不可逆少年

著者 :
  • 講談社
3.55
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本棚登録 : 1009
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065221730

作品紹介・あらすじ

デビュー作『法廷遊戯』で、「ミステリが読みたい!」2021年版(早川書房)国内篇第3位&新人賞受賞!! 
弩級の才能、早くも第二作!

(STORY)
若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼(せら・まひる)。
どんな少年も見捨てない。
そう決めて彼らと向き合ってきたはずだった。
しかし、狐面の少女が犯した凄惨な殺人事件を目の当たりにして、
信念は大きく揺らぐ。
不可解なことに、被害者は全員同じ高校に縁のある人々だった。
被害者遺族の男子高校生を担当する真昼は、
思わぬ形で事件の真相に迫り――?

圧巻の青春リーガルミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • デビュー作「法廷遊戯」の続編でしたか。先に読んでしまいました。

    家庭裁判所調査員達が、少年少女が引き起こす猟奇的犯罪とそれらに付随するトラブルに対峙していく。
    少年達の未来を守るため、彼らの過去とも向き合っていく。
    テーマは、少年犯罪。犯罪者となってしまった未成年者達にも「やり直せるから少年なんだ。」と。
    不可逆な少年少女は居ないんですという希望。
    参考文献にも医療的なものや、生活環境を扱ったものも挙げられる。少年の病んだ部分への柔軟な対応の必要性を唱えているかと思う。
    ミステリとしては、冒頭からなかなかショッキングな殺人現場の描写に戸惑うけれど、その殺人との関係性がも少しわかりやすいとうれしい。
    清水玲子のコミック「秘密 シーズン0」が特殊な環境下で育った少年犯罪を扱っていたと思うけど、
    それも良いです。

    • みんみんさん
      あらま〜(*´∇`*)笑
      超話題作!?
      あらま〜(*´∇`*)笑
      超話題作!?
      2023/05/11
    • おびのりさん
      古くてマイナー。。。
      古くてマイナー。。。
      2023/05/11
    • みんみんさん
      辻村さん大当たりしちゃったね笑
      辻村さん大当たりしちゃったね笑
      2023/05/12
  • ★5 少年犯罪をテーマに読み手の良心にグサリと切り込む!社会派&リーガルミステリーの傑作 #不可逆少年

    家庭裁判所の調査官として公務にあたる主人公は、毎日犯罪を犯してしまった少年たちと向き合っていた。とてつもなく悲惨な事件について、被害者家族と加害者が同じ学校の関係者であることが分かり、少年犯罪に対する信条が揺らぐことになっていく。果たして主人公は事件解決と、少年たちへ更生の手を差し伸べることができるのか。

    圧倒的に面白い!★5

    若年層の犯罪をテーマにした作品は数あれど、ここまで心理描写や社会問題性を真正面にとらえ、深ぼって解決策を書ききっている作品を知りません!

    私たちはなんとなく少年犯罪や彼らの家庭や経済環境に憂慮しつつも、正面だって解決へ一歩踏み出すことはなかなかできません。そんな見て見ぬふりをしている大人たちに、ズバっと問題を突き付けてきます。

    小説の内容についても、法廷遊戯の時よりもかなり構成や文章が整っており、バランスがバッチシとれています。そのため物語としても起承転結がとても綺麗で読みやすかったです。素晴らしい!

    また登場人物ひとりひとりの心情描写も豊かに表現されており、また信念と信念のぶつかり合いがお見事!ほんと目の前に存在するかのように伝わってきました。

    未熟な高校生たちが謎解きに挑むミステリーも大好きですが、そういった淡い青春ミステリーとは画する、思いっきり骨太な社会派ミステリーでした。
    社会に出て、人の親になったら読んでおくべき作品ですね、おすすめです!

  • 五十嵐さんにどハマりしてローリング3作目。
    少年犯罪と更生がテーマの物語。

    やはりこちらの作品も法律の専門用語が飛び交うが、取っ付きにくさは一切なく、最後まで一気読み。

    五十嵐さんの作品は伏線回収が本当に美しく、読んでいて気持ちいい。個人的には人が死なないミステリーのほうが好きだけれど、五十嵐さんの作品は人が死んでも後味の悪さをあまり感じない。また、知らなかった法律の知識に触れたり、正解のない社会問題について考えさせられるきっかけにもなり、満足度かなり高め。

    本作では仙台の七夕祭りが出てきたり、地下鉄の駅、裁判所の名前なんかも、少し変えているけれど、多分あそこだな…と推測できたりして、元仙台市民としてはその辺も楽しめた。

    次は『六法推理』を読みたいと思います。

  • 家庭裁判所調査官に興味を覚え、優先順位を上げて読む。13歳の詩緒が3人の男を惨殺したが、年齢的には罰せられない。14歳になる前に殺すと宣言し殺人をネット中継した(フォックス事件)。詩緒に殺されたのはどれもクソ男。被害者の娘茉莉、息子・獏、詩緒の姉・奏乃は同級生だった。また電車の中で髪を切る通称カミキリムシ事件が起きる。さらに獏の兄が浴槽内で死んでいる。家庭裁判所調査官がどう活躍するのか楽しみだったが、その調査官、登場人物、その親などファンタジーな感じでのめりこめなかった。医学的にも中途半端だったかな。②

  • 心が拘束された一冊。

    家庭裁判所調査官が向き合う少年達の心の奥と事件の真相。
    人を殺してドキドキしたい13歳の少女にいきなりの衝撃。

    フォックス事件の背景といいあまりにもこの年代の少年達が抱える世界は残酷で重過ぎる。
    なのに繊細で危うさ感じる今にも壊れそうな心理、世界観に魅せられ、事件の繋がりと真相に心ががっつり拘束された時間だった。

    絶望を選んだ選ぶしかなかった叫びが痛い。
    大人として痛い。

    やり直せるか否か…ラストの言葉。
    そう思いたい、信じたい。

    顔をあげ視野を広げ見渡す世界には見守り導く灯台のような灯りが不可欠だ。

  • とても面白かった。他の作品も読んでみたい。
    やり直せるか、やり直せないかは、人それぞれだと思うし、どう頑張っても無理な人はいると思う。
    とても難しい問題だと思った。

  • 2022/10/10読了
    #五十嵐律人作品

    刑事未成年による残虐な犯罪。
    家裁調査官の主人公は
    更生不可能な「不可逆少年」の
    概念を突きつけられ葛藤する。

    法廷遊戯めちゃ面白かったけど
    今回のはやや後半ボヤけて失速したかな。
    でもこういう作品は好き。

  • やり直せるというのは綺麗事で甘いかもしれない、だけど物語としてはそれでいいと思いました。

  • 家栽調査官の真昼はどんな子でもやり直せるという理念で働いていたが、赴任先の主任調査官の早霧から教育的手段による更生が不可能である「不可逆少年」の存在を示唆される。例として挙げられた法で裁かれない事を認識していた13歳の少女、神永詩緒による凄惨な殺人事件の調査詳細を聞くうちに理念がぐらつく中、詩緒の被害者の高校生の息子、佐原漠がある事件の犯人として自首。真昼が彼の担当となるが…。この流れと同級生である被害者の娘、雨田茉莉視点からの殺人事件後の過酷な環境や加害者の姉、神永奏乃も加わった特殊な友情風景、さらに全ての事件の真相が過不足なくきちんと収まって少年法の限界の問題定義もされて読み応えあったけどとっちらかった印象が拭えなかった。何故だ。最終の茉莉視点の話からの真昼視点の話への間にすこんと抜けている箇所があったからか。

  • 冒頭から痛い…。苦手な本を手に取ったなと思ったけど、痛そうなところを斜め読みしつつ最後まで読み切った。

    「だから少年なんだよ。」
    簡単に言葉では表せない難しい問題だと思った。。。

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著者プロフィール

1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。本書で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『六法推理』『幻告』がある。

「2023年 『法廷遊戯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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