景、景鏡、最後には吉家まで描かれていく。この流れに感情が追いつけなかったこと、せめて吉家の視点は省いてほしかった。
もう1つは陰湿で胸糞悪い場面のオンパレードだった点だと思う。ここまで人間のリアルを出せるのはある意味の才能だが、もう一度読み返したくはない。前波吉継というキャラは非常に人間らしく、感情移入しやすいため、却って共感性嫌悪が増殖する。
山崎吉家という人物は非常に小説向きな人物だと思う。能力が高く、負けの経験もない。忠誠心が強く、皆から好かれている。一つ歴史のピースが違えば天下に名が轟いていたかもしれない。次は吉家目線での「悔しさ」を全面に出した小説を読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
傾き始めた名門朝倉家を、織田勢から一人で守ろうとした忠将がいた。泣ける歴史小説。
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朝倉氏遺跡に行かねば!