「国境なき医師団」を見に行く (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065219416

作品紹介・あらすじ

生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの島で、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた、「世界の今」と「人間の希望」とは?


生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの難民キャンプで、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた「世界の今」と「人間の希望」とは?

感想・レビュー・書評

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  • 夢中で読んだのに時間がかかりました。
    胸が苦しくなって読み続けれなかった。
    「俺は彼らで、彼らは俺だった」
    「たまたま彼らだった私」など
    たまたま立ち位置が違うだけで、私であったかもしれないこと
    読み始めたころ、2021.8ハイチ地震が起きた
    ハイチ 2010年の地震による復興半ば

    私は、国境なき医師団は医師・看護師・医療関係者の組織と思っていました。
    愛する母国を、紛争などで離れ、精神的なケアが必要なこと。殆どの場所で心理ケアが行われている。そして、性教育や女性のケアが欠かせない

    そこには、根深い問題を解決に導くために政府と交渉したり、水資源のために尽力している人がいたりしました。治療だけではなく、その後もその土地の人々が自身で出来るようにサポートするようです

    まだ他人事なのかもしれない。苦しいと感じる私は
    でも、困難な状況をよくしよう!と希望を持ち揺るがない信念で働くその方々に、敬意と憧れが強くなりました。
    学びたいことが増えました。私もなにかできるなら

  • いとうせいこう(1961年~)氏は、早大法学部卒、ラッパー、タレント、小説家、作詞家等として幅広く活動するマルチ・クリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞(1999年)、『想像ラジオ』で野間文芸新人賞(2013年)を受賞。近畿大学国際人文科学研究所客員教授。
    著者は、2016年から、「国境なき医師団」の取材をライフワークの一つとしており、これまで、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの現地取材を記した『「国境なき医師団」を見に行く』(2017年出版、2020年文庫化)、「国境なき医師団」の組織と日本人のメンバーへのインタビュー、及び前著の4ヶ国に南スーダンを加えた現地ルポをコンパクトにまとめた『「国境なき医師団」になろう!』(2019年出版)、パレスチナとヨルダンの現地取材を記した『ガザ、西岸地区、アンマン「国境なき医師団」を見に行く』(2021年出版)の3冊を出している。
    私は従前より、国際紛争や内戦、難民問題、貧困問題等に強い関心を持っており、これまで、(フォト)ジャーナリストや専門家が書いた多数の本を読んできた。著者の本も、2冊目の『~なろう!』を既に読んでいるが、本書は偶々新古書店で目にして購入した。
    本書の初出は、取材の度に「Yahoo!ニュース」に掲載(不定期)されたもので、その内容は、『~なろう!』の約半分を割いた現地ルポと少なからず重複する。
    個人的には、現場の状況や問題の深刻さに比して、著者の取材時のスタンス・言動、及び本書における表現のノリの軽さが少々引っ掛かるのだが、こうした問題を、「Yahoo!ニュース」のような媒体を使って、普段あまり関心を持たない層に読んでもらうためには、それなりに有効なのかも知れない。
    そのような中で、最も気に留まったのは、ギリシャで、中東から逃れてきた難民のためのキャンプを取材した件に出て来た、「たまたま彼らだった私」と「たまたま私だった彼ら」という言葉である。これは、今は、平和な先進国(日本を含む)に生まれた私と、紛争の絶えない国に生まれた彼らではあるのだが、これは正に「たまたま」なのであり、それが逆であってもおかしくなかったということである。そうした想像力を持てることこそが重要なのであり、持ちさえすれば、その瞬間に、我々の考え方も行動の仕方も変わらざるを得ないということだ。
    世界の紛争地域・貧困地域で(主に医療に関わる視点から)どのようなことが起こっているのかを、まずは知りたいという向きにはお奨めの一冊かも知れない。
    (2024年1月了)

  • それなりの給料で、特に誰かに猛烈に感謝されることもなく、かと言ってミスをしても誰かが死ぬわけでもない。ボーナスが入るとちょっといいレストランに行ったり旅行に行ったり、豪華ではないけど不自由のない暮らし。…でも、ほんとに今のこの暮らしが10代のわたしが思い描いていた未来だろうか?

    大袈裟かも知れないけど、自分の存在意義を問い直す良い機会を貰ったように思う。

  • 329.36/イ

  • 2023/7/29購入

  • 大地震後のハイチ、ギリシャ難民キャンプなど、厳しい現実と向き合う仲間をリポート。

  • 作者のナルシスト感は否めないが、しっかりと国境なき医師団には感銘させられた。

  • 新書のものを先に読んでいたから、繰り返しになり読みやすかった。

  • めちゃくちゃ勉強になった。読みやすさもあるし、色んな人に読んでもらいたい

  •  著者がハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダへ赴き、MSF『国境なき医師団』の活動と、「患者たち」を取材した本。取材の目的は、文面上は著者が「見に行きたいから」という好奇心に尽きるとしているのだが、取材をまとめたこの本がMSFが広く知られ、ボランティア活動の支援となることを望んでいるはずだ。
     健康であること、家族や仲間と寄り添い助け合って生活することは人類普遍の願望である。それが弱者には遠い過去、儚い夢であり、満ち足りた我々には当たり前にある空気であり水なのだ。心を打たれたのは、弱者が弱者であることは、自分にもそっくりそのまま起こりうるということの実感である。だからこそ人の尊厳を忘れず、当たり前に人を助けられるのである。
     人助けは、実は難しい。(詳しくは書かないが)私自身、仕事に追われてばかりで、困った人、弱者のために働くことができていない。私にとって「そろそろ誰かの役に立つ頃」と言える日がいつ来るのか見当もつかない。遠ければ遠いほど、努力も準備もたっぷり時間をかけてできるのだろう。ここのところ忘れていたが、少しでも世界を広げるために、もっと英語をまともにしておこうと思ったのだった。

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著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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