- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065219560
作品紹介・あらすじ
狂乱のバブル経済崩壊後の「失われた20年」のさなか、日本中の不良債権取り立てに奮闘する国策会社=整理回収機構。そこで働く面々は、その多くがバブル崩壊で破綻した金融機関の出身者たちだった。借り手の側から取り立てる側へ――将棋の「奪り駒」のように回収の最前線に打ち込まれた者たちは、バブル経済に踊った怪商、借金王、ヤクザらと対峙し、でジワジワと追い詰めていく。泥沼の債権回収に奮闘した、男たちの物語。
住専こと、住宅金融専門会社7社は、バブル崩壊により、6兆4000億円にのぼる巨額の損失を負った。
7社はいずれも大手銀行、証券、生保などを母体に設立されたが、80年代末の狂乱のバブル時代、母体行が融資に尻込みした「バブル紳士」たちに巨額の融資を行い、その多くが回収不能となり焦げ付いた。
政府は6850億円の公的資金投入を決めるが、これが世論の強烈な反発を招く。
自民党・橋本龍太郎政権は「住宅金融債権管理機構」を設立し、社長に「平成の鬼平」と呼ばれた中坊公平元日弁連会長を据えた。住専各社から譲渡された不良債権を、できる限り回収することを目指す、「バブルのしんがり」たちの活動は、こうしてスタートしたーー。
文庫版のための追補
「トッカイ」とは何だったのか――大蔵省元銀行局長の証言
感想・レビュー・書評
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『しんがり』の著者が今度は不良債権処理に奔走する整理回収機構と逃げる債務者の戦いを描いた本作。登場人物と複数の債務者が登場し、話が幾度も切り替わるため物語としての面白さ、読みやすさは『しんがり』に比べると落ちる。
しかし、整理回収機構で戦った面々、トップを務めた中坊公平などの美学や生き様には感じるものがある。
そして驚くべきは彼らの戦いは未だ継承され続いていること。バブルの後始末はまだ終わっていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不良債権取立てにあたる人々の奮闘ですが
不良債権を出した側の人々が取立て側に回って
モチベーションが微妙ですが、頑張っています。
悪い奴は悪知恵が働くもんですね。
整理回収機構は、今もある事に少し驚いた。 -
「しんがり」「石つぶて」に続く、著者渾身作。借金王が隠した6兆円の回収に奮戦する社員たちの記録。
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ほらな、現代金融モノが一番面白いだろ。
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#2556-98-318
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バブルの後始末は、やはり並の考えではつけられない。
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いまなお続いているという驚き。
トッカイの人々は命掛けの業務だったのですね。
債務者に限らず次から次へと悪い人がでてきて、西山の怖いほどのお金への執着心が強烈すぎての錯覚か、末野がマシな部類に感じてしまいました。
いやいや、マシではないですね。借りたお金はちゃんと返してください。 -
バブルの後始末に奔走する男たちを描いたノンフィクション。
乱脈融資に走った住専会社。それを裏で後押しした銀行。莫大な不動産融資により膨れ上がった不動産業者。
バブルの熱狂で異常な日本の後始末をするために作られた整理回収機構のおはなし。
冒頭から悪徳債務者の実情、手口が描かれていて、トッカイ側の人間との対比で非常に読みやい。当時の男たちの苦労を十分に理解できた。しかも出てくる人間はほぼ実名。
普通のサラリーマンとして入った会社がバブルの影響で破綻し、なんの因果か債権回収を行う羽目になった男たちの苦労。時にはヤクザともやり合い、命の危険も感じながら仕事をするなんて。同じ金融機関としてもなかなか想像しづらい。
だけど、そんな人たちの頑張りがあったからこそ、不良債権処理が進み、暴排条項も整備され、正常な金融情勢が築かれたのだろう。
ただ驚いたのが、当時の悪徳債務者の回収できてない債権があって、未だに追いかけている人たちがいるってこと。つまりまだ終わってないってのがびっくりした。
世の中は誰かの仕事でできているとはこのことか。
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バブル時代の象徴のような出来事でした。土地神話が生んだ事件というか欲望というか。
今は株がバブル状態ですかね。いつまでたっても懲りない人が多いこと。 -
戦後バブルの負の遺産(不良債権)を追い続けた追い続けた男たちと、追われ続けた怪商たちの闘い。中坊という強力な個性のトップに率いられた組織は徐々に回収に執念を燃やす集団に変化し、回収という狩りに魅せられたものはより、仕事に没入、回収の最大化に向け、手法も先鋭化させてゆく。一方で世間からは遠い記憶となり、人々は忘れてゆく